第二話 不幸は続く
教室内の平和
不幸な課外活動に比べるとクラス内は平和だ。
私がよく会話する連中は『非モテ万歳!』とか『リア充死すべし!』とか『○○○○は俺の嫁!』とか言っている。
女子を遠ざけ、男子だけの平和を謳歌する為にそういう事を言っているのだろう。
たまに冗談で『でも彼女欲しい』と言っているのは一種の挨拶という奴。
実際に彼女が欲しければそれなりの行動なりスタイルなりすればいい。
それをしないで男子受けするネタばかり会話するのは本気で彼女が欲しいと思っていない証拠だ。
勿論私もそれを指摘したりはしない。
一緒に女子がいない自由を謳歌させていただいている。
「ところで松戸殿や
前席の
「いや、私は何処にも入る気は無い」
正確には何処にも入る気は無かった、だ。
既に魔女どもに実員として組み込まれている。
「なら視聴覚文化研究会なんてどうでおじゃるか。旧作色々見放題でごじゃるよ」
「でも視文研なんてまともな女子がいないだろ。小生は彼女が欲しい」
「女子が多い文化部ねえ。漫研は女子は多いが腐っていると先輩が言っていたな」
「腐っているよりはいない方がましでござる」
「いや、枯れ木も山の賑わいと言ってな」
昼休みの食事後、そんな下らない話をしているとああ平和だと実感してしまう。
本当は机に突っ伏して少しでも惰眠を取りたいところだが、まあこういう平和もいいかと思えてしまうのだ。
「取り敢えず私は課外活動はパスだな。睡眠時間を優先したい」
「寝る事なんて幾らでも出来るのでござるよ。ならば有意義に文化鑑賞等を」
「文化鑑賞って要はアニメを観る事だろ」
「アニメこそ日本の文化でござる。二次元女子最高でござる。えるたそは俺の嫁!」
「そんな二十年以上前のアニメよく見ているな」
「それがわかる貴殿も同志、ナカーマでござる」
「あいやしまった!」
なんて楽しくやっている時だった。
『遙さん、聞こえますか?』
不意に女子の声が耳に入った。
思わず固まりかけ、そして気づく。
今のは魔法音声、声からすると花梨先輩だ。
『聞こえていらっしゃるようなので連絡させていただきます。本日の放課後、文化研究会の第一回例会を開きたいと思いますので、是非参加の程宜しくお願い致します』
いやだと言っても強制的に呼ばれるのだろうな、どうせ。
仕方無いので返答をしておく。
『了解した。場所は理科実験準備室でいいか』
『ええ、あの部屋に放課後集合でお願い致します。遙さん以外にも新入生の方がいらっしゃっているので、是非とも宜しくお願い致します』
新入生か、でもどうせ女子なんだろうな。
その辺はもう色々と諦めた。
出来れば魔物襲撃の時のお手伝いだけにしたいのだけれども。
「松戸殿どうしたでござる、急に顔色が悪くなりましたぞ」
おお友よ、心配してくれるのか。
「いやちょっと面倒な事を思いだしてしまって」
「何か手伝える事があったら言ってもいいでおじゃるよ。言うだけなら只でおじゃるから」
親切なのかそうでもないのか今一つ怪しい。
「残念ながら一人で何とかするしかなくてさ」
「それなら御守り代わりにこれを持っていくでおじゃる」
夜ノ森はカードブックの中からキラキラしているシールを出して俺に渡した。
「最近復刻されたギックリマンの天使ヘッド、ベッドロココでごじゃる。睡眠神かつ夢界創世主で激レアなので御守り代わりに持っているといいでおじゃるよ」
「すまん、ありがとう」
ありがたいのかどうかわからないが一応貰っておこう。
睡眠の神という処が気に入ったし気休めくらいにはなるかもしれない。
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