第18話 神への挑戦

異空間倉庫内で僕は、回復ポットに入れて回復させた能力者達を取り出した。


役小角達用に回復ポットを作っておいてよかった。

僕も聖も咲も致命傷なんて受けないからな。


回復ポットから取り出した能力者達は、

僕を見ると少し戸惑って


全員の意見を代表する様に

グラスホッパーが


「ここは何処だ?」


と僕に尋ねた。


「ここは、僕の能力で作った異空間倉庫の中だ

訳あって君達を助けさせてもらった」


僕が、そう言うと


「なんだ、そうだったのか

ありがとな」


とグラスホッパーが訳もわからず感謝すると

キング・メイソンが、それを見てため息をつき

僕に尋ねた。


「それで、どうして俺達を助けたんだ?」


「それなんだが、

僕は、君達を倒すだけでもやっとだったって言うのに

神が新たな試練を与えてきた

今、神話に出てくる怪物の

ケルベロスとハヌマーンを相手に

僕の仲間が奮闘してる

君達も手伝ってくれ」


僕が、そう言うと

後ろにいたマイスターが


「なぜ、

私達がそんな事をしないと行けないんだ?」


と僕を小馬鹿にしたように言った。


「君達は、神に僕を倒す様に言われて

復活したんだろう?

僕は、君達を殺さずにこうして助けた

それは、僕が必要としたからだが、

あの怪物を助けたら君達を自由にしてやる

どうだ、美味しい話だろ?」


僕がそう言うと

キング・メイソンが


「つまりお前は、これが終わったら

俺達を何処かにほっぽり出す気なのか?

それじゃあ、足りない

お前の能力は充分に準備を整えれば無敵だと

俺は、思っている

そこで、交換条件なんだが

俺達がその化け物を倒したら

俺達をお前の庇護下に置いてくれ

それならば、協力しよう」


と言うと


「つまりは、これが終わった後も

君達の面倒を見ろと?」


「ああ、そうだ」


「て言う事は

君達は、今この場から

僕の子分か」


僕が、馬鹿にしたようにそう返すと

キング・メイソンは、真面目な目で


「ああ、そうだ

お前の下にいるのが

ここで一番安全だからな

そう言う事だお前達、

今からメメント・モリは、クリエイターの傘下に入る

異論がある奴はいるか」


キング・メイソンが、後ろにいるメンバーに尋ねると


「まあ、自衛するより楽で良いな」


とパイロが言い


「ボスが言うなら、異論は無い」


とガーダーが言った


それを見たマイスターは、


「ふん

仕方ない

協力してやろう

住処や食事も提供しろよ?」


と言うと


「ああ、それで問題無い頼むよ」


と僕が、真剣な表情で返した。


「全く、調子狂うな

メメント・モリ以外の奴らはどうするんだ?」


とマイスターが照れ隠しに言うと


「お前は、一緒に来てくれるだろ」


と僕が、グラスホッパーに言うと


「まあ、行くとこも無いしな

良いぜ!」


と言ってくれた。


気に食わなそうな顔をしているピキニ・カイカイには、


「咲が寂しがってる

お前も来てくれ」


と言うと急に顔色を変え


「仕方ないな〜

私も協力しよう!」


とヤル気満々になった。


そして、


「お前らは、正直よく知らないから

どっちでも良いぞ」


と言うと


「なんだそれ!

俺らも面倒見ろ!」


とブラックアウトが言い

イカロスもそれに同意してついてきた。


「良し、

全員よく言ってくれたッ!

じゃあ、後は頼むぞ!」


と言って僕は、

異空間倉庫のゲートを開き全員を外に出した。


すると、そこには

血に飢えた様な表情の体長5mを超えた化け物が

必死で役小角を追う姿が見えた。


それを見てキング・メイソンが


「おい、これは...」


と絶句した。


「ケルベロスとハヌマーンだそうだ

頼むぞ!

あ、そうだ

グラスホッパーと役小角は、

僕と一緒に来てくれッ!」


と二人を連れ出して僕が行こうとすると


「ちょっと待て

俺の能力は、建造物を操る能力だ

何も無いと戦えないぞ!」


とキング・メイソンが慌ててそう言うと


「なんだ、そうなのか

じゃあ、これ使ってくれ」


と僕は、キング・メイソンの近くに大型建造物破壊特化型エレファントを移動させてそう言った。


それを見るとキング・メイソンは、


「これなら、行けそうだ

ああ、任せろ!」


と本来コックピットなど無い大型建造物破壊特化型エレファントの内部に能力で入り込んで操縦しながらそう言った。


「それじゃあ、行く前に

キング・メイソンとマイスター、ピキニ・カイカイ、ガーダーでハヌマーンを

残りをパイロが指揮してケルベロスを倒せ!

任せたぞ!」


と僕が指示し


「おう、行って来いッ!」


とハヌマーンを殴りつけながら

キング・メイソンが言った。


「じゃあ、グラスホッパー

僕と役小角を連れて神の元まで飛んでくれ」


「了解ッ!

