2-4:第4号機ディアリオ

■基本データ■

機体名 :ディアリオ

形式№ :APO-XJ-D001

機体構造:関節部内骨格+非関節部外骨格・“ハイブリッド構造”

基本素材:“5元アルミ合金”

     “高張力複合強化レザー布”

     “発泡性ダイヤモンドセラミックス”


主導力源:“プラズマハートユニット(パルス駆動マイクロ核融合炉心+MHD発電ユニット)”

駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)”

中枢部 :“クレア頭脳”

     “マインドOS”

     大規模高速ネットワーク対応“サブ頭脳ユニット”×5

     “人工脊椎システム”


身長高 :182cm

重量  :113kg


所属  :公安部公安4課隷下・情報機動隊

基本任務:ネットワーク犯罪捜査、ネットワーク犯罪者逮捕

責任者 :身柄引受・指導監督:情報機動隊隊長・鏡石玲奈

     開発開発者:第2科警研・市野正志

(なお、本来の身柄引受責任者は公安4課課長であるが外部非公開としている)

所有銃 :クーナン357


■特殊機能・特別固有機能


1)オールレンジアイ


・眼球の受光素子が通常の可視光線の範囲を超えて、ほぼあらゆる周波数の電磁波を映像として見る事が可能。


2)マルチデーターターミナル


・ディアリオ内部のコンピューターネットシステムと外部とを結ぶ入出力装置。あらゆるタイプの有線ケーブルや、多重通信無線ユニット(長波~マイクロ波)などを備える。


3)スタンロッド/エアジェットソード『ムラサメ』

 

・いずれもディアリオの個人携帯装備で、スタンロッドは高出力の電磁警棒(全長1m)で、ムラサメは切断能力を持つ帯電ループワイヤーを高圧空気で刀状にして用いる攻撃武器。ディアリオが居合抜刀剣術を主格闘技能としている事から装備された。


4)トライアーク『ドレイアー』


・3相交流放電による強力な雷撃放電装置。ディアリオの両腕に非常用武器として内蔵される。連続動作時間は約50秒で、それ以上はディアリオのメイン動力への負担が大きいため制限される。


5)高機能ネットワーク強制浄化プログラムシステム『ルコサイト』


・ディアリオが体内の全てのサブプロセッサーユニットをフル稼働させて起動する、広域ネットワーク浄化プログラムで、多数の独立した自立行動情報体を放出し統括制御することで一般的なワクチンプログラムよりも遙かに効率的かつ短時間に、暴走プログラム体や悪質な情報意識体をネットワーク上から排除・削除する物。放出される自律行動情報体はある程度の自立判断能力を持っておりその時の状況を独自に判断してフレキシブルに対処することが可能。

 ただし、ルコサイトシステムを使用するには、国家公安委員会権限による日本国内ネットワーク全域への強制介入が必要であり、情報機動隊隊長の鏡石女史による同意承認が必須となる。


■専用車両:高機能電脳車両『ラプター』


 ディアリオが情報機動隊で屋外で移動しながらの対情報犯罪捜査を行う事を想定して、サポートに必要な機能を搭載した4シータークーペスタイルの電動車。ガルウィング形状で、本来の後部席2シートを排して、そこに4機の情報処理プロセッササーバーと衛星回線対応型のデータ通信ターミナル/通信アンテナユニットを搭載し、主にディアリオのネットアクセスの補助することに特化している。

 インホイールモーター式の電動車で超電導バッテリーを用いてる。最高速度は267キロ。

 なお、後部の大規模サーバーと衛星通信回線装置を小型のものに置き換え、後部席も使用可能にしたものを『デミラプター』と呼び、情報機動隊の一般隊員に与えられている。


■能力傾向:


 ディアリオの機体構造はアトラスの外骨格とセンチュリーの内骨格のそれぞれの利点を良いとこどりする形で開発された。

 すなわち――

 内部メカニズムを多く内包することが可能で防御力も高く、構造の簡略化が図れる外骨格、

 優れた運動能力を持たせることが可能で速度性能の面で有利な内骨格、

――そのそれぞれの利点を併せ持つことを開発目標としてディアリオの開発がスタートした経緯がある。

 アトラスの外骨格タイプは内部メカニズムを多く持たせることが容易でありなおかつ防御力の面でも有利という利点があるが、反面、関節部の構造が複雑であり機体の自由度に限界があると言う欠点がある。アトラスはその初期設計が非常に優秀だったため、外骨格の欠点を克服出来たが量産に不向きであることは明らかだった。

 一方――

 センチュリーの内骨格式は開発当初から格闘技を習得させることが可能であるなど、運動能力に関しては非常に高い性能を発揮できた。ただし、骨格が内部にあるため、機体内部のメカニズムの搭載容量に限界があり特殊機能の付加においては圧倒的に不利であった。

 これらの二律背反する問題をクリアするために開発スタッフは、アトラスの外骨格型を基本として、頭部・主要関節部・指部などを内骨格化して、内骨格と外骨格の構造を併せ持つハイブリッド式とする事が開発方針とされた。

 その結果、内部の基本メカニズムの性能向上とダウンサイジングと合わせて、その体内に大規模な能力付加を行うことが可能となり、警察庁/警視庁サイドから要望されていた対情報犯罪用の特殊機能の搭載が可能となったのである。

 動体制御能力はセンチュリーの白兵戦能力には遠く及ばないものの、警察要員として犯罪者制圧のための戦闘行動を行うには必要十分なものであり、アトラス/センチュリーと差別化を図る意味でも特殊警棒の運用を想定した日本剣術の習得が行われている。なお、その際の剣術の指導教官となったのは開発責任者の市野氏である。

 ディアリオ開発の際には、特攻装警としては初めて専用車両の開発が行われている。これはディアリオの情報犯罪捜査能力をアシストし機能強化を図るために、大規模な情報サーバーや衛星通信回線アクセス能力を付加した専用車両が求められたためである。このさい、アトラスのダッジバイパー改造車の作成で得られた電動車開発技術が応用されている。



■開発経緯:


 センチュリーの開発と同じ頃、アトラスから得られるデータをベースとして特攻装警の第4号機の開発が進んでいた。それがディアリオである。

 一方、当時の警視庁では公安隷下に情報犯罪を専門とした独立チームを設立しようとするプランが持ち上がっていた(これがのちに鏡石 礼菜女史に率いられる事となる『情報機動隊』である)

 その際に上層部の中から「情報機動隊に特攻装警を組み入れよう」と言う意見が出された。そして、第2科警研では警視庁からこの申し入れを受け、対情報犯罪の特殊機能を、当時開発中だった第4号機ディアリオに盛り込んだのである。

 ディアリオは基本構造をアトラスの開発技術から発展させて作られている。その際、センチュリー開発で得られた内骨格アーキテクチャの一部を導入することによりアトラスやセンチュリーの時よりも大幅なコストダウンや工期短縮を行うことに成功した。さらに、第2科警研に新素材開発・技術協力の名目で参加していた市野氏の尽力により、体内機能メカニズムのダウンサイジングに成功、ディアリオへの搭載機能として要望されていた対情報犯罪用特殊機能を非常に高機能なレベルで搭載を可能とさせた。

 こうしてディアリオは、特殊機能化する特攻装警の分岐点となったのである。


 ディアリオが完成し実動可能となった時、それと時同じくして公安4課の管轄下に『情報機動隊』が設立される。ディアリオは開発当初から情報機動隊へと配属されることが決められていたため、実際の現場配備に関してはまったくスムーズであった。

 彼はその後の活動においても本来の性能を十二分に発揮した。その性格が冷徹で真面目であった事も彼の活動にプラスに働いた。そして、この時代の情報犯罪に対する十分な抑止力となったのである。

 その後、暴対のアトラス、少年・交機のセンチュリー、情報のディアリオとして、特攻装警の最初の安定期が訪れたのである。

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