91.王立士官学校


 そういうとレナはおもむろにいじり始めた。そこで彼女は実銃と確認するのに手っ取り早くて安全な方法なやり方としていち早く弾倉を抜き取ることをした、こうすることによってBB弾を撃つものなのか実弾を撃つのかが確実にわかる(銃口を正面から覗くことでもわかることにはわかるがハイリスクすぎる)。


 そして弾薬が薬室内に入っていないかどうかを確認するために両方とも弾倉を抜いたままVP9であればスライドを完全に引ききり、HK416の場合チャージングハンドルを引く、こうするともし薬室内に弾薬が装填されていてもエキストラクターによって排出される。この動作をしたら案の定弾薬が入ったままだったらしく両方とも勢いよく飛び出してきた。


「やっていることの意味は分からないけど、手つきを見る限りそれの扱いに関しては慣れているようね!」


「はい、実際に“本物”は使ったことはないですが知識としてはあったので……お話の腰を折るようで申し訳ないのですが私は学校についてはどうなるのでしょうか?」


「あらごめんなさい、ついその物体に興味がいってしまっていて、そのことは学長が説明してくれるわ!それとこの“銃”と呼ばれるものにもう一人興味を持っている人でもあるの!ねぇ学長?」

 メリアがそう言ってすぐ、話が聞こえていたのか扉が開き男性が入ってきた。


 部屋に入ってきたのはスキンヘッドでムキムキのいかついおっさんだった、そのおっさんの腕や顔に大きな傷がありいかにも数々の激戦を生き抜いてきた人という印象だ。


(元の世界だったら絶対ヤ○ザだよねこの人)


「初めましてレナさん!これから入ってもらう王立士官学校の学長のドリバン・ザザミーだよろしくね!」

「あ、はい!よろしくお願いします!」


(あれ?見た目に反して好印象なんだけど!しかもウインクしてるし!!)


「紹介が遅れてごめんね、本当だったらこの部屋に入ったら私から話をしてあげないといけなかったんだけど、どうしてもってメリア“お嬢様”いうもんだから」


「もう!ドリバン!やめてよその言い方!」


「これは失敬!王女様」


「ごめんなさいね、この人はこうやって今は学長をやっているけど、これと同時に近衛軍の将軍もやっているの!」


「そ、そんなすごい人だったんですね!」

「あー、て言ってももう現場には出てないけどね!アハハハッ!」


 (この人お茶目なところもあるんだ)


 このドリバン・ザザミーという男は王立士官学校の学長であり王直属の近衛軍の最高指揮官でもある。顔の傷や腕の傷は数々の戦場でついたものだが、こんなにも傷が多いのは常に先頭に立ち単騎で敵陣に突っ込んでいくからなのだそうだ、しかも、どんなにけがを負ったとしても必ず戻ってくるというある意味イカれた人だ。


 そんな彼の戦闘能力はけた違いで立った一人だけで1000人と相手しても難なく撃破するほどでまさに一騎当千である。しかし、現在は目立った戦闘が起こっていないのでその任につくことがなくなっているため、今は今後の王国の未来を行く若者たちに対して教えを施そうとこの学校で仕事をしている。それとは別に兵器研究も行っていてその一環として丁度今は“銃”の研究をしている(実際にHK416とVP9を実射試験した)、そのためこの世界で一番銃に対して理解があるようで、近い将来各学科で銃の知識・運用・戦術を教えられたらと考えているらしい。


 そんなことはともあれ、この王立士官学校は陸軍所管の教育機関でこの学校を卒業とともにそのまま新任士官として軍に配属される、所謂エリートコースの入り口だ。そしてこの学園は三つの学科にわかれていて歩兵科・騎兵科・魔法科となっている。


 話が一段落するとすぐにそのまま学校へと案内された。ここはアルダート城のすぐ脇にあり敷地は軍の演習場にも隣接している。


 いきなりのことでいまだに状況の呑み込めないレナだが、王女にもらったこの二つの銃を手に自分の明るい未来のために進んでいくと決意したのであった。

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