祐とニコとブラッシング
夏休みもついに最終日だという今日。
僕は今日もいつもと変わらず、ニコと遊んでいた。
「やー、本当可愛いなお前」
頭をわしゃわしゃお撫でてやる。
目の前には、気持ちよさそうにフローリングの上に転がるニコがいる。
「なんだかなあ。お前とは仲良くするつもりはなかったんだけど」
僕がそう呟くと、ニコがまるで僕の言葉を理解しているかのようにこちらをにらんできた。
「ごめんごめん。僕の負けだよ。ニコと僕はもう仲良しだって」
そう言ってやると、ニコは満足げな顔になってニュイーンとのびをした。
僕はいったんニコから離れると、猫用のブラシを持ってきた。
夏は毛が生え変わる。もう8月も終わりだというのに、ニコの毛はまだ抜けていた。
まずは頭から、優しくブラッシングする。
頭から、背中へ。
背中から、お腹へ。
お腹をブラッシングすると、ニコはわざわざこちらにお腹を向けてくる。
そしてグイっと顎を突き出してくるのだ。
僕は顎の裏をかいてやる。
ニコがより気持ちよさそうになる。
僕が今まで飼っていた猫は、ブラッシングをしようとするとすぐに嫌がって逃げてしまっていた。
しかしニコはブラッシング大好きでやってやるといつも気持ちよさそうにする。
一通りブラッシングを終えて、ニコを抱きかかえる。
「ミャー」
少し不満げにニコが鳴くが、気にしない。
「ブラッシングはまたやってやるから」
そう言ってニコに顔をうずめる。
ふわふわした毛が、僕の顔を覆う。
ニコはペロペロと僕をなめてきた。舌がザラザラしていて少しこちょがしい。
こんな幸せな日々がもっと続けばいいのにと思う。
明日からはまたつまらない学校が始まるが、家に帰ればニコがいると思うと頑張れそうだ。
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