160_底辺と底辺

一日のほとんどが苦痛の連続ばかりで

自分が少しずつ死んでいくのが分かる

代わりに手にしたものは贅沢という

言葉の意味を教えてくれないお金

自分の存在価値の低さを

心と体に焼き付かせてくれる


真面目だった頃に持っていた正義感は

ずっと心の奥底で眠ってるのだけれど

子供の頃のままで変わっていないから

無垢な正義が使えないと知った今では

心の余裕がないただのお荷物化してる



今日もまた初めて見る人に頭を下げる

おそらくストレス解消を兼ねた罵声を

装飾のない言葉に変換して脳内に通す

昔は感情あるまま受け止めていたけど

それが自分の心を殺すと気づいたから

この罵声はもう環境音みたいなものだ


だからもうどんな言葉も受け止められる

悪い言葉も良い言葉もどうでもいいと思える

自分の心が生きているか死んでいるかも分からない

まさに底辺にふさわしい有様だ



休日は僕が装飾のある言葉を浴びせる

相手もきっと僕と同じように対応しているだろう

だから僕も気にせずより装飾の言葉をかける

そして麻痺した心を麻痺させる安心が生まれる

その場からすっきりして暗い家に帰る


テレビでは無垢な正義感を振りかざした

自分みたいな人が捕まっているニュース

捕まえたのは同じく自分みたいな人たち


これで変わるだろうって本気で語る姿を

滑稽に思う自分が今食べている即席麺は

自分みたいな人が作っているんだろうか

まさに底辺にふさわしい有様だ



僕らの代わりはいくらでもいる

僕らはずっとしがみついている

僕らは年を追うごと入れ替わる

新しい僕らがやってくる

追い出された僕らの行方は

だれも知らない追いかけない

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