第96話ドイツの男女平等についていくつか思うことを書きます

ところで私はフェミニストではないと言った理由には、長いドイツ生活の中ではもともと欧米の「男女平等」には首を傾げていたこともあったからなのです。

わかり易い例で言うならば、例えばサウナなのですが、ドイツのサウナは男女混浴です。

男女混浴だけならまだしも、衛生上の問題からとかわけのわからない理由で、なんということか、全裸で入らなければならないという規則があるのです。


今から20年ほど前にシュトットガルトのホテルで上階にある、プールとサウナへ行くと、サウナから出てきた真っ裸のおじさんが全裸のままプールで泳ぎ、プ-ルサイドには金髪の若くて綺麗な女性がこれまたさっそうと全裸でサウナの方へ歩いているのを見た時は、初めてのことで理由もわかっていなかったということもあり、息が止まりそうなくらいびっくりしました。

その上そのおじさんは私に向かって

「ここではみんな裸になるのが普通なのだよ、ワッハッハ」と話しかけてきて、当時まだ(今よりは)若かった私は、セクハラを受けているのかと思ったくらいでした。


それでその件を当の女性達がどう思っているかと言えば、

「なんで女だからって裸になっちゃいけないの、それは性差別」とか思っているらしいとわかり、それにはもっとびっくりしました!

「どうせ、誰も見やしないわよ」と彼女らは思っているそうですが、いやいや、いくら男女平等で育った男の子たちだって、あんな女性が全裸で歩いていたら凝視してしまうことでしょう。

肌が白く、整った顔立ちで、若い時代はナイスボディのドイツ人女性は結構たくさんいます。

まあ、40歳すぎるとおデブちゃんが増えてくるドイツではありますが、20代前半なんてそのまんまモデルさん?というようなお嬢さんもいますしね。

なのでそういう事まで『男女平等』とか言っている話を聞くと「なんだかおかしな男女平等だな」と思ったりしていたわけです。


それに私のように特になんの能力もない場合は男女平等よりも、不平等くらいのほうが都合が良いということも実際にはありますしね。情けない話ではありますが…



ですが一昨日のYoutubeに出てきた女性たちを見て、意識が全く変わりました。

20年ドイツにいたので、男女平等はある意味どうやら普通のことのように考えていた私は、久しぶりに日本の現状を知ったからなのかもしれません。

ああいう優秀な女性達が、女性という理由で社会で活躍する機会を取り上げられているのであれば、それは間違った社会であると、つくづく思わされたのです。


ドイツでは約20年くらい前から、職場とか私立学校とか希望者を選別しなければならない所では、女子が少なくなるのは差別の問題もあると見なされ、職場、学校側は選別に気をつけなければならない規則ができたことは前回書きましたが、これもまた補足させていただきます。


例えば優秀さにおいて同じ条件なら女性を採用するように、ということが推進され、そういう理由から男子が多かった元は修道会系エリ-ト校(もどき)も女子の数が増え(男女数は半々が望ましいと)、同じ教育を受けることができるようになったわけですが、当時はそれでは男子学生が損をするのでは、と考えられていました。

うちの長男がギムナジウムへ入る際、一応面接試験があって、全員は合格できないという私立のギムナジウムへ行こうとした際に、ドイツ人のママ友が当時

「今は女の子のほうが簡単にギムナジウムへ行けるから」有利であると、話していたのを覚えています。



ところが、それが今となってはどういうわけか、逆に男性はこの決まりで守られてもいるようになっているようです。

…と、いうのは、実は女子の中に優秀な人がたくさん出てきてしまったようで(まあ、そもそも女の子のほうが勤勉で先生や親の言うこともよく聞きますし)、こうなると優秀さで言えば女性の方が多くなる可能性もあり……ですが男女平等ですからね、人数的には男性もないがしろにされるようではいけないと男性もこの決まりに置いて守られているのが最近の現状と、嘘か本当かわかりませんが聞いたことがあります。


