159.空軍大規模空爆演習2



 訓練開始直後にAWACS(コールサイン:ビックイーグル)が空域情報の通信をテント内に設けた指揮所(コールサイン:ケラノウス)にいれてきた。


「ビックイーグルよりケラノウス。ポイントトタイより北部20㎞、高度2500mの位置に敵機100機発見、攻撃開始します」

「了解した、健闘を祈る」

「ビックイーグル、ミーティア(第二航空団)。バンディット100シップス、ロースピード、ブルズアイ、010、フォー012、ターゲットエンジェルス、25」

「ミーティアリーダー、ビックイーグル、ラジャー」


 AWACSからLiSMのデータリンクシステムを使って送られてきた敵の位置が、テント内のディスプレイにはっきりと示されていた。


 空域の指揮所への情報伝達や周辺空域にいる友軍機に指示を出しているこのAWACS(早期警戒管制機)は、アメリカの大手航空機メーカーのボーイング社がボーイング767をもとに製造した軍用機で、航空自衛隊が唯一保有、運用しているもので、機体上部には大きな回転するロートドームが搭載されていて、その中にAN/APY-2レーダーとそれと反対側にIFF(敵味方識別装置)のアンテナが装備されている、このAN/APY-2レーダーは空対空監視としてだけではなく空対地、艦監視能力も持つ。


 そして、この早期警戒機の大きな役割としてあるのが、大きなレーダーを生かした索敵能力はもちろんのこと、友軍機や遠距離にいる友軍艦艇・地上部隊などとデータリンクを通じて情報共有をして、それらの情報を整理・分析し、それをもとに攻撃や迎撃を含む指揮管制ができることだ、それを可能とするために機内には多くの機材と人員を有している。


 乗員は操縦士2名とレーダーや通信機器などの操作員を含めて21名、航続距離10370㎞、連続警戒滞空時間(行動半径1000nm時)約9時間、最高速度800㎞/h以上、巡航速度722㎞/h。


 AWACSはさっそく自前のレーダーで探知した情報をもとに、すぐさま今回主力の第二航空団に敵の情報を伝達する。

 その情報を受け取った、第二航空団は敵がいると思われる空域に機首を一斉に向けた。


「ミーティアリーダー、ビックイーグル、バンディットレーダーコンタクト!」

「ビックイーグル、ミーティアリーダー、ラジャー、攻撃を許可する」

「ラジャー」


 AWACSから通信を受けた直後に、第二航空団の機体がその情報をもとに敵機の位置を割り出し、すぐに攻撃態勢に入った。

 これをうけて、AWACSは当空域から護衛機隊とともに離脱し始めた。

 敵役の無人機は、竜とほぼ同寸の大きさになっていて材質は竜の硬さと同じものを使っている、動きやスピードも似せて作っている。


 「ミーティアリーダーよりミーティア隊各機、全機攻撃開始!」

 「「「「ラジャー!」」」」

 

 ミーティア隊の隊長機からの攻撃命令が下った瞬間、一斉に各機のウェポンベイが開きAIM-120Dを4本発射した。

 そのミサイルが一斉に発射された状況が地上の指揮所のモニターに映し出され、そのミサイルがまっすぐ目標に向かっていくのがわかる。

 発射したAIM-120のすべてが命中したが、4機だけ生き残っていた。


 「ミーティアリーダーより各機、敵未だに4機残存、これより接近戦に移る、第201飛行隊は高速接近して機銃で叩き落せ!」

 「「「「ラジャー」」」」


 その命令を聞いた、第201飛行隊各機は、我先にと言わんばかりにアフターバーナーをふかして一気に最高速度までスピードを上げ、敵に向かって突進していった。

 生き残った敵は味方が一瞬にして爆散していったのを見て驚き、すぐに反転して逃げ帰ろうといていたが、それすらできずに、高速接近してきたF-22の機銃の嵐によって次々と墜とされていった。


 「ビックイーグルより、ミーティアリーダー、敵機全機撃墜を確認、周辺空域にも敵影無し、第二航空団は帰投されたし」

 「ミーティアリーダー、ラジャー、RTB!」

 

 役割を終えた第二航空団は、乱れていた編隊を綺麗に組みなおし、悠々と基地へと引き返していった。


「レグルス(第1爆撃航空軍第443飛行隊)より、ビックイーグル、戦闘空域に到着した、指示を!」

「ビックイーグルより、レグルス、こちらから目標の座標を送る、それをもとに爆撃せよ」

「ラジャー、爆撃を開始する」

 

 今度は第二航空団とすれ違うようにしてきた、B2ステルス爆撃機20機による爆撃が始まる。

 




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