第11話 ゴブリンソードキング VS 戦士長ナール
この村から目的地の東帝国までは、村から北にまっすぐ進み、中央帝国と東帝国を結ぶ「東の道」に出て、東帝国へ向かうというルートだ。
順調に進めば8時間程で着くらしい。
「そろそろ朝ご飯にしましょう!」
そう言ってニャターシャはこの前出していたパンを3つ取り出し、俺たちに配った。
「ああ。ありがとう。」
戦士長ナールは自分のがあるからと断った。
おそらく、この世界の主食はパンなのだろう。
日本人としてはこういう時にはおにぎりを食べたい気もするがしょうがない。
それにしてもこのパン。見た目はフランスパンみたいな感じだが、サクサクでもなければ全然味がしない。
もともとフランスパン自体味は薄いが、それ以上だ。 まるで味のなくなったガムを噛んでいる気分だ。
出発してから特に魔物と出会う事はなく、俺たちは順調に北上して行った。
「暗くなってきたな。」
しばらく森を北上すると辺りがだんだん暗くなって来た。 どうやら森の最深部辺りに来たようだ。
「この辺りは強い魔物が多いから警戒してくれ。」
ナールが真剣な表情でそう言った。
かなり不気味な雰囲気だ。 いつ魔物と遭遇してもおかしくない。 そんな雰囲気が漂っている。
そんななか、俺は進行方向から何やら不気味な気配を察知した。
「何かいるぞ。」
「ああ。 そのようだ。」
ナールも察知していたようだ。
「ゴォォォォォォ!!」
その瞬間、馬が止まり、前方に5メートル程の大きな緑色の体をした大剣を持った魔物が現れた。
「ゴブリンソードキングだ!」
ナール曰く、ゴブリンソードキングというのは15匹くらいのゴブリンを従えて行動する魔物で、従えているゴブリンは弱いが数が多い上、ゴブリンソードキング自体がかなり強いらしくなるべく遭遇したくない魔物らしい。
「でも部下のゴブリン達はいないようだぞ?」
「ああ、ラッキーなことにそのよぅ...」
ナールがそう言いかけた瞬間、
ザザザザザザッッッッッ!!!
左右の草むらから合計15匹程のゴブリンが現れた。
「アヤト! 私がこいつを足止めしておく間にゴブリン達を倒してくれ!」
「ああわかった!」
「私も戦います!」
そう言ってニャターシャは剣を取り出した。
「いや、危ないから俺の後ろで待っててくれ。」
「......。」
正直数が多いとはいえ、ゴブリン程度なら一人で十分だ。
それに彼女を危ない目に遭わせるわけにはいかない。
俺は剣を抜き、ゴブリンに向かって切りかかった。
ゴブリンは一瞬で真っ二つになった。
「やっぱ弱いなゴブリンは。」
そこからはあっという間だった。
1匹あたり0.3秒。 約4秒で全てのゴブリンを倒した。
「あとはあのでかい奴か。」
ゴブリンソードキングの方を見ると、ナールが必死にその魔物の振りかざした剣をくい止めている。
俺も加勢した方が良さそうだ。 そう思ったのだが......。
ナールは横に転がって回避した。
その瞬間ナールは剣を光らせ、
「スラッシュ!!」
高速でキングの膝に切り込んだ。
「スラッシュ!!」
続けてもう片方の膝にも切り込んだ。
そして両膝を切られしゃがみ込んだ魔物の頭上を超える高さまでジャンプし、ナールは大剣を大きく振りかぶり渾身の技を放った。
「ヴァーティカルスラッシュッ!!!」
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