9話〜グレン真実を知る{改}
市場から戻りブラットとフェリアは、庭でくつろいでいた。
フェリアは木の椅子に座り、目を閉じ何かを考えているようだった。
ブラットは、草むらに寝転がり、仰向けになって、空を眺めながら、明日の事を考えていた。
(いよいよ明日なんだよなぁ。だけど、何でグレンがついてくるんだ?ん〜、面倒な事にならなければいいんだけどなぁ)
そう思いながらブラットは、ふと辺りを見渡した。すると、いつもと村の様子が違う事に、ブラットは気がついた。
いつもであれば、この時間には、村の女たちが井戸の水を組みに、ブラットの家の前を通るはずなのだが、まだ誰も通っていなかった。
(どうしたんだろう?いつもなら……)
すると村の入り口の方から、グレンが息を切らしながら走って来た。
「おーーーい、ブラット大変だ〜!!」
「どうしたんだ?そんなに息切らして」
「はぁ、はぁ。たっ、大変なんだ!村の外に、大勢の傭兵ギルドの連中が、村におしよせて来ていて!!」
「どういう事だ!?何でこんな村に」
「その人達は、何か言っていませんでしたか?」
「それがなぁ。ブラット、お前をここに連れて来いって、言っているんだが、お前なにかしたのか?」
「ちょ、ちょっと待て⁉︎何で俺が?」
「恐らくは、あの一件だと思いますが?」
「おい、ブラット。いったい、あの一件ってなんなんだ?」
「それは……フェリアどうする?グレンにも、あの事を話した方がいいのか?」
「どうしましょうか?かといって、このままでは……」
フェリアは、話した方がいいのか、迷い考えた。
それを見てグレンは、
「おい、そんなに深刻な事なのか!?」
「はい、そうです。この世界の運命がかかっていますので」
「えっ!?う、運命って?」
「フェリア。やっぱり、グレンにも話した方がいいんじゃないのか?ここから逃れたって、この先も俺は狙われ続けるんだろう?」
「確かにそうですが……」
「それにグレンは明日、俺たちと、この村から旅立つ。だからこそ、この旅の目的が何なのか、知っていた方が、後々いいと思うんだ」
ブラットにそう言われ、重い口を開き、フェリアは話し出した。
「そうですね。でもグレン、今から話すことを、誰にも言わないと誓えますか?」
「さっき、世界の運命って言ったよな?それって、ブラット……お前と関係しているって事なのか?」
「そうだな。俺と関係しているらしい」
「なるほど。それで、お前の親父さんが、城に呼ばれてまだ帰ってきていない。そこに傭兵達がおしよせてきたと言う事は……」
一呼吸おき、
「でも向こうは、お前が弱いという事は知っているはずだ。そうなると、やっぱり気になるのは、フェリアが何者かだよな?」
「私が何者か。それを教えるのはいいのですが、先程も言った通り、この事を、他の者に知られては、色々と、厄介な事になってしまいます」
「そうだなぁ。流石にフェリアが悪い人には見えない。それに、これから一緒に旅する事になる。よし分かった。言わねぇ、なに言われてもな!!」
そう言うと、フェリアは話し始めた。
「私は運命の女神です。そして数時間前に、ブラットは死にかけました。間違った運命の為に……」
少し間をおき、
「でも神は、この運命を正常に戻す為、ブラットを助け、その代わりに神と契約をと」
瞼を閉じ深呼吸をした後、目を開けブラットを見ると、
「そして、この狂ってしまった運命を、正常に戻す為、ブラットは契約をし、そして私は、ブラットを援護する為、人間の姿になりました」
「ん〜なるほどな。でも何でブラットを、助けなきゃいけなかったんだ?」
「それは、そうですね……話します。ブラットは本来なら、運命が狂っていなければ後に、魔導師たちの王になるはずでした」
それを聞き、グレンは驚いた。
「待て!えっ?こいつが魔導師の王だって!?」
「そうです。確かに、今のブラットは、私からみてもかなり弱いと思います。しかしこれも、運命が狂っているからなのです」
「なるほど……」
「このままでは、ブラットもこの世界の運命も、全てが間違った方向に進んでしまいます」
「そうだなぁ。そうなると、やっぱりブラットとフェリアだけじゃ、旅はきついだろうな」
「確かに、そうだなぁ。それにまだ俺は、実感がわかない。本当に俺が、世界を救えるのかって思ってる。」
そう話していると、誰かが近づいて来る事に、グレンが気づき、
「誰かが、こっちに来る!?村の外にいた傭兵か?」
「それは大変ですね。しかし、どうしましょうか?」
「そうだなぁ。俺は弱い、そうなると逃げたのがいいんだろうけど。ん〜……」
「ブラット。お前は家の中に入れ!!俺とフェリアとで、時間を稼ぐ。その間に、旅に必要なものをとってこい。その後は分かるよな?」
「お前はどうするんだ?」
「荷物を取りに行ってる暇はねぇ。お前だけでも持っていけば、後は何とかなると思うんだがな」
「確かに、グレンの言う通りです。ここは私たちで、時間を稼ぎますので、早く荷物をとりに行って下さい」
ブラットは、そう言われ頷き、その場を2人に任せ、家の中に入っていった。
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