詩集『日常』

moga

翼竜がインターホンを鳴らした時

甘いラブストーリーが展開する

僕はそれをラテン語にして、てんとう虫に語る

間抜けなインターホンが鳴った

鳴らしたのは翼竜だった

僕は居留守を使った


ヒロインに生ぬるい手錠がかけられる

僕はそれをロシア語字幕付きで眺める

何度も何度も、急かすようにインターホンが鳴る

鳴らしたのは青い顔の翼竜だった

僕は居留守を使った


主人公がキリンのような男に取り押さえられる

僕はそれをポルトガル語を話す猫と見ている

ついにはドアを叩き始めた

叩いたのは嘴の肥大した翼竜だった

僕は居留守を使った


エンドロールが流れる

僕はそれをクリンゴン語の歌に合わせて楽しむ

ようやっと静かになった

玄関先で翼竜は死んでしまった

僕は精一杯のおしゃれをして、外に出た

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