219.ベレカ城にて2


 報告の後には、エンペリア王国軍部の対応策が示されていた。

 軍部ではすでに召喚される兵器の情報をもっていたようで、その召喚される兵器の有効性を加味したうえで策が練られていた。





1.北部方面の敵に対しては航空兵器を投入すれば対応は簡単だが、そのためにまず空軍の設立と空軍基地(滑走路)の整備が必要。

 空軍設立の為の兵器導入や滑走路整備等はコンダート王国からの無償軍事援助によって賄う。

 空軍基地が完成し次第、その空軍基地から帝国領土内の主要な町か兵器工場のある町に空爆を敢行し、敵戦力をできる限り弱体化させる。


 

2.北東方面に対しては、有効射程が500mを有するkar98kを集中的に歩兵部隊に配備し敵の射程外から一方的な攻撃を仕掛け、そこにFlak88(対空・対地両用)で編成した砲兵部隊の火力支援を加える。

 そこに追い打ちをかけるようにⅢ号戦車とティガーⅠ戦車で構成された機甲師団を突撃させる。

 そのまま北東部国境付近まで一気に攻め上がり帝国部隊を駆逐する作戦を実行すべき。

 この時の補給は供与されたトラックの集中運用とコンダート王国が建設してくれた鉄道を合わせて使えば、戦線が停滞することがなくなるはず。


3.北西方面陸海軍合同作戦

 かつてナチスドイツがとった電撃戦の要領で機甲師団を向かわせ、海上には空母と重巡洋艦、駆逐艦、陸軍歩兵を乗せた輸送船よる艦隊を集結させて、空母からは艦上爆撃機を飛ばし空襲、重巡洋艦は沿岸まで近づいて艦砲射撃を実施。

 艦砲射撃と空爆を一通り終わらせたら逆上陸を敢行、それと同時に町の外で待機していた戦車部隊を一気に町に向かわせ、これで敵の占領部隊を撃破、そのまま奪還。

 そのままの勢いで国境付近まで進軍し、その途中にいるはずの帝国部隊を各個撃破し、領土内から帝国部隊を駆逐。



「何かご質問ございますか?」

「いいえ、ないわ、リアありがとう」


「話は変わるんですけど、この後一緒にこっちの国に来てもらうことになっていると思うんですけど、その時に出雲国から来た全権大使の姫君とあってほしいんですが」

「あら、いいけど、どうしてなの?」


「実はそこで、三国間による軍事同盟を締結したいとおもってまして。エンペリア王国のメリットは帝国に対して政治的圧力をかけやすくなるということが一番にあると思うんですがどうでしょう?」


「私はそれでもいいわ、私たちとあなたの国は一蓮托生だものこの国が滅びない限りずっと一緒にいてあげるわ、国民もきっとそれを望むだろうから。エンペリア王国を貶めるような内容でなければ基本的に賛成だわ」


「ありがとうございます。次にモンスター討伐に関してですけど、こちらもモンスター対応に手を取られているから、冒険者は派遣できませんが、その代わりに陸軍特殊部隊を派遣して討伐することが可能です」

「それと、さっきエンペリア王国に援軍を送ってこなくていいよって言って頂きましただが、こっちの状況は今王国内からほぼすべての帝国兵を駆逐することができているし、陸・空・海軍すべて再編成と増員が急ピッチで進められていて、もうすでに作戦行動が可能な部隊が増えてきているから、援軍を送ることはできますが」


「もしそれが本当なら、ぜひともお願いしたいわね」


「その援軍の提案として、まず滑走路ができ次第空軍の2個航空団を派遣、北部戦域の敵航空部隊を攻撃させ、北東戦域には陸軍の第一空挺師団、第二戦車軍団を派遣しエンペリア王国の機甲師団の援護を、キャッシャンジャーの奪還作戦には新設した海兵隊即応機動師団を派遣可能です」




 それから俺とエンぺリリア3世とリアと細かいことを話し合っていると、すっかり外は暗くなっていた。


「不味い!そろそろ、駅へ向かわないと!」

「あらまぁ、もうそんな時間なの?」

「ええ、あす朝にはキーレの港で姫君と会わなくてはいけませんので」

「そうなのね、すぐに出立の準備をしてくるわ」

「お願いします」


 女王とリアは足早に部屋を後にした。

 そのあと俺は待ちくたびれたような顔をしていた彼女たちをなだめつつ、城から出て駅に向かうことにした。



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