3話〜黒いローブの女

 神殿の祭壇から旅立ったハクリュウ達は、その後近くのあかね村で休む事にした。


 宿屋の部屋でハクリュウは、旅の途中シエルに色々聞いた事を整理していた。


(んー、整理してみると、この世界はシェルズワールドで、この国がホワイトガーデン。今から行く場所がルーンバルス城。そして、俺がこのホワイトガーデン国を救う為に、シエルに召喚された事。後はルーンバルスを治めている、その領主に会って詳しい話を聞かないといけないという事。あー、何か頭の中がーーーー!!はぁ〜、それにしても、自分の状態確認してみたけど、LV190、ソードマスター、総合ステータスが830455で、アイテムもあるし、装備もそのままこっちでも、使えるみたいだし。ただ、ギルド無所属って……まぁそうなるだろうな〜。そう言えばギルメンどうしてるかな。ギルド【ギガドラゴン】が心配なんだけどなぁ〜。元の世界に帰れるか分からないけど。帰る方法も考えないと。ん〜、この世界自体ゲームとは無関係の異世界。とにかく今はまだ情報不足だしな……。)


 そうこう色々考えていると。


 部屋の扉が開きシエルが市場から戻って来た。


「あっ、起きていたのですね。明日の朝にはここを出て王国に向かいますので、市場にて必要な物を買ってまいりました。」


「何度も聞くけど?俺が本当に、この国を救う英雄なんだよな?まだ信じられないんだけど。」


「間違いはありません!もしまだ信じられないのであれば前にも言いましたが、領主様に詳しい話を聞いてくださいませ。」


 シエルは困ったような顔になり言った。


「あっ、ごめん。さっきから色々考えてて。色々とありがとう。本当なら俺も一緒に行けば良かったんだろうけど。」


「心遣いありがとうございます。でもお気になさらないでください。私はハクリュウ様を領主様の所迄何事もなくお連れしなければならないのです。」


 シエルはそう言いながら荷物を整理し始めた。


 ハクリュウは、色々な事を考えながら、荷物とかの整理やアイテムボックスが使えるか、確認していたらいつの間にか夜になっていた。


(アイテムボックスは、出す事は可能だけど、入れるのは不可能と言う事は荷物持つしかないか。後は可能なのは、プリセットは使えそうだな。ここに装備セットしておけば良いか。後は……。)


 色々な事を思い考えながらベットに横たわった。


 その時、急に部屋のランプが消えハクリュウは慌てて飛び起きた。


 すると、ハクリュウの目の前に黒いローブをまとったいかにも怪しい雰囲気の女が1人立っていた。


「お前が白き英雄なのか、なるほどな、あのお方の言う通り今のうちに始末しておいたのがいいようだな。」


 黒いローブの女はそう言うとハクリュウに魔法攻撃を仕掛けてきた。


(嘘だろ〜。なんでこんな序盤から、それにこんな宿屋で、攻撃とかできるかの確認はまだしてないって言うのに。)


 色々考えながら、ハクリュウは何発か魔法攻撃をよけていたが。


「うっ……!!!」


 黒のローブの女の魔法がハクリュウの左腕をかすめた。


 ハクリュウは左腕を抑えながら、


「いきなり、いったい何のつもりで……お前は何者なんだ!!!」


「これを避けるとはな。流石は白き英雄、何者かと聞いたな?私の名はアリスティア。何者かは言うつもりはない。ただ言えるのはお前を殺しに来たものという事。悪いがそろそろお遊びは終わりにしよう!」


 アリスティアは攻撃体制に入った。


(これは、どうしても戦わないとならない状況って事か。仕方ない!)


 ハクリュウは剣を構えた。


「ほぉ〜、やっとやる気になったようだな。では行くぞー!!!」


 アリスティアが魔法攻撃を仕掛けようとした瞬間。ハクリュウは剣を両手で持ち、左足を一歩前にだし、腰の重心を落とし右に捻り、やや右後ろよりに刃を向け、弾みをつけすかさずアリスティアの懐に入ると、


 《秘剣 猛牙疾風殺!!》


 疾風の如く薙ぎ払うと、それと同時に獣の如き刃がアリスティアを斬りつけた。


 アリスティアは避けきれずに右脚に深手を負った。


 ハクリュウはその攻撃で倒せたと思った。だが、アリスティアは傷を負った程度だった。


(流石に、ゲームのようにすんなり行く訳ないよな。やっぱり……。)


「危なかった。流石だ白き英雄!今日の所は私の方が分が悪いようだな。では、退散するとしよう。」


 アリスティアは部屋から出ようとしたが何かを思い出した様に。


「あっ!そうだったお前の名前を聞いてなかったな。」


「こんな事をしておいて、今更名前って……意味分かんないんだけど。でも、名前ぐらいなら教えても問題ないだろうし。俺はハクリュウだ!!!それで、この状況で逃げるって……俺に戦い挑んで火つけて逃げるってどういう事だよ⁉︎」


 ハクリュウはアリスティアを睨みつけ、剣を構え様としたが、アリスティアは魔法で剣を一時的に抜けなくした。


「今はまだだ。お前の実力がどれほどのものか、見に来てみたのだが思っていた以上らしい。という事でここは退散して、またお前を改めて倒しにくる!!まぁせいぜい誰かに倒されないように首を洗って待っていろ。では、さらばだ!!!」


 アリスティアはそう言うと窓から飛竜にのり飛びたってしまった。


 ハクリュウはただ何も出来ず呆然と見てる事しか出来なかった。


 ハクリュウは我に返ったと同時にアリスティアにやられた左腕が痛み出した。すると、ドアを叩く音とシエルの声がした。


「ハ、ハクリュウ様どうなされましたか?」


 そして、ドアが開き。


「あっ、やっと開きました。今大きな音がして、何があったのかと思い駆けつけたのですが?ドアが開かなくて心配しました。はっ!その左腕はどうされたのですか?」


 ハクリュウは左腕を抑えながら、


「ああ、大丈夫かすった程度だから。さっき何者かわからないけど。アリスティアという黒いローブをまとった女が襲って来た。とりあえずは何とか殺されずには済んだんだけど、何で狙われたかは、何となく分かったけど、何で殺さなかったのか?そこがよく分からない。」


 ハクリュウは俯向き考え始めた。


 シエルはハクリュウの傷口を見て、


「これは……早く治療しなくては、ちょっとお待ち下さい。今、私の治癒魔法で治しますね。」


 シエルはハクリュウの左腕の傷口付近に手をあて、


 《治癒召喚魔法 シルフのささやき‼︎》


 呪文を唱えるとハクリュウの前にシルフが現れ、傷口の辺りでささやくと、みるみる治っていった。


「えっと、この魔法って凄い魔法だよな?こんな魔法があるんだな。まだ見た事のない魔法とか武器とか技とかあるんだろ〜な〜。うんうん、俺は魔法は使えないから。知らない技とか覚えられたらもっと強くなれるんだろうな。」


 ハクリュウはさっきまで不安と驚きで大丈夫なのかと思ってた事を、打ち消すかの様に、これから起こる事よりもこれから色々と新しい物にふれられる事に、すごくワクワクしてきていた。


「ハクリュウ様?そういえば先程言っていた、アリスティアと言う女性なのですが?どんな感じで何か言ってませんでしたでしょうか?」


「ん〜、そういえばあのお方がとか、俺の実力を知りたいとか殺すと殺さないとか、俺が右脚に深手を負わせた後、退却しようとしたので攻撃しようとしたら魔法で剣が抜けなくされた事ぐらいかな?」


「そうなのですね。やはり奴らの手先か何かかもですね。そうなると出来るだけ早く、明日の朝早くにでもここを出て領主様にお会いしないといけませんね。」


「そうだな。そいつは俺が狙いだったし。とりあえずこの国で何が起きてるのかも気になるし。今は俺も、もう少し強くならないとな。」


「そうですね。今日は、もう何事もないかもしれませんが、万が一何かあったら心配ですので、やはり同じ部屋で寝させていただきたいと……。」


「だっ、だっ、大丈夫だと思うから!き、気持ちだけ受け取っておく!だからシエルはとなりの部屋で寝て大丈夫だからな!」


 ハクリュウは慌ててシエルを部屋から押し出した。


「でも、それでは私の気持ちが……ハクリュウ様が心配だけど無理にとはですよね。では、お言葉に甘えて隣で寝る事にしますが、何かありましたら呼んで下さいね?」


 シエルは申し訳なさそうに言った。


「あっ!う、うん。そうだね何かあったら起こすよ。じゃ、おやすみ!!」


 ハクリュウはシエルを部屋から出し、慌ててドアを閉めた。


(ふぅ〜、流石に女性と同じ部屋はまずいだろう、いくら本人が良くても……。)



 その頃ホワイトガーデンの、とある森林にアリスティアは居た。


(うむ、あのハクリュウとか言う奴は思っていた以上の存在になるかもしれないな。ふぅ〜、それにしても避けきれたと思ったが、とりあえずポーションで回復しておくか。)


 バックからポーションを取り出して飲んだ。


(あのお方にご報告しなければならないが、あと1人確認する必要がある。そっちが最優先となるな。今日の所はここで野宿して明日向かうとするか。)


 アリスティアはその後眠りにつき、そして翌朝アリスティアはあと1人の元へ向かった。


 そして、ハクリュウとシエルは、翌朝早くあかね村を後にしたのだった…。

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