第6話 ピキニ・カイカイとサクリファイス

窓から指す日差しを無視し続け、

垂直に屋敷を照らし始めた頃

僕は、昨晩、色々と試作し

屋敷で昼過ぎまで寝ていた。


コンコンッとノックの音が聞こえる。


無理だ、低血圧で体が動かない

機械の体で、血管無いけど


「旦那様〜

そろそろ起きてくださ〜い」


バキッ!


そう言いながら、

聖が鍵の掛かった

ドアノブを引き千切って入ってくる。


「もうちょっと

寝かせてくれ

昨日、遅かったんだ」


僕が、そう言うと


「何を言ってるんですか

こんなに天気が良いのにっ!」


そう言って、聖が笑顔で僕の体を揺さぶる

可愛い。


「ホントにもうちょっとだけ

待ってくれ」


僕が、そう言うと


「も〜う

しょうがないですね〜


聴けッ!

嫉妬の魔女は高らかに嗤う

愛しい人への贈り物

肌を包む温もりは

息、詰まる業火へ変わる

泥棒猫の焼死体メディアドレス


彼女が、呪文を唱えると

僕の体が、表面から徐々に炎に変わる


「うああああああッ!」


僕は、急いで新しい体に乗り換え

ベッドの消化に務めた。


「おはよう

今日は、なんだか暑いね」


「そうですか?

私は少し肌寒いくらいです」


「ははは

いくら、温厚な僕でも

流石に受け入れられない

お返しだ!」


僕は、そう言って

部屋に仕掛けておいた

トラップを発動して

聖を強化ガラスの檻に入れる


「それは、僕が一晩考えた

SR5096と同じ様な性能の超強化ガラスだ

いくら君でも簡単に破壊出来ないぞ!」


僕が、そう言うと

聖はそれをツルハシの様に変えた

足で一発蹴って粉々に砕き

いとも簡単脱出した。


「...」


僕が、それを唖然として

見ていると


「どうやら

少し、遊びたいようですね〜

旦那様」


聖は、微笑んでそう言った。

ホントだ確かにちょっと寒いな

震えが止まらない。

でも、可愛い。


「では、行きますよ〜」


聖は、そう言って

ネコ科動物と虫の間の様な形状に

足を変え、

右腕を刀に変えると

笑顔で、僕に襲いかかって来た。


僕は、初撃を避け、

机に置いておいた

M1873ピースメーカーを取って

彼女の足に撃ち込んだ。


だが、彼女は僕を通り過ぎた後

壁を走って一回転し、

拳銃の弾を避け

僕の背後で着地し、

僕に足払いをして

ひっくり返し

足の裏を肉叩きの様にして

僕の顔を踏みまくった。


「も〜う

旦那様は〜

そんなに弱いと

直ぐにやられてしまいますよ?」


僕は、体を乗り換えて


「君が強すぎるんだよ...」


僕が、そう言うと


「ダメですよ〜

そんな事では〜

えいっ!」


そう言って彼女は、

右腕を大きなハンマーに変え

僕を窓の外まで吹き飛ばした。


僕は、せっかく綺麗にした

庭を破壊しない様に

細心の注意を払って着地した。


聖は、天使の様な翼を生やして

僕を追って外に出てきた。

可愛い。


「ほら、

外はこんなに気持ちが良いです!」


聖が、空を仰いで

手を広げながらそう言った。


「そうだね

どこか出かけようか」


「本当ですか!

私、ずっと外をお散歩したかったんです!

旦那様は、普段インドアなので

そう言って貰えるのを待ってました!」


聖は、眼を輝かせながらそう言った。

可愛い。


「じゃあ、この間

ドローンを飛ばして地図を作っていた時に

いい場所を見つけたから

そこへ行こうか」


「はい!」


僕は、聖をお姫様抱っこして

聖を守る為にSFで出てくる様な

エネルギーシールドを張りながら

マッハ3のスピードで

目的地に目的地に飛んで行った。


「着いたよ」


「え〜

もう着いたんですか?