例えばこれは間違いない情報ですが、教授職などでも、女性の方が有利とまでは言えませんが、もし男女共に同じレベルで教授職に応募したとした場合は、女性を採用するのが望ましいとされているとのこと。

でもこれもこれから20年後には優秀な女性の研究者がますます増える一方で、その頃には今とは反対に

「男性を男性という理由で雇用しないのは性差別である」という取り決まりになるのではないかと、私は予想してしまいます。

ただ理系はやはり男性の方が強そうではありますけれどね。

(そう考えると三番目の「多様性」に属する方達も一定数入れるべきだと、「多様性」であることが有利になるという時期も必ず来るはずですね。)


あと例えばドイツでの次期首相の件で、秋以降一体誰がメルケルさんの後継者としてふさわしいのか、ドイツだけではなく諸外国からも注目を浴びているようですが、これまたなんだかパッとした感じの方はいなさそうで心配ですよね。

1ヶ月位前に一応CDU党の新党首が選挙で決まりましたが、正直あの候補者のお三方(全員男性)は皆さん雰囲気的には失礼を承知で言わせていただくなら、『どんぐりの背比べ』という感じでしたね。


もちろん素晴らしい経歴の方達なのですが、どう頑張ってもメルケルさんの人望には敵いそうにないな、という雰囲気でした。

でも男性政治家だけではなく女性政治家の中にもメルケルさんの後を任せて良いと思える人が現在はいないというのが現実ですが、しかしながら16年前メルケルさんが首相になった際も国民は 「なんか、頼りなさげな、お嬢さんね(当時50歳でも70歳の政治家の方から見たらひょっ子だったでしょうから)、大丈夫?」と思っていたそうなので、長い目で見るしかないのでしょうね。


私は個人的には、女性政治家のほうが常に好印象で、メルケル首相だけではなくて、フォン・デア・ライエン欧州委員長もそうですし、イギリスの元テリーザ・メイ首相も元ジョンソン首相よりはるかに信頼できそうだったように思います。またフランスの マクロン大統領とかよりもっとすごい女性政治家は、フランスならいそうですけれどね、どうでしょうか。フランスもちょっと女性は大変そうなイメージありますが、と言って日本のような差別があるのかどうかは私は全く知らないです。


私の知り合いでフランスで長らく働いていた優秀なチリ人の女性なのですが、彼女が

「フランス人男性は恋愛が大好きで、すぐにセクハラ並みに恋愛関係になりたがり面倒くさい」と言っていましたが、彼女が働いていたのは、今からもう30年くらい前のことですから、フランスもとっくの昔にそういうことはなくなり、変わったかもしれないです。2020年のジェンダー・ギャップ指数 を見てもフランスは153カ国中15位ですから、やはり人権の国なので、女性の人権も高いということは間違いなさそうですし。



それから例えばやはり女性の首相なり代表なりを選ぶ国-ニュージーランドや北欧の国々-というのはもちろん男女差別は失くそうと努めているか、あるいはほとんど差別がない国でしょうから、そのような国の未来は開けているように感じますよね。実際そういう国の社会保障も良いので、それも興味深いですが。



また話は戻りますが、特におとといの会議に参加されていた女性の方達は、ご本人達は政治家になろうなんて気はさらさらないのだと思いますが、あのように優秀な人材を国のため活用しきれていないのだとしたら、もちろん現在のようなおかしな政治家しかいなくて当たりまえかもしれないです。


正直現在の日本の芸能人上がりの変な女性政治家の方達よりよほど素晴らしい方達ばかりだったので、日本で大活躍をしてほしいと心から願っています。

そしてあの女性達に全ての活動を負わせて、決して孤立したりすることのないよう、みんなでバックアップしていくべきだと思います。


幸い、「女性蔑視発言『女性入る会議は時間かかる』森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます#ジェンダー平等をレガシー に」はあとほんの数時間で14万件の署名が集まりそうですね。


沢山の方が声をあげてくれますように。

今こそ少しでも社会を変えられる、大きなチャンスの時だと思いますね。


明日は男性の皆さんの「2/9 Don't Be Silent #変わる男たち」も楽しみにしています!!!


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