行くぞ!」


とグラスホッパーが、能力を発動し

上空の神の玉座まで飛んだ。


神は、それを見かけると

転移した僕らを空中に浮かせ話をした。


「おお、まさか彼らを仲間にするとはな

良いだろう最後の試練だ

少し、移動するぞ」


と神は言い、

キング・メイソン達の攻撃が当たらない場所まで移動すると僕らを地面に降ろし


「では、最後の試練を開始する」


そう言って、神はまた手を子招く様な動作をして

魔法陣を浮かび上がらせ

怪物を呼んだ。


「私の下僕の中で最強の怪物

ヨルムンガンドだ

君達には、コイツと私自身の二人を相手にしてもらう

勝てば、合格だ」


神がそう言うと


「何に合格なんだよ

いい加減教えろ」


と僕は言ったが


「それは、勝った後で無ければ

教えられない

良いから戦えッ!」


と言って神はヨルムンガンドをけしかけた。


僕らは、取り敢えず距離をとって

ヨルムンガンドを迎え討った。


「おい、クリエイター

何か武器をくれ

素手じゃあれは無理だ」


とグラスホッパーが言うので


「ああ、そうだな

じゃあこれを使え

ついでに役小角もこれを持ってろ」


とグラスホッパーに方天画戟を

役小角に日本刀を渡した。


武器をを渡すとグラスホッパーは、


「おう、サンキュー!」


と元気そうだったが


「俺は、もうクタクタなんだが...」


と役小角が、心底しんどそうに僕に言った。


「大丈夫だ

君達は後方支援に呼んだだけだから

僕のサポートをしてくれるだけで良い」


僕は、そう言うと


剣術特化型ビートル槍術特化型ライノ徒手格闘特化型モンキー支援武装特化型バタフライだけを残し、余計な武装を異空間倉庫にしまうと

智慧ジュウホエにそれを操作させて、

ヨルムンガンドを攻撃した。

まず、

支援武装特化型バタフライが、背中に付いた小型の円盤型の装置を三つ飛ばし剣術特化型ビートル槍術特化型ライノ徒手格闘特化型モンキーの背中に装着させると三機は、円盤型の装置から放出されるナノマシンで体を覆われナノマシンが、金属原子の様に自由電子の様な働きをする特殊なエネルギーを循環させ、ナノマシン同士を繋ぐことで既存の、どの物質よりも高い硬度と靱性と融点を持つ鎧となり防御力を格段に上昇させた。


それは、徒手格闘特化型モンキーの拳は勿論、剣術特化型ビートルが持つ峰の部分がソードブレイカーになっている太刀と槍術特化型ライノが持つ槍の先端がドリルになっている馬上槍にも効果が及び攻撃力も格段に上昇した。


そして、智慧ジュウホエが動かすその三機にヨルムンガンドの注意を惹かせると僕は、魔法を唱えた。


「聴けッ!

早春に吹く冷たい風は、

見放されたと過ぎ去り嘆き、

これが真実と受け止める

強く根付いた

小さな君は

アドニスの鮮血で花開く

誤ちの想いよ

今こそ

待ち焦がれた抱擁を

たとえ残酷な運命の悪戯だとしてもアイス・ブルーム シューン・ライン・デ・リーベ


すると、ヨルムンガンドの体が氷のアネモネに覆われ、

動きを止めた。


「良し、成功だ

役小角ッ!

神を竜巻で覆ってくれ!」


すかさず僕が、役小角に指示を出し


「グラスホッパーは、

これを神の体に飛ばして突き刺してくれッ!」


僕は、そう言うと

ありったけの刀剣類を異空間倉庫から取り出して

グラスホッパーに渡した。


神が動けぬように、

三機に神を攻撃させて時間を稼ぎ、

ほとんどの刀剣類を飛ばしきると


「役小角、最大火力で雷を神に落とせッ!」


僕は、その落ちたタイミングを狙い

急いで魔法を唱えた。


「聴けッ!

厳格な意思の天才は

己の誠実さの証明に

煌々と光る刀剣を

眼前の敵に突き刺して

高らかに叫ぶは

ただ一つ

忍耐強く待ち望んだ

無謬の勝利ッ!

鬨を挙げるは、真なる英傑フランメ・ブルーメ ジーク・ハイル


僕が、魔法を唱えると

巨大な炎のグラジオラスの花が

真紅の輝きを放ちながら

竜巻を吹き飛ばし、

神の胸に一直線に突き刺さると、

灼熱の業火が、神の全身を覆った。


「うああああああああああッ!」


神は、絶叫しながら

炎の中で溺れた様に空を掻いた。


「やったぞ!

僕らの勝ちだッ!」


僕が、安心してそう言うと


神は、

突如正気を取り戻したかの様に

藻掻くのを止めると

パチンッ!と指を鳴らし

炎を消した。


「なんだ、この程度で終わりか?」


そう神がつまらなそうに言うと


僕らは、驚愕して息を飲んだ。


「あれで、無傷なのか?...」

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