39話〜勇者の証‥後編

 場所は移り、ここは名もなき城。カプリアはノエルがいる牢に向かっていた。


 ノエルは明日の事を考えながらウトウトとしていると、誰かが自分の所に近づいて来ている事に気づき、


(ふにゃ〜。いったい誰にゃのかにゃ?)


 ノエルは音のする方を見ると、そこにはカプリアが目の前まで来ていた。


 そしてカプリアは、ノエルの顔を覗き込んで小声で、


「ノエル様。先日の事は申し訳ありません。あとで大人げなかったと反省しておりました。」


「それは、もういいけど。これは、どういう事にゃ?」


「今から詳しい事を、手短にお話をしたいと思います。」


 カプリアは今起きている事と、これから起こる事を話した。


「えっ?今、にゃんていったのかにゃ!?ユウ兄がこの世界にいる。それも魔神の器としてって。最強って言われてたのは確かだけど……それに、ハクリュウとクロノアも、この世界に召喚されてる。そしてハクリュウの妹のユリナまでここに……。」


(ユリナって確か、ハクリュウのサブキャラだったはずだけど?どうにゃってるのかにゃ。)


「それで、早急に今から儀式を行いたいと思います。」


「そうだにゃ。そうしなければいけにゃいのにゃら仕方にゃいにゃ。でもどうやって?」


 ノエルが聞くとカプリアは水晶を出して、


「これは、神と話をする事が出来る水晶です。」


 ノエルの目の前に出した。


「これで、どうするのかにゃ?」


「この水晶を使い儀式を行います。」


「にゃるほど。」


 カプリアは水晶に話し掛けた。


「ホープ繋がっているのか?」


 すると水晶から声がして、


「カプリア繋がってるよ。それで準備はどうかなぁ?」


「少しお待ち下さい。今からノエル様の左腕の拘束だけ外しますので。」


 ノエルの左腕が自由に動かせるようになった。


「ホープ。今、準備が出来ました。」


「ノエル。聞こえるかな?僕の名前はホープ。よろしくね。」


「よろしくにゃ!えっとにゃ。カプリアが言っていた神様かにゃ?」


「うん、そうだよ。それでね、今からハクリュウとクロノアとユリナと4人で儀式を行うから、左手を水晶に翳していてくれるかな?この儀式を行うのに、代表で詠唱してもらうんだけど。そうだな……時間がないから、僕が勝手に決めちゃうけど、いいよね?」


「誰が、代表で詠唱するのかにゃ?まさか、クロノアじゃにゃいよね?」


「違うよ。僕から見てリーダーに相応しいと思ったハクリュウにやってもらおうと思ってる。」


「ハクリュウか……認めたくにゃいけど。まぁ、ハクリュウにゃらいいかにゃ。」


 ノエルは少し落ち込み気味で言うとホープは、


「じゃ、時間も無いし。気づかれるとまずいから、手を水晶に翳しておいてね。」


 ホープに言われノエルは水晶に手を翳し、ハクリュウとクロノアとユリナも水晶に手を翳した。


「じゃ、始めるよ。ハクリュウ、今から君にテレパスで詠唱する言葉を伝えるから、その通りに唱えて欲しいんだけど。大丈夫かな?」


「うん、あまり自信は無いけど。大丈夫だと思う。」


「ハクリュウ。無理なら、私が変わってもいいんだけど?」


「あっ、クロノア。だっ、大丈夫だ!おっ、お前に水晶壊されたくないしな。」


「ハ、ハクリュウ。いくら私でも、水晶を破壊するほどの魔力を使う訳ないでしょ!」


「あの〜時間が、もったいないんじゃないんですか?」


 ユリナに言われ2人は言い合いをやめ、改めて3人は手を水晶に翳すと、ハクリュウの頭の中にホープの声が入ってきた。


(じゃ、始めるよ。)


 ハクリュウはホープの言う通りに唱え始めた。


 《天と地 異空間にて存在せし者達よ 我らが4人 異世界から来た者なり 使命を果たすため真の力を ここに指し示せ!!》


 すると、ハクリュウ達の手が光り出し4人の頭の中に声が入ってきた。


 “汝らの願いを叶えよう。そして手を天に掲げよ。”


 ハクリュウ達が左手を天に掲げると、4人の中にある何かが目覚めた。


 “汝 その力を使う時 手のひらを天に向け こう唱えよ《聖なる力よ我が元に!!》と”