途中の景色も楽しみたかったのに...

それに、なんですか?

この匂い

生臭い」


そう言って、聖は僕から降りると

目の前を広がる景色に驚いた。


「わあっ!

これ、海ですよね?

凄い!

綺麗!

一度来てみたかったんです!

ありがとうございます

旦那様!」


そう言って、聖は僕の頬にキスをした。

可愛い。


断崖絶壁から見える海を眺めて

聖は興奮して海飛び込んだ。


さっき肌寒いって

言ってなかったか?

それにこの高さ普通死ぬぞ...


僕が、そう思いながら

聖を見ていると

聖は、マーメイドの様な見た目に変わって

此方に楽しそうに手を降っていた。

可愛い。


僕は、流石に

ここから飛び込むのは気が引けるので

聖の気が済むまで近くにある

コテージで休む事にした。


僕が、コテージに入ると

無人だと思っていたが

女の子がソファに座っていた。


気付かず入ったので

見つかってしまい

女の子が此方に話しかけてくる。


「お兄ちゃんだぁれ?」


女の子は、キョトンとして言った。


「あ〜

ごめんね〜

お兄ちゃん此処に誰もいないと思って

入って来ちゃった

僕は...

そう、クリエイターだ

君は、一人で此処に住んでるの?」


「ううん

聡と一緒に住んでるの

今、お出かけ中だけど」


「そっか〜

一人でお留守番出来て偉いね〜」


「でしょ〜!」


女の子は、自慢げにそう言った。


「じゃあ、僕はこれで」


「待って、

せっかく来たんだし

お茶飲んで行って〜

此処に誰か来るなんて初めてで

ちょっと嬉しいの!」


女の子は、そう言って

厨房にテテテと走って行った。


僕は、その隙に異空間倉庫から

M1873ピースメーカーを取り出して

懐に忍ばせた。


少しして

女の子は、紅茶を入れたマグカップを

二つ持ってきて片方を僕に手渡す。


「はい、どうぞ

熱いから気をつけてね」


女の子は、微笑んでそう言った。


「ありがとう

いきなり来たのに気を使わせてごめんね」


「ううん!

大丈夫だよ〜」


女の子は元気いっぱいにそう言った。


僕は、紅茶を飲みながら


「それで

君も自殺者なんだろ?

誰かに襲われなかったかい?

君みたいな子じゃ戦えないだろ」


と女の子の隣に座り尋ねた。


「聡がいれば大丈夫!

私達、結構強いんだよ!」


女の子はそう得意げに応えた。


「へ〜

そうなんだ〜

凄いね」


もう一人が帰ってくると

厄介そうだな

この子をここで殺しておくか


そう思いながら

僕は、懐に手をかけると

拳銃を取る筈の右手の感覚が無い。


「そうなの!

だから、お兄ちゃんも

直ぐに倒せちゃうよ

そろそろ薬が効いて来る頃でしょ?」


女の子がそう言い、

驚いて右手を見ると

ドロドロに溶けていた。


「聡の薬は凄いからね〜

バイバイお兄ちゃん」


このクソガキぶっ殺してやる!


僕は、そう思いながら

体を乗り換えて拳銃で

女の子の頭を撃ち抜いた。


「痛いっ!」


女の子は、頭に穴が開くとそう言い

頭を抑え、

話した時には、傷が完全に治っていた。


「何!?」


「も〜う痛いな〜

何するの!

女の子を虐めちゃいけないんだよ!」


女の子は、怒りながらそう言った。


「何するのはこっちのセリフだ!

いきなり人を溶かすな!」


僕が、怒鳴ると


「だって、聡が誰か来たら

そうしろって言うんだもん!

言いつけを守って偉いでしょ!」


女の子は自慢げにそう言った。


僕は、ムカついて

女の子の体に五発の弾丸を撃ち込んだ後

銃床で女の子の頭をぶん殴った。


「も〜

痛いよ!

そんな事しちゃダメって言ってるでしょ!」


「クソがッ!

