転生の懐刀短編集
転生の懐刀、ep.3浅葱薫編没案。
御鏡学園、初等部。校舎内二階、中庭に面する空き教室。午前九時〇〇分、天気は曇り。
僕は一時間目の授業を放棄、サボタージュ。
いや、一応連絡は入れてるからサボりでも無いかな。
僕がイヤホン越しに聞こえる声に従って寄った空き教室には僕の着替えが置かれていた。
…………え、誰の趣味?
父親の言った「対処しよう」って、これも含まれてたのかな。
黒いフリルブラウスにグレーのベスト、襟首に銀の鈴を付けた鮮やかな青いリボン。
レース付きの黒いフレアスカート。斜め掛けの黒いポシェット。
中身はガーゼハンカチと、身に付け切れなかったGPSやチップの搭載された装飾品の類い。と、何故か飴が三つ。飴を手に取り、食べて良いのかを聞いてみる。
ヘッドフォン越しに「……一つだけなら食べて良いです」と返ってきた。
武器の類いは無いらしい。グレーのニーハイソックス、黒い厚底の靴と鮮やかな青の靴リボン。
イヤホンから、スマホ端末との無線接続時間が長い青のヘッドフォンに切り替える。
通話が繋がったままのスマホ端末はベストのポケットに。
この格好で既に目立つが、何か事を起こす時は目立つ格好だと助けやすい。
…………らしい。父親と蓮見が言ってた。
と言うわけで僕は敢えて目立つ格好をしている。
これ、ゴスロリじゃん。僕詳しくないけど。
やっぱり誰の趣味!?
空き教室から出る前に、一応ヘッドフォン越しに「黒と青の目立つ服に着替えた」と伝えたところ、ベストや服のボタンがあることと、チョーカーを忘れずに着ける事を伝えられた。
仕上げに黒い狐面をすれば、 完成だ。
っと、忘れる所だった。
首から関係者の名札を掛ける。
そうして僕は赤井蛍の教室の近く。
階段の手前で待ち伏せる。
勿論、堂々と。
授業中なので当然人通りは
だが、すれ違う教師や生徒は一度は驚く。
僕に声を掛ける者や、遠目に僕を見つめる者もいた。
そんな中、鐘が鳴る。
授業が終わったのだ。
教室から続々と生徒が出て来る。
その中には浅葱君達、従者に囲まれた赤井蛍もいた。
赤井蛍は僕に気付くと真っ直ぐに僕の元まで来た。
僕としては、視線すら合わせた覚えは無かったのだが。
やはり目立ち過ぎたか。ヘッドフォンを外し、首に掛ける。
いや、接触そのものは予想出来ていた。
赤井蛍が真っ先に来るとは思わなかっただけで。
仕事しろ浅葱君。従者の仕事は
「おはようございます。私の記憶が正しければ君は雪見さんでは?」
「────おはようございます。覚えて頂き光栄でございます、赤井お嬢様
どうぞ僕の事は雪見、と呼び捨てでお呼びください」
僕は愛想良くスカートを摘まみ、軽く頭を下げる。
僕は直ぐに赤井蛍の背後に視線を滑らせる。
視線の先は浅葱君────の先で僕に気付かなかった赤井蛍の担任が教室を出る。
視線を戻すと、浅葱君と目が合う。
浅葱君がじっと観察するように見つめてきた。
と言うか、他の従者方もそれとなく周囲を見ながらもチラチラと僕を見ていた。
「そう、わかったわ雪見
所で、今日は何故ここに?」
「えぇ、赤井お嬢様の担任の先生に少々確認したい事がありまして」
「邪魔をしてしまったかしら」
「ふふ、申し訳ありません。ですが、ご挨拶が出来て嬉しかったですわ
では、御前失礼致します」
苦笑と共に頭をもう一度下げる。
僕は直ぐに赤井蛍の担任の元に向かう。
彼にもそろそろ名前を聞かなきゃいけない気がする。
人通りの多い廊下を歩く担任は、まさか僕が人目も憚らずに接触しようとするとは思わなかっただろう。
背後から声を掛ける。
「先生、お待ちください」
ただし、名前は呼ばない。
「残念です。せっかく図書室で借りた本が無駄になりました」
一瞬立ち止まる赤井蛍の担任。
僕は異能によって直ぐに隣まで飛ぶ。
無反応。
「僕個人としては、教員職の人間はどうにも頭が固くて好きになれません
しかし、あなたは今教員です。どんな状況でも僕の質問には答える義務があるんですよ」
赤井蛍の担任の目の前にゆるりと着地して、阻む。
目を合わせる。呆れきった表情と目が合った。
口元に手を当てている辺り、無理矢理ため息を噛み殺したのだろう。
「
「えぇ、急を要する事態と成りましたので致し方なく堂々と来ました」
僕は赤井蛍の担任と共に沢山の視線を浴びながら、微笑んだ。
予想以上に大事になる事と事態が急展開になる事を知らずに。
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