番外⑵‥ ⓭〜異変と行方

 ここは麻里亜の住むマンションの部屋。あれから麻里亜は着ぐるみ欲しさに頻繁にゲームにログインしていた。


「はぁ〜、やっぱあれってかなりレアなのかな?さて、今日はここまでにしておこう。」


 麻里亜はログアウトをして、パソコンを閉じると布団に入り眠りについた。


 そして翌朝、麻里亜が会社に行くと、希愛から他の班に行く事になったと聞かされ、麻里亜もこの日を境に仕事が忙しくなり、ゲームにインする回数が段々と減っていった。


 ある日の午後。麻里亜と希愛は会社内のラウンジで話をしていた。


「ねぇ。麻里亜さぁ。最近ゲームにインしてないみたいだけど仕事忙しいのかな?」


「うん、希愛が他の班に行ってからぐらいかな。急に私のやる仕事が増えちゃってね。」


「そっか。私は相変わらずだけどねぇ。」


「そうなんだね。皆元気かな?」


「ん?ああ、元気みたいだよ。」


「元気みたいだよって……まさか会ってないの?」


「ああ、そうだった!言い忘れてたけどね。あれからリュウキのギルド抜けて、自分のギルド作ったんだよねぇ。」


「そっか。あっ!そろそろ職場に戻らないと。じゃ希愛またね。」


「そうだった。私もそろそろ職場に戻らなきゃ。麻里亜またねぇ。」


 麻里亜と希愛はそう言うと自分達の職場に戻っていった。


 それから、麻里亜と希愛は会社内で会っていた。だが、麻里亜はゲームにインしなくなっていった。


 そして、約1年が経ち麻里亜は久々に仕事が早く終わり、希愛の職場に向かっていた。


(希愛は、まだ残業してるのかな?てか、多分残業やってるふりしてゲームやってるんだろうなぁ。)


 麻里亜は希愛が働くオフィスの前まで来ると扉を開けようとした。その時、急にグラグラと激しく揺れ出し、オフィス内全体を光が覆い尽くしていた。


(な、何なのこの光は、それにさっきの揺れも?いったい何が起きたって言うの?)


 そして、その光は段々と消えていった。


 麻里亜は希愛の事が心配になり中に入っていった。


 しかし、オフィス内には誰もいないようだった。麻里亜は多分希愛が座っていただろう場所まで行くと、パソコンの画面にはゲームのログインが表示されたままの状態になっていた。


「これってどういう事なの?今の光って、いったい何だったのかな?それより、希愛。画面つけっぱなしで何処にいったのよ!?」


 麻里亜は辺りを見渡したが、いる気配はなかった。ディスクの周りには荷物が置かれていた。


(んー、荷物はあるし変だなぁ。トイレでも行ったのかな?まぁいいか、家に帰って久々にゲームにログインしてみるか。)


 麻里亜はその場を離れ家に帰った。


 そして、麻里亜は自宅に戻るとパソコンを開きゲームにログインしてみたが、クロノアがインしている気配はなかった。


「ん?おかしいな。会社のパソコンだとログイン画面になってたけど。インはしなかったのかな?仕方ない、明日会社に行ったら希愛に聞くか。」


 麻里亜はログアウトをしパソコンのスイッチを切ると布団に入り眠りについた。


 そして、翌日。麻里亜は休憩時間になり希愛の職場に行ってみると、そこには希愛はいなかった。


 希愛の上司が麻里亜がオフィスを覗いている事に気づき、希愛の行方を知らないかと麻里亜に聞いてきた。


 麻里亜は驚き、逆に聞き返した。その上司の話だと希愛は昨晩から家にも帰らず職場に荷物を置いたまま忽然と姿を消したとの事だった。


 それを聞いた麻里亜は足取りを調べる為、その場を離れ1度自分の職場に戻り、パソコンをつけゲームにログインしてみた。


 そして、やはりクロノアがここにいる気配はなかった。


(何処にいったのかな?他のキャラ作ったのかな?んーとりあえず探してみよう何か手掛かりがみつかるかもしれないし。)


 そう思いながら色々な場所に飛んで色んな人に話を聞いて歩いていた。


 そして、噴水広場に来ると2人の男性が話をしていた。


 この男性はユウとコウキだ。そうこの時ユウとコウキはリュウキがいなくなりその話をしていた時だった。


 マリースは2人に話しかけ、クロノアの事を聞いてみた。ユウはクロノアの事を知っていた為、他のサーバにいるとマリースに教えた。そして、少し話をした後、マリースは一旦ログアウトをした。


「そっか。このサーバ探してもいなかったのは、他のサーバにいるからかも。あっ!そろそろ休憩終わるし家に帰ってからまたインしてみるか。」


 そして麻里亜は定時まで仕事をし、家に帰りパソコンを開きアカウントを新しい方のサーバに移しゲームにログインしたのだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る