第64話 古今無双の英雄 その2
クンフーはラビュリントスから出てきたアルゴノーツ達を片っ端から倒していき聖遺物や装備品を剥ぎ取り続けた。
それを見ていたイアソンは遂に業を煮やしラビュリントスを支配しているテセウスと迷宮の怪物まで解き放った。
「ねえ、イアソン。流石のアステリオスもあんな化け物には勝てないよ……」
テセウスはラビュリントスから出てくると、獅子と猪と天馬の引く戦車に乗りペーレウスの剣を振り、エウリュトスの弓を背負ったクンフーがレーイトスとアスカラポスが出した合計42隻の軍艦に乗った兵士達とメディアが召喚した巨竜がアイタリデースの指揮の元でクンフーと戦っている光景を見てそう言った。
軍艦に乗った兵士達は機銃型のレーザー銃で巨竜が襲うクンフーを打ち落とそうとしていた。軍艦はメディアの魔法で護られており、巨竜もメディアの魔法で何重にも強化されている。加えて指揮をしているアイタリデースの能力で軍艦に乗っている兵士や巨竜が激的に強化されている。
クンフーはあまりの敵の数と巨竜の強さ、そしてアイタリデースの的確な指揮と能力にこれまでとは違い苦戦を強いられていた。
テセウスの自身の無い意見にイアソンは
「そうでも無いぞテセウス、幾ら奴でも一騎当千は無理の様だ。それに……」
と言うとメディアの方を見てメディアは
「アスクレーピオスがヘラクレスの準備完了って言ってます!」
と明るく言った。するとイアソンは
「よし、待ちわびたぞ!早速呼び出してくれ!」
とメディアに命じた。するとメディアは魔法陣を展開させイアソンの前にヘラクレスを連れ出した。
現れたヘラクレスはネメアーの獅子の皮を貼り付けたSF鎧に百の頭を持つ竜ラードーンの鱗を付け、ヒュッポリュテの腰帯を腰に巻き付けていた。左肩にはクレータの牛、右肩にはゲーリュオーンの牛の頭の防具を付け、ガントレットの指先にはステュムパーリデスの鳥の嘴を付けていた。兜にはケリュネイアの鹿の角、エリュマントスの猪の牙、オルトロスの牙を付け、足はケリュネイアの鹿とディオメーデースの人食い馬の骨を素材にした装具を付けていた。マントはステュムパーリデスの鳥の羽で出来ていた。
ヘラクレスは出てくるとイアソンを見て
「悪いなイアソン、待たせたよ」
と悪びれずに傲慢さをいっぱいに出して言った。するとイアソンは
「本当だよ全く、だが奴を倒してくれればそれで良い」
と呆れた様に言った。するとヘラクレスは
「ああ、わかってるよ。それじゃあ行ってくる!おい、アステリオス行こうぜ!」
ヘラクレスがそう言うとアステリオスは黙ってヘラクレスに付き従いそして体に黄金の粒子を纏った。するとヘラクレスは右腕を前に付き従い出し剣を握るように手を握った。するとアステリオスの体が黄金の粒子に変わりバラバラに弾けてヘラクレスの手の中で再び収束した。収束したアステリオスの黄金の粒子はイアソンの腕の中で大剣となった。
更にメディアはヘラクレスの前に巨大な魔法陣を展開させヘラクレスはその魔法陣を潜った。
「よし、準備完了!」
ヘラクレスはそう言うとマントを翼に変えてクンフーの元まで飛んでいった。
すると、テセウスは
「これでやっと終わるね〜
ラビュリントスに閉じ込めた煉獄の能力者は朽ちるまで閉じ込めておけば良いだけだし〜!」
と言い、イアソンは
「ああそうだな。これで我らの勝利だ」
と自信満々に言った。
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