キャロットジュース・プラネット

わざとらしい匂いを越えて

まずはじめに目に付いたのは墓標でした

名前のひとつも書かれていない

名刺入れは鯨の餌に

まばらな緑が寂しくて

その傾きは地軸に対して垂直に

スーパーマンはおやすみですか?


取り残された巨大の一部

肌荒れを覆い隠した

おじいさんが連れていたのは嘘の犬で

僕には見分けがつきません

臨界角の中に入ると

もうどうしようもなくなるのです


境界線まで歩いて

ここから先はどうにも生きては戻れない

赤みがかった勧誘の手が

不定形のまま僕を呑もうと企んで

見えないなにかに阻まれている

こんな巨大を捕らえる檻は

伸び縮みするようで

都合のいい話は寒気がします


本当は僕こそがこの星に囚われていて

真実はファンデーションでは隠せない

古代の砲塔の麓で

覗いていたのは窓の分身

塩はここでも白いです


嫌いなものはキャロットジュース

だから今でも

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