ロマン兵器乱用国家、異世界でもロマン兵器を乱用する模様
えるでぃあん
異世界への国家転移
第1話:異世界への国家転移(修正済み)
以前投稿した3〜10話は、話が詰まってきたので一旦非公開とさせていただきます。申し訳ない……。
_____
それは2356年、お昼時に、突如として発生した。
_エルディアン共和国首都エルディアン、大統領府 12:07 某日
「……うん?」
世界でもトップクラスの強国、エルディアン共和国。その国のトップの行政機関と言わせる大統領府。そこで休憩時間を過ごしていた大統領補佐官は、椅子に座ってに暇つぶしで開いたネットの海外サイトを見て困惑する。
「……繋がらんな……」
画面いっぱいに堂々と表示される、『OFFLINE』と書かれた文字。普段ならこの時間帯、接続が混んで多少ロードが遅くなったりはするが、回線落ちなんて滅多に起こらない。
「まさか……回線工事中?」
それならありえるかもしれない。念のため、部下に今日ここで回線工事が行われているか確認させる。
「どうやら、回線工事中ではないそうです」
イカしたグラサンをかけたスーツ姿の部下は言う。
「そうか……」
大統領補佐官は少し脳内で考えてみる。
「太陽フレア……か!?」
最悪国家の電子機器を死滅させるほどの脅威となりうる太陽フレア。それが起こった可能性がある。大統領補佐官はガバッと椅子から立ち上がると、大統領執務室へと大急ぎで向かった。
_大統領執務室
プルルルル...
「な……なんだよこれ……なんだよこれッ!?」
大統領は次から次へとなりまくるうるさい電話の着信音__それも、各国大使館からのものに、困惑を隠せないでいた。彼らの言い分要約すると、『本国との連絡が届かねぇよ!!どうしてくれるんだ!!』とのことだ。
「わ、私もまだ状況を把握しておらず……はい、はい、わかりました。各機関に全力で対処させます」
大統領の額に、暑さからなのか過度の緊張からなのかはわからないが、汗が浮き上がる。ひとまず目先の電話先からのクレームに対処すると、つかの間の休息に入る。
「ふぅ……一体何が起こっているんだ?」
大統領は席を立つと、無意識に窓の方向へと向かい、ブラインダーを上げる。徐々に体に当たっていく太陽光がなんとも暖かい。
「……今日は、一段と忙しくなりそうだな。補佐官……早くこねぇかなぁ……」
外に所狭しと建ち並ぶ摩天楼を見てそっと呟く。
_ガチャッ
「失礼します。緊急の報告があって参りました」
大統領執務室のドアから入ってきた大統領補佐官は深々と一礼すると、右手に持つメモをめくる。
「待っていたよ。話の内容は大体察しがつくが……」
大統領は大統領補佐官が各国との連絡が途絶したことを伝える様子を思い浮かべる。
「勘がいいことで。はい、通信障害についてです」
大統領が『えっ』と言う。
「何、今通信障害起こってんの?」
大統領のその質問に、大統領補佐官は驚いた様子だ。
「ご、ご存知ないので……?」
大統領補佐官は胸ポケットから取り出した電源の入ったスマホを、そっと大統領に見せる。デカデカと海外サイトに書かれた『OFFLINE』の文字は、大統領からすればとてもインパクトが強いだろう。
「海外サイトが全て死にました。はい、文字どおり全滅です。世界の終わりですもう生きていけませんどうしたらいいでしょう?」
大統領補佐官は若干壊れ、どんどん早口になっていく。同時に、大統領はそれを聞いて、徐々に顔色が悪くなっていく。
「そ、それって動画サイトもか!?」
「はい、海外に本社を置く名だたる動画運営サイトもことごとく全滅しました。本人が確認したのです。間違いありません」
大統領補佐官の断言を聞いて体が脱力し、大統領は顔が真っ青な状態で『ドサッ』と言う音を立てて執務椅子に座る。
「で……でも一応国内に支部を置く動画サイトだけは死んでないんだな?」
「ま……まぁ、死んではいませんが……」
「いや……それだけ聞けただけでも十分だ」
大統領補佐官は何か言いたげな様子だ。大統領はしばらく頭を抱えた後、本題に戻る。
「それで……一体何が起きたんだ?」
「はい、これは推測なのですが……太陽フレアが発生したんじゃないでしょうか?」
大統領はそれを聞いて、ため息をつく。
「あのな……太陽フレアだと電子機器がお釈迦になると思うが……。だがほれ、見てみろ」
大統領はグイグイと人差し指で、天井で燦々と照りかがやく蛍光灯を指差す。
「あいつ、ピンピンしてるじゃないか」
「そ、それもそうですね……ははは」
大統領補佐官はその指摘に、『それを忘れてました』と言わんばかりの声で目をそらす。
「__まぁとにかく、だ。各担当府に連絡だ。いったい現在の状況がどうなっているのか知りたい。各国大使館への連絡も……必要だからな」
「わかりました。各担当府への現在この国が陥っている状況報告書を提出させればいいんですね?」
「そうだ。頼んだぞ」
「まっかせて下さい!」
大統領補佐官はそう言うと、スキップの要領で軽やかに大統領執務室を退出していった。
プルルルル...
「あーもう!またかよ!」
大統領はただただ、各国大使館への対応でその日の午後の執務時間の大半を消費したのだった。
_同国同首都 大統領府の記者会見場では 午後19:15
「えーはいはい、マイテスマイテス」
周辺にずらっと記者たちが並ぶ中、大統領はこれから演説を始めると言うのになぜかマイクテストを始める。
「はいはい、OKOK__」
大統領はマイテスを一通り終えると、ネクタイをきちっと閉める。
「はい、それではこれより今回起きた謎の通信障害について、政府より発表申し上げます」
大統領が言った瞬間、記者たちが次々とシャッターを切りまばゆい光があたりを何度も明るく照らす。
「まず、今回の謎の通信障害。これによる我が国一番の損失は何と言っても、国民的娯楽__海外の名だたる海外サイトが全て文字どおり消滅したことでしょう」
居合わせた職員、警備員、果ては記者までもがウンウンと頷く。
「また、各国大使館の報告によると、他国との通信が途絶。現状はまだなんとも言えませんが___核戦争並みの危機が我々に訪れたことは間違いありません」
記者たちは一言一句漏らすことなく続々とメモに書き記していく。
「現状確認のため、先ほど空軍を概要に派遣。現在調査を行なっているところです。この際判明した物は、何であれ逐次国民の皆様に伝えさせていただきます」
記者たちがシャッター音を次々と鳴らし、メモへと書き記していく。
「そして、海外輸入品__主に砂糖類や米類、カカオなどの海外輸入に依存してきた全ての製品を一旦流通制限させていただきます」
記者会見場に居並ぶ職員や記者たちは皆揃って『えぇぇぇぇぇぇっ!?』と叫ぶ。
「さて、次なのですが……」
この会見は夜遅くまで続き、翌朝町中に出された新聞の大見出しには堂々と『大統領、まさかの砂糖独占か!?』と書かれていた。
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