 そう言われハクリュウ達は唱えてみた。


 するとハクリュウ達の手に光が降って来て紋章が現れた。


「これが俺の……えっと、この紋章って!?」


「勇者の証である紋章は出たかな?」


 ホープが聞くとハクリュウは手の甲を見ながら、


「手の甲に、紋章が現れたんだけど。これって?」


「手の甲に証が……それで、クロノアやユリナはどうだったかな?」


 クロノアはユリナの手の甲を見ながら、


「私も、ユリナも出てるよ。それも、ハクリュウと同じ手の甲に……。」


「じゃあ。手の甲に、どんな紋章が現れたか、教えてくれるかな?」


「俺のは……白いドラゴンの上に盾。その上に剣が2本下向きに交差してる。」


「ん?ドラゴンに盾と2本の剣……クロノアは?」


「私のは、黒いドラゴンが描かれていて、開いている本の上に杖が2本交差してる。」


「クロノアもドラゴン……ユリナはどうかな?」


「私は、ピンク色のドラゴンで……えっ、何で?私ってヒーラーのはずだよね?」


「ユリナ。そのはずだけど、どうしたんだ?」


(えっと、これって……この紋章は、クロノアが杖と本だから魔導師で、お兄ちゃんは多分ソードマスターだったはずだから、あの紋章はゲーム内での自分のやっていた職に関係してると思うんだよね。って事はノエルっちは、アサシン系の職だと思う。そして私は現在のユリナの職のヒーラー系じゃなく、この職は……。光兄のパソコンを見た時。ハクリュウが光兄だって知って驚いたけど。この紋章を見て何て言うのかな?私が、あのゲームをやってて、ハクリュウ《光兄》に対しあんな事をしてたなんて。はぁ、バレたら何て言われるのか……。)


「ユリナどうしたんだ?」


 ハクリュウがそう言うと、ユリナは慌てて自分の甲を見ながら、


「……あっ、ピンクのドラゴンの上に宝箱。その上に本と虫眼鏡が描かれているよ。」


「それって……もしかして、トレジャーハンターなのか?」


「ハクリュウ兄。えっと、そうなのか……なぁ?」


「ん〜、ユリナもドラゴンの紋章。ノエルにも同じ紋章が現れてる可能性があるね。ちょっと気になるから聞いてくるね。」


 ホープは紋章を確認する為、ノエルの方に向かった。


 そしてノエルは自分の左手の手の甲を見つめていた。


(……これって。私の職がアサシンだからって、にゃんで銃?私の好きな武器じゃにゃいしぃ。もしかしたら、使う武器って選べにゃいのかにゃ?)


「ノエル様。ホープが確認したい事があるからと……。」


 そう言われノエルは、カプリアが持ってきた水晶に話し掛けた。


「ホープにゃん。どうしたのかにゃ?」


「にゃん……って。まぁいいか。それより、ノエルに聞きたいんだけど。君の手の甲に紋章が出てるかな?それと、描かれている紋章が何なのか教えてくれないかな?」


「分かったにゃ。ん〜、灰色のドラゴンの上にスコープ。その上にライフルとピストルが交差してるにゃ。」


「ノエルもドラゴンなんだね。そうなると、カプリア。これは、早急に手を打つ必要があるかもだよ。」


「それは、どういう事ですか?」


「ドラゴンの勇者が4人現れた。という事は、上級界の神が、この世界を試そうとしてるのかもしれない。それかもしくは、この一件とは比べ物にならないほどの何かが起ころうとしてて。その為に……。」


「じゃ、魔神の水晶はどうするのかのぉ?」


「そうだね。この一件を片付けてから、またちゃんと話をした方が良さそうだね。その魔神の器になるはずの異世界の人にも手伝ってもらわなければならないかもしれないし。それと僕の親友である魔神に、元の姿に戻ってもらわなければならない。」


 ホープがそう言うとカプリアもノエルも驚いた。


「魔神が、ホープの親友?それは初耳ですが。」


「うん、そうだね。誰にもこれは言った事が無いから。彼が魔神になったわけは、嫉妬してたんだと思うんだ。僕が人間の友達をいっぱい作ってしまった事にね。その前までは、僕には彼しか友達がいなかったんだ。でも僕は人間の友達も欲しくなって水晶を作り友達を作った。でもね、彼には僕しか友達がいなかった。だから彼は……。」


「そうだったのですね。ですが、魔神となる前はいったい?」


「彼の名は、魔神ディスペアーだけど。本当の名前はハーモニーと言うんだ。僕の正式な名は、ホープ・ワールドで、彼はハーモニー・ワールド。そして僕と彼と合わさってはじめてピース・ワールドになる。んー、人間界で言うグループ?組織かな?恐らく僕たちがバラバラになってしまったから、皆に影響が出ているのかもしれない。だから早く、彼が封印されている水晶を回収して、違う方法で封印を解かなければならないんだ。」


「なるほど。だから頑なに、封印の水晶を回収する事にこだわっていたのですね。」



「うん。だから、明日の儀式の際には失敗する訳にいかないんだ!」


「にゃんか余計、ややっこしくにゃってきたにゃ。」


「じゃ僕は、ハクリュウ達に伝えなきゃいけないから、何かあったら教えて。」


 そう言うと通信が切れた。


 そしてノエルにこれからやろうとしてる事を説明し、何をされても少しの間は我慢するようにと言うとノエルを再び拘束して、カプリアは自分の部屋に戻って行ったのだった……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます