16話〜準決勝の異変{改}

 コンテスト会場では準決勝が行われていた。


 シャナはアリスティアから言われた通り、支配人に何処にもノエルがいないと伝えた。


 支配人は少し考えてから、このままノエルがみつからない場合シャナは不戦勝となり、そのまま決勝に出て欲しいと言われた。


 シャナはノエルの事が心配だったのだが、しばらく様子を見る事にした。


 そして2番と5番の戦いが終わり勝ったのは2番だった。


(ノエル様がみつからないけど。やるしかない!

 ここは勝って、今日中に村長と支配人の悪巧みを暴き、その後アリスティアと革命派の人たちと合流して、ノエル様を探さないと……)


 そう自分に言い聞かせながら、2番との対戦の準備を始めた。だがシャナは、何か様子がおかしい事に気づいた。


 そうコンテスト会場にいるはずの支配人の姿がみえないのだ。そして対戦相手の姿もない。


 アリスティアもそれに気づき、シャナの方に近寄って来た。


「シャナ、なんか変じゃないか?」


「確かに、そうですね?」


 シャナは舞台付近を見渡したが、やはり支配人と対戦相手の姿が何処にも見えなかった。


「アリスティア。これはどういう事なのでしょうか?」


「支配人と対戦相手がいなくなった。どうも変だな?まさかとは思うが、もしかすると町長の家の方にいるかもしれない」


 アリスティアは町長の家の方をみた。


「いやな予感がしてならないのですが?私と対戦するはずだった相手の方は本当に強いと言える人でしたので……」


 シャナは心配そうな顔でアリスティアをみた。


「私も見ていたが、確かに普通の強さではなかった。だが、シャナが負けるような相手でもなかった」


 腕を組みながら、


「相手も多分それを理解してたとして、シャナに勝てないと分かって、行動を起こした可能性もあるが」


「そうなると町長と支配人を脅す為、町長の家に向かった可能はありますね。それに、ノエル様が見て来た事も気になります」


 シャナがそう言うと、アリスティアは少し考えてから、


「確かにその事も気になる。そうなると、町長の家に行ってみるしかなさそうだな」


 アリスティアは近くに待機していた革命派の仲間に、この事をクレイマルスに伝えるように言った。


 そして2人は、別々の方角から町長宅に向かった。

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