クソ短編集

@dempacat

クソ小説

「ほんと、この小説はクソだな」

彼は悪態をついた。

「こんなもの、読むだけ人生の無駄だな」

「知ってるか、世の中にあるものの8割はクソなんだぜ!」

「ほんとにクソだらけだ」


「クソみたいな仕事、クソみたいな上司、クソみたいな飲み会、クソみたいな小説。この世の中、クソまみれだ」


クソなものごとばかりで人生を消費している彼は、クソみたいな人生を送っていた。


「なんて素晴らしい小説なんだ」

同じ小説でも、人によって捉え方は違う。

「読んでない人は人生を損している!」

「楽しいこと、嬉しいことがいっぱいあって時間が足りない」

「周りの人たちに感謝」


「やりがいのある仕事、素晴らしい仲間、楽しい飲み会、面白い小説。人生は楽しい」


感じ方は違えど、クソはクソだ。クソをクソだと見抜けない彼の人生はとても薄っぺらかった。

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