練習の練習「勇者と魔王」
まくしえ
第1話 今を生きる伝説
今のご時世、スマホでもタブレットでも電子文字の入力ができるのだ。
かの伝説の「一本指打法スペースレンジャー」(注釈※1)がいた。
今を生きる伝説がA4用紙1枚に収まる開会式の式次第を作成している傍らで、寝不足の欠伸を噛み殺しては苦いコーヒーを啜り、時折「なるほど」「そうですね」と呟く。
2時間の予定の同窓会の司会原稿を書き直しながらでも、小説の練習ができようというものだ。ようはやる気の問題だ。
というわけでこの物語は、セミオーダーメイドのゲーミングパソコンを注文したのだけれど、納品まで2週間くらいあるのでちょっと暇だった“私”が、ツイッター友達のネット小説を読んで「私も小説を書いてみたい」と思い立って、ぷりぷり設定満載なテーマの異世界ファンタジー小説に挑戦したものの、設定もりもり過ぎてイメージを文章化しきれずに尻尾がシュンとなって挫折し始めたので、練習の練習として書き連ねる練習の練習の練習小説だ。
(注釈※1:
「一本指打法」とは、
利き手の人差し指だけで行われるキーボードの打鍵方法だ。とにかく文字入力が遅い。タンポポの綿の方がまだ早く地表に着地するのではないかという程に遅い。
そしてなぜかEnterキーは指高らかにとどめの一