お前、どうしたら死ぬんだ!」


僕が、そう叫ぶと


「私は、何をされても大丈夫な能力だから

何をしたって無駄だよーだ!

べー!」


女の子がそう言って

舌を出した。


「そうか、じゃあ

何をしても良いな」


僕は、そう言うと

左手で女の子を掴んで

猫を持ち上げる様に持ち上げると

異空間倉庫からガスバーナーを取り出して

女の子の口を焼いて溶接した。


「ん〜

ぱっ

痛いって言ってるじゃん!

なんで、わかってくれないの!」


こいつ、メチャクチャ回復早いな。


僕は、長い鉄杭を作って

女の子の胸に突き刺し、

そのまま仰向けの状態で床に突き刺した。


「ああああぁ!

苦しいよ!

やめて!

これ取ってよ!」


女の子はバタバタと藻掻いている。


天帝シャンティー!

小さな女の子に何て事するんですか!」


智慧ジュウホエが、僕のあまりの行動に怒ると


うるさい、君は僕の良心か?

次言ったら見た目をコオロギにするぞ!

第一、コイツ普通の人間じゃ無い!


僕が、異空間倉庫からチェーンソーを取り出して

女の子の手足を切り落とそうとしていると


「貴様ァ!

さきに何をしている!」


男が帰ってきて

僕に何かを投げつけた。


僕は、それを無視して

女の子の体を切り刻もうとすると

カプセル型のそれは、

僕に当たると弾けて

僕の体を溶かし、

即座に大穴を開けた。


僕は、それに怯んで

チェーンソーを落とすと

体を乗り換えて

コンポジットロングボウで男を撃った。


男の右肩に矢が突き刺さり

男が怯むと

僕は、弓を置いて

異空間倉庫からトンファーを出して

男に殴り掛かる。


男は、咄嗟にポケットから

カプセルを取り出すと

僕の足元に投げつけた。


床にぶつかるとそれは

ちょうど僕の足だけを吹き飛ばすくらいの

威力で爆発した。


男は、その隙に矢を引き抜いて

胸ポケットの錠剤を飲んだ。

すると、傷が塞がり

男は、動けなくなった僕を通り過ぎて

女の子の元へ走った。


「咲、大丈夫か?

今、助ける!」


「大丈夫だよ!

聡が来てくれたから!」


そう言って二人はキスをした。


僕は、体を乗り換えて

2m程の大きさの棍棒を取り出し、

片手で持って先端を方に置き

こう言った。


「気持ち悪いんだよ

ロリコン野郎!

そのまま二人くっつくまで

これでぶっ潰してやる」


すると、キスされた女の子の体が

みるみるうちに

ボコボコと歪んでいき

形が変わって

バッタの様な足首に狼の様な足、

大きくした蟻の様な腕に人間の手で

鋭く尖った爪を生やし、

蜘蛛の様な顔に、山羊の角を生やし、

全身を蟹の様な外骨格に覆われた化け物になると

鉄杭を引き抜いて立ち上がった。


「気持ち悪さ倍増だな...」


「黙れ!

貴様に、

この素晴らしさがわかってたまるか!

やれ、咲!

あのガキに己の完全性を教えてやれ!」


男がそう叫ぶと


「何の話をしてるか

全然わかんないけど

敵を倒せば良いのね?

わかったわ!」


そう言うと、女の子もとい化物は、

凄まじいスピードで僕との距離を詰め、

僕の体を爪で引っ掻いた。


僕は、引っかかれた後、

化物を蹴り飛ばし、

棍棒で思い切り潰した。


つもりだったが、

化物は難なく着地し、

棍棒を止めて、

それごと僕を持ち上げて投げ飛ばした。


「うわっ!

なんだそのパワー

それが、お前の能力か!」


僕が、男にそう言うと


「いや、私の能力は

自在にどんな薬品でも生成出来る能力だ

彼女のこれは、

生前に私がクリスパーキャス9を使って

改造したものだ

彼女の献身的な協力で完成させる事が出来たのに!

学会の馬鹿殿は、

道徳的に問題がある

科学者にあるまじき中傷で僕を罵った!

だから、僕は己の正しさの証明の為に

天国へ行く!

そして、地獄に落ちる奴らを眺めて

唾を吐いてやるのさ

アイツらには、それがお似合いだ!」


そう言って、男は僕にカプセルを投げつけた。


僕は、それをかわしたが

かわした隙を狙って

化物が僕の足を掴み

引き千切った。


僕は、棍棒を捨て

拳銃で化物を撃つが

外骨格を貫通出来ず、無駄だった。


化物は、そのまま僕を倒して、

首をもぎ取った。


僕は、体を乗り換えて

化物に催涙ガスを噴射した。


「ゲホッゲホッ!

ああ、痛いよ!苦しいよ!

助けて!」


「待ってろ

今、助ける!」


男がそう言って、

化物にカプセルを投げようとするが

腕に付けたクロスボウでそれを破壊し、

男の右腕を斧で叩き落とした。


「うああああああッ!」


僕は、斧を捨て

男の髪を引っ掴んで引き寄せ

顔面に膝蹴りを入れた後、

背中を肘打ちして倒し、

後頭部を思い切り踏みつけ、

異空間倉庫から拳銃を二丁取り出して、

男の背中に全弾撃ち込んだ。


男が動かなくなると、

僕は、苦しみ藻掻く化物の方へ行き

屋敷で聖に使った強化ガラスの檻に

化物をぶち込んで

中を液体窒素で満たした。


それを異空間倉庫に放り込んで

僕は、コテージを去った。


コテージから出ると

聖はまだ泳いでいた。


「おお〜い

そろそろ帰ろう」


僕がそう叫ぶと


「え〜

もう少し良いじゃないですか〜!」


聖が、止まって此方を向き、

頬を膨らませてそう言った。

可愛い。


「君は、ほっとくと

一生泳いでそうだからダメだ」


僕が、そう言うと


「そんな事言わずに〜

旦那様も一緒に泳ぎましょうよ〜」


聖が笑顔でそう言った。

可愛い。


「...

僕が作った水着着てくれるかい?」


「良いですよ〜」


「やった!

今、行く!」


そう言って、僕は崖から飛び込み

聖の元へ向かった。


「よしじゃあ、早速着替えてくれ!」


僕が、そう言って

聖の修道服を脱がせると


「ちょっと

も〜う、ダメですよ

急に脱がせちゃ〜

はいはい、今着ますから〜」


そう言って、聖は水着に着替えた。

可愛い。


ひとしきり泳いだ後、

僕らは、コテージに行って休む事にした。


コテージに入ると


「うわっ!

なんですか?

この死体

それに、血塗れですし

何か、あったんですか?」


聖がそう言うと


「ああ、君が泳いでる間、

ここで戦ってたんだ」


「そうなんですか!?

全然、気付かなくてすみません!」


「いや、良いんだ

君が楽しんでるのを邪魔したく無かったし」


「旦那様...」


聖は、嬉しそうにそう言うと


「では、ここは汚いですし

奥の部屋に行きましょうか」


「ああ、そうだね」


聖が、そう言って

奥の部屋に行くと

そこには、明らかに自作の拷問道具が大量にあった。


あのガキやたら痛みに強いと思ったら...

あの変態ロリコン野郎め


「ねえ、

旦那様?

これは、なんですか?

まさか、これで私を?」


聖が、冷ややかな口調でそう言うと、


「いや、

これは此処に住んでいた奴ら物だ」


「嘘つかないでください!

誰が、わざわざこんな物拵えるんですか!」


「本当なんだよ

信じてくれ!」


「もう、信じられません!

そこに跨ってください!」


聖は、木馬を指さしてそう言った。


「...君、

もしかして、楽しんでない?」


「一日にこんなに楽しい事を

用意してくださるなんて

優しい旦那様」


聖が、嬉しそうに微笑んでそう言った。


ああ、今日も彼女の愛が僕の体に染み渡る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る