77.輸送ヘリ召喚


「それでいてワタ?今回はどんな物を見せてくれるんだ?」

「また新しいものを召喚されるのですか?私としてはとても興味深いものですね」

「ああ、もちろんするつもりだよ」


 ユリーシャとエレザは勘がいいのか、俺が何かを召喚することを察していたらしい。


「陛下、わたくしに出番はありますか?」


 ミントは上目使いで俺のことを見つめてくる。


(ミントさんそれ反則!可愛すぎ!)


「お、おう、もちろんあるよ」


 そんな彼女らを再び引き連れながら、レナ達が待つ場所へと向かう。


「国王陛下に敬礼!」


 そこには総勢5120名もの女性兵が号令をもとに皆一斉にSIG516(着剣状態)で捧げ銃(ささげつつ)(国王などに対する最上位の敬礼)をする。


(あれ?こんなこと教えたっけか?まぁいいや)


「気を楽に」

「直れ!傾注!」


 俺はまた台の上に立って、訓示のようなものをしていた。


「“メランオピス”の諸君、ここに集まってもらったのもほかでもない、卑劣なことに帝国の連中によって女王と王女2名が拉致されてしまった。この奪還作戦を成功するために、君たちには今から出す新たな武器を持って作戦に挑んでもらいたい」


 そこまで言い終わると、俺はLiSMを操作しMP7とHK45を召喚する。


「これは、近接戦闘と今後のことを考え君たちに使用してもらう物だが、もう一つ、現場に急行するための新たな兵器を召喚する。これは後で必要に応じて教えることにする。そして銃の訓練をする期間だが、君たちには悪いが場所の特定ができ出撃をするまでの間にこの銃の習得にあたってもらいたい、ただ優秀な君たちはこれをすぐに使いこなせると思っている。解散し次第、直ちにこれを使い訓練を始めてくれ、以上!」


「「「了解!!」」」


 言い終わった俺はさっそくMP7とHK45の召喚を始めた、召喚を手早く終わらせると順々に隊員たちは受け取りすぐさま地下の訓練施設へと向かっていった。


 全員が訓練場に向かったのを見届けると、すぐさま次のものの召喚を始めた。

 今召喚しようとしているのは“CH-47”と“UH-60”の二機種だ。


 一つ目は二つの回転翼が特徴的な、CH-47通称チヌークと呼ばれる輸送ヘリコプターで、最大で55名の兵員を輸送することができ、機体の下面の吊下装置で最大12.7tもの貨物を輸送することができるものだ、巡航速度は240km/hで飛行し航続距離は2252㎞、今回これを主に兵員輸送機として運用する。


 二つ目はUH-60通称ブラックホークと呼ばれる汎用ヘリコプターで、映画化され著名になったモガディシュの戦闘で有名な機体だ、固定武装はないがドアガンとして左右にGAU-19 12.7㎜ガトリング砲かもしくはミニガンで知られるM134 7.62㎜ガトリング砲などを搭載でき外部に対戦車ミサイルやロケット弾を装着可能である、また完全武装の兵員を最大で約11名運ぶことができる。

 そして今回これを兵員輸送と同時にM134 7.62㎜ガトリング砲にて近接航空支援を行う。


 その二機を試しに召喚すると早速ミントとベル、レナ、ミレイユ、遅れてやってきたシルヴィアにLiSMの能力によって使い方をインプットしてもらい、試験運用を始めてもらう。


 しばらくすると皆ホバリングはもちろんのこと、急旋回や急上昇などを難なく行えるようになっていた、これを見てヘリの今回の作戦での重要性を知ったレナは、すぐさま地下で訓練している部下を呼び、その部下に俺からLiSMで能力を付与してもらい、すぐさまその隊員たちも訓練を始めていく。

 しばらくするとその隊員たちも能力のおかげもあってか難なく操縦することが可能になっていた。


「よし、これで何とか実用にこぎつけられるかな?」

「流石は陛下、あのようなもので私たちがあの“ヘリ”と呼ばれるものを扱えるようになってしまうとは」


 隣で俺と一緒にみていたレナは、猫耳をピコピコ動かしながらなんだか楽しそうにしている。


(その耳、モフりたい!)


「流石は我がご主人様、今回も素晴らしいものを召喚されたのですね」


 シルヴィアは少し汗をかいているのか、胸元が少し光って見える。


(シルヴィアさん、そのアングル最高です!まさにエロフ!)


 そんなことを思っていたのがばれたのが、どこからか射抜かれそうなほどの視線を感じた。

 しかし、そんな至福の一時?を過ごしている暇もなく、セレナが息を荒らげながらこちらに駆け寄ってきた。


「どうかしましたか?」

「ど、どうかしたじゃない!メリア様達がさらわれた場所が分かったぞ!」

「本当ですか!」

「それはいいが、少し厄介なことも起きた、とりあえず、ここではなんだ王宮に戻ろう。エレザ閣下がお持ちだ」


 セレナの言葉によって場は一瞬重苦しい雰囲気に包まれたが、すぐにベルたちや隊員たちは訓練を始めた、その目は皆真剣なまなざしに変わっていた。


 俺はセレナに連れられ、今度は王宮に向かうことにした。




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