78話〜策略と懐かしの仮の自宅

 ここは神秘の都スカイネーブル。


 このスカイネーブルには、王族が住む城以外に賢者達が住む大きな建物が高台にそびえ立つ。


 ドルマノフも以前はここに住んでいたのだが、前よりもかなり建物の規模が大きくなっていた。


 そして、ネリウスは自分の書斎で書類に目を通しながら紅茶を飲んでいると、白の聖衣を着た男がノックをして扉を開け中に入ってきた。


 そして、ネリウスの前まで来ると一礼をし、話し出した。


 この白の聖衣を着た男の名前は、フェルシス=ワイザーで、ネリウスが信頼をしている賢者の1人である。


「ネリウス様、ただいま戻りました。」


「フェルシス。お前が戻って来たという事は、レオルドはあの事を話そうとしたのだな。それで、奴の口を封じたのだろうな?」


「申し訳ございません。私が見張っていた時は、その件の事を話そうとしていましたので、持っていた弓矢で攻撃したのですが、致命傷には至らず側にいた者達に助けられていました。恐らくは、今頃あの話をされているかもしれません。」


「フム、それは不味い事になったな。フェルシス、直ちに警備を強化し、あの場所を厳重に結界を張りめぐらせ直ぐにでも隠せ!!」


 フェルシスはネリウスに一礼をし部屋を出て、自分の配下の元に向かった。


 それを確認するとネリウスは目を閉じ、


(ゲリュウデス様、申し訳ありません。用心はしていたのですが、レオルドを少し見くびっていたかもしれません。もし、この事が露見してしまいますと。)


 “フム。確かにこの件が露見してしまえば、今までの苦労が台無しになってしまうな。さて、どうしたものか。”


 ゲリュウデスとネリウスは、しばらくその場で策を考えていた。



 そして場所は移り、ここはシェイナルズ城とディクス村の間ぐらいに位置する森の中の空き家。


 そこに、サアヤとマリエスが傷を負ったレオルドの看病をしながら、ブラット達が来るのを待っていた。


 しばらくすると扉が開き、ブラットとガルドとドルマノフとフェリアとハングが入って来た。


 レヴィとビスカは、コトネ達を探しに行っていた。


 ブラット達が家の中に入ると、ドルマノフは辺りを見渡し、


「ふむ。ここは、ずいぶんと懐かしい場所に来たものじゃな。」


「もしや、ここはドルマノフ様が以前住まわれていたという仮の自宅なのですか?」


「フェリア。うむ、この家はワシが建てたのじゃがな。あれ以来ここには近寄らなかったのじゃ。だが、まだ壊されず残っていたとはな。」


 その話し声に気づきサアヤが奥の部屋から出てきた。


 そして、ブラット達をレオルドが寝ている部屋に案内したのだった…。

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