143話〜その技は危険にて・中編
ここは北側の祭壇付近。
タツキは、リッツとオルドパルスにガインのことを聞いたあと少し考える。
だが、南側の祭壇に向かうクレイの姿をみてこの場をなんとかしてくれると思い動かず待機することにした。
(今の所、俺が手出ししなくても大丈夫そうだ。
恐らくあのガインとかいうヤツのことはクレイ達がなんとかしてくれ、る、って! おいおい、ちょっと待て、)
ハクリュウの方へ視線を向けたタツキは顔が青ざめる。
(まさかっ!? こんな所でアイツの悪い癖が。……恐らく今のハクリュウは、咄嗟のことで頭が混乱している。と思う。
クッ、こう……いや、ハクリュウにだけは会わないでおこうと思ってたんだがなぁ。
今アイツが発動してる技を、まともにくらったらただじゃすまないだろうな。いや、ましてやここはゲームの世界じゃない、間違いなく攻撃した相手は死ぬ。
それにその力が強大であれば、あの距離だと味方まで巻き込みかねない。……だが、ここからだと遠すぎる。
間に合うかは分からないが。けど、一か八かやるしか、って、まずいこのままじゃっ!)
タツキはリッツとオルドパルスをチラッとみた。
(この様子だとオルドパルスは逃げないだろうから、リッツに任せても問題ないだろう。
てか、ウダウダ考えてる暇なんかなかった。あの男がハクリュウを攻撃する前に、なんとか阻止しないと、)
そう考えが纏まると即座にメニュー画面を開き、プリセットから【忍者装備:Bランク青龍一式】を選んだ。
するとタツキは、青い龍の飾りが部分的に施された、忍者用の軽装備へと一瞬で着替える。
『リッツ、悪い。ここは任せたっ!』
そう言うとタツキは、懐中からテレポートカードを取り出した。
『タツキっ! いったい、どうしたの?』
そう聞かれタツキは、ハクリュウとバルムのいる方を指差す。
『リッツ、説明している時間がねぇ。ただ急いでアイツを止めないと……いや、既にあの技を使ってる。周りを避難させるか、なんとかしなきゃならないっ!』
『それって危険だってこと?』
リッツがそう言うもタツキは最後まで聞かず。
《隠れみの影纏!!》
そう技名をいい姿を消した。と同時にタツキは、カードをハクリュウがいる場所の方に翳しテレポートする。
大体のことを察したリッツは、タツキが向かったであろう場所へと視線を向けた。
(恐らくあそこに向かった理由って。あの様子だと緊急を要することなんだと思う。心配だけど、多分タツキなら大丈夫だよね)
そう思いリッツはタツキの無事を祈る。
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