第2話 キャラクターを作成しよう~容姿編~

 まさか名前入力でここまで時間がとられるとは想定外だった。だがキャラクターメイキングは始まったばかりだ。これからが本番と言って差し支えない。


「ああ、大事なのやはり見た目だ。

 第一印象が全てと言われることもある」


 名前の大切さは過去の栄光となった。

 諸行無常である。


「まずは性別だな」


 容姿の基本骨子は性別で決まる。

 男女で極端なキャラメイクしかできないゲームも多いが、このゲームは男女共有のデザインが用意されているようだ。これは素晴らしい。どういうことかと言えば性別が男なのに女の見た目の子がメイキング可能という事だ。


 つまり――


「……男の娘が可能という事か」


 男の娘!

 それは男性諸氏が一度は夢見る一つの理想郷の形。女性は話しかけにくいが相手が男であれば共通の話題もあるため話しかけやすい。すなわち友達関係が築けるためそれなりに接点も豊富、だというのに見た目が女の子ゆえに青春的なあま~いドキドキ感と同性という背徳感が不思議な高揚感と幸福感を与えてくれる、まさに一部の男性にとってはこれ以上ないほどの崇高な存在である。


(俺の答えは決まったな)


 彼が選ぶのはもちろん――


 ――性別:男性

 ――頭部:黒髪ロング

 ――胸部:ちっぱい(鳩胸を想定)

 ――全体:スレンダー

 ――投身:やや低め


 選ぶ初期装備は――


 ――上半身:サラシ+半纏

 ――下半身:長ズボン

 ――アクセサリ:入れ墨


 かくして画面に現れたのは彼の好みを凝縮したかのような美少年であった。艶のある黒髪と仕草は女性らしさを際立たせ、しかし服装からくるガテン系の雰囲気は男らしくあろうと背伸びをしている若者特有の青さが見える。

 見方によっては男装をした麗人である。

 胸に巻いたサラシがチャームポイントだ。


「――っ!? これしかねえ!!」


 早い。決断が早すぎる。

 名前入力にかけた時間の半分すらかかっていない。迷いなく、無駄なく、好みを追求するだけ追及する。遊びとは、ゲームとは、その神髄の端を見たかのような光景である。


 普通ならば確定ボタンを押してゲームスタートだ。だが彼の手は、指は、ピタッと時が止まったかのように動かない。


(本当にこれでいいのか?)


 自分が望んだキャラクターは男の娘でいいのか。後悔しないか。安易に決めつけてやいないか。自問自答し続けること数分。


「確認すべきことを忘れていた。

 ああ、最初に調べるべきだった」


 キャラメイクが出来るゲームは大別して3種類に分かれている。いつでも気軽に容姿の変更が出来るゲーム、課金すれば容姿の変更が出来るゲーム、最後にキャラメイク後は容姿の変更ができないゲームである。


 (このゲームは……課金すればできるっ!)


 ならば迷う必要はない。

 いくらでもやり直しは出来るのだ。

 課金制ということは今後のキャラメイクの幅にも期待できるだろう。髪型や服装も増えていくに違いない。


 彼はこの時点でだいぶ満足していた。

 だがまだ彼の冒険は始まっていない。

 冒険の大地に降り立ってさえいない。


 次は……所属国家の選択である。

 

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