星空を見ても星は降らない
飛騨山
第1話 始まりの夜は
満天の星空と天の川が黒一色の夜空を彩り、その煌びやかな光が降りそそいでいる。
「あっ!流れ星だ!」
丑三つを過ぎたこの頃、風が吹きすさぶ草はらで夜空を見上げていた少女が叫んだ。
その横どなりには三人の男女、そして少し離れた先に僕がいた。
「えっ!どこ?!」
「もう流れちゃったよ。せっかく星見に来たのに携帯なんて触ってるからだよ
呆れたように話す男は
「しょうがないだろ?ほんとに流星が見えるなんて思わなかったんだから·····」
「まあ亮一らしいっちゃらしいけどね。」
ショートの髪をなびかせながら笑うのは
「また流れるかもしれないし次逃さんように見とこうよ。」
煩いよといった顔をしながら僕の方を向いたのは
そして、あと一人。先ほど流れ星を1番に見つけた少女。
その後も僕たちは星が煌めく空を見続けたが、僕が流れ星を見ることはできなかった。
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