お酒の草子

春はジントニック。

するするしゃになりゆく、

うりはうすく緑で、

キンと冷えたるジンを

青臭く引き立てる。


夏は麦酒ビール

暑き日はさらなり、湿気もなお、

乾きを多く増し高めさせる。

また、ただ一つ二つなど、枝豆と共に味わうもをかし。

外でいただくのもをかし。


秋は赤ワイン。

夕日のさして山に潜むジビエを生で、

タルタルソースと共にゆくとて、

三つ四つ、二口三口で食べ終わってしまうことさへあはれなり。

まして猪などのこんがりと、

いと小さく焼かれたるは、いとをかし。

日入りはてて、酔のうち、散歩するなどは、言うべきにあらず。


冬は焼酎。

雪の降りたる日は、言うべきにもあらず、

お湯割りの暖かさも、またさらにとても寒いときに、

火など急ぎおこして、ロックで割りたるも、いとつきづきし。

昼になりて、こたつの様子を見に行けば、

中に入る人も赤く眠りてわろし。

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