69部〜逃走するが

 その頃レオルドは、あの場にいるのは不味いと思い、城の外の人気のない近くの森まで逃げ、物陰に隠れていた。


(……はぁはぁ。とりあえずは……ここまで来てしまえば、何とか逃げおおせるだろう。)


 そう思っていると誰かが物陰から出てきた。


 レオルドは慌てて身構え、誰なのか確認して見ると、物陰から出てきたのはマリエスだった。


 マリエスはレオルドを見ると、


「レオルド様。何故こんな所に、お隠れになられているのでしょうか?」


「こ、これは……マリエス、何故お前がここにいる?私を追って来たのか?」


「ええ、そうですが。レオルド様、今なら間に合いますので城にお戻り下さい。陛下は、もし逃げるようなら連れ戻せとの事でしたので。」


「なるほど。マグドは……そういう事か。私が利用しようとしたように、あの方もまた同じ事を考えていたという事らしいですね。」


 レオルドはその場から逃げようとした。


 マリエスはそれを見てすかさず雷の魔法をレオルド目掛け放った。


 レオルドはそれを見て慌てて光のバリアで自分を覆い防いだ。


「マリエス。私は誰かに利用されるつもりはない!悪いが……。」


 そう言いかけたその時、2人の前にサアヤとレヴィが現れた。


「レオルド!ここにいたのか。お前には、聞きたい事が山ほどある!それと、お前はシェイナルズの手の者のようだな。」


 マリエスはサアヤの方を見て、


「ええ、私はマリエス。そして、クライス様の配下の1人です。」


 そう話しているとレオルドは今ならと思い逃げようとしていた。


 レヴィはそれを見て指を鳴らしテレポートでレオルドの前に現れ、


「レオルド!いえ、貴方は仮にも賢者でしたね。ならば丁重に扱わなければならないですね。我らの城にお招きした方が良いか?」


「お、お前は魔族か?何故私が魔族に手をかさねばならない!」


 そして、サアヤとマリエスが数歩先にレヴィとレオルドがいるのが見え慌てて追いかけた。


「レオルド!また逃げようとしていたのか! そしてレヴィ。レオルドを魔族側にと考えていたようだが、こいつを利用しようなど考えない方が身のためだ!」


「それは、どういう事か?」


「こいつは賢者ではあるが、スカイネーブルの大賢者様の怒りに触れ追放された者。それに、都合が悪くなれば直ぐ裏切る奴だ!」


「サアヤ……私が何故、大賢者の怒りに触れたのか、本当の理由を知らないようですね。まぁそう仕組んだのですから仕方のない事なのですが……。」


「本当の理由?それはどういう事だ!?」


「ふっ、私はある秘密を知った。だが、知っただけなら良かった。」


 そして、レオルドはサアヤ達を見た後、遠くの空を見つめながら思い出し話し出したのだった…。

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