村編について(第17話まで読破推奨)
どの辺りから書くかなーと思いつつ、最初から書いていくしかない。
そう思って、村編です。皆様の心にトラウマを残した、温かくも残酷なエピソードでした。
RPGで言う、旅立ちの村的なポジションです。
旅立ちの村は、大抵燃えるか、穏やかに旅立つかの二択です(究極の偏見)。
そして、今回は前者だった。そういうことです(どういうこと)。
散々近況ノートにも書きましたが、最初、村編は「Banka1」程度の長さで終わるはずでした。
最初、村の人達の役割は。
両親 → 超暑苦しい愛すべき人達
ライン → 村の中では結構剣が強いわんぱくな男の子(カイリより強い)
ミーナ → ちょっとおませな、カイリ大好き女の子
リック → 無邪気な男の子。カイリを慕っている
村長 → 偉い人
こんな感じでした。
……何故でしょうか。あんまり今と変わらない気がしますね(お前の頭だからだよ)。
そして、更には何と。
最初、この世界は村と教会しかありませんでした。
というより、私が「世界にたくさん国があったら、管理が大変だよ。いや、たくさん国がある物語書いたことあるけどさ。ただでさえ複雑な設定なのに! まずいよ!」と駄々をこねて悪あがきをした結果、最初は何としても村と教会だけにする! と激しく抵抗し。
十分で陥落しました。
――それはそうですよね。村と教会しかない世界って何やねん。
おかげで、国は全部で四つになりましたとさ。
細かい島とか含めればもっとありますが、文化の設定くらいでしか出て来ないと思います。多分。恐らく。きっと(予定は未定)。
また、この物語、超長編にするか、「黒き翼」程度(か少し長いくらい)の長さかで決めあぐねていたりもしました。
村編を当初の長さで考えていた最初期は、教会にスムーズに移動し、二つ、三つくらいの長めのエピソードでクライマックスを迎える、というものでした。
ちなみに、教会から移動するエピソードは無いという酷さ。いや、それもありかなと思いますが。
世界設定を解き明かしていくというコンセプトがある以上、どうしてもカイリは移動して調査しなければならないのでした。がふっ。
ですが、もしそのまま中編程度で行っていれば。
この物語を書くキッカケになった、頭の中に降りてきた一枚絵、「主人公が村の者達に鎮魂歌を歌う」という設定は半分くらい無かったことになっていたでしょう。
ですが、これも村編を倍の長さにして、じっくり人の死を書くとなった時点で全てがボツになりました。
というより、そんな長さで、今回の世界設定を全て解き明かすとか! 急展開のジェットコースター並の超特急路線ですな! 景色が全然見えないよ!
そんな結論に辿り着き、ボツになりました。いつものことです。
後は。
――村の人達、殺したくないな、という強い迷いがありました。
村編を書きながら、ずーっと思っていました。
書けば書くほど、しかも名前が付いてしまったせいで余計に愛着が湧いて、「全員死ぬとか嫌だな。何人か残そうかな」と激しく揺らいだのは事実です。
ですが、それをやってしまうと、この先多分、私は甘い物語しか書けないな、と思ったのと。
カイリが旅立つ強い動機付けや、カイリの目指す方向性が変わってしまうな、と思ってしまったので。
心を鬼にして、全員お亡くなりになって頂きました。
かくして、カイリは一枚絵の通りに、大切な者達へ鎮魂歌を歌うことになったのでした。
村編を最初に書いていた時点で、葛藤しながらも、頭には最後のシーン、「亡くなった全員と話す一枚絵」が見えていた時点で、結末は揺らぎないものになっていたのでしょう。
しかし、えー、……。
村編で工夫したことを語ろうと思ったのですが。
……私、工夫って、何かしたかな(作者です)。
伏線を張ることに必死だったり、書きながら楽しんでいたりしたのが、工夫と言えば工夫でしょうか(全然駄目)。
強いて言うならば、全話に伏線が張ってあります。
これは、村編に限らず、ほぼずっとですね。張っていない話もあるにはありますが、圧倒的に少ないと思います。
むしろ、張っていない場合は、答え合わせの時間か、後に出てくる展開の目くらましの役割があります(こいつ、と我ながら思います)。
後は、子供達の喋り方ですね。
特に、ライン。「ラインについて」の項目にも書きましたが、一人称、台詞の漢字の量、話している内容にかなり気を遣いました。
ミーナも最後は、一人称や台詞は漢字の量が多めになりました。
それから、村の人達のカイリを「村から出したくない」空気。
これ、書いている時は「上手く騙されてくれるだろうか。どっちに取ってくれるかな」とドキドキしながら書いていました。
最初の方は、ちょっと恐い雰囲気が出せていたら良いなと思っていました。
なので、「ホラー」という単語が頂いた感想の中で出てきた時に、「よし!」と胸を撫で下ろした記憶がはあります。
最終的には、温かな方向への思惑だったことも書けたので満足です。
後は……、……。
トラウマになりますが、村の者達が一人、また一人と亡くなっていく描写を書く時ですね。一番村編で大切な場面です。
カイリが順番に、母、父、そして――とどんどん失っていくことになりますが。
そのカイリの恐怖や悲しみ、怒りを上手く読み手にも伝えられるかどうか。手を緩めないで書けているか。
もうひたすら容赦なく、敵の卑劣さ、残酷さや、目の前で殺される絶望、怒り、悲しみ。
どう表現すれば、どう持っていけば、どう展開していけば、より伝わるか。
一度全体を書き終わった後も、先の下書きを書きながら、ひたすら言葉の選び方とか文章の入れ替えとか、ずーっとやっていました。やっている間、ずーっと泣いていました(遠い目)。
あれはもう、二度と読み返したくないと思いつつ、後々の展開にも引っかかってくる場面なので、時折読み返さなければならないっていうしんどさがあります(苦笑)。
カイリの中に、強い後悔を残す場面としても一躍買ってくれました(嫌な買い方だ)。
後は、やはり最後の両親達との別れの場面。
ここも、失っていく時と同じく、言葉の選び方、文章の入れ替え、台詞の置きかえなどずーっとやっていました。
気を付けたのは、カイリの感情の爆発の仕方です。
それまでカイリは(弔う時には)かなり健気で「良い子」だったと思うのですが。
もう話せないと思っていた両親達との最後の会話の時に、カイリが感情を爆発させるシーンでは、カイリの「良い子」の顔を一瞬でも捨て去ることが目標でした。
もう一緒にいられない。呼び止めることは出来ない。もう二度とこんな風には話せない、触れ合えない。穏やかな日常には戻れない。
それが嫌というほど分かっていながらも、カイリが両親やライン達に、「もっと一緒にいたい」と願い、行かないでと泣き
それでも最後は良い子になってしまうのですが。
カイリが我がままを言えたこと、彼らと最後の時間を過ごし、別れをきちんと告げられたことで、カイリは前を向くための活力を手に入れました。
まだまだ巣食っている闇は大きいですが、それはフランツ達を含む、共に歩む人々と一緒に少しずつ、ゆっくり乗り越えていくことでしょう。
彼らからの形見のプレゼントもありますしね。
村については、まだ解決していない部分がありますが。
カイリはきっと、乗り越えていけると信じつつ書き続けます。
あと、工夫、工夫、……。
…………………………。
敵のリンダとブラッドを、如何にして怪しく、また「こいつ嫌い」と思わせるか、ですね!(?)
もうこいつら嫌い、と作者自身思いながら書いていました。最後に報いを受けてくれて良かったです。
何度も読み返して修正していた時、その回数を重ねるごとに、台詞とか行動の残酷さや非道っぷりが追加されていきました。
多分、今また加筆修正したら、更に追加されると思います。やりませんけど(笑)。
後は、歌です。聖歌の表現です。
出てくる【 】でくくった部分が聖歌、または聖歌語なわけですが。
この、歌っている合間合間に、風景やカイリの心理描写を挟むやり方は、かなり直前まで試行錯誤をしていました。
未だに、どう表現するのが一番良いのかまだ分かっていないですが。
現段階では、これが私の表現の全力です。
こんなところでしょうか。
まだまだ、多分、気を付けた部分とかはあると思うのですが。
大まかに挙げると、この辺りだと思います。……近況ノートに書いたやつばかりだったらすみません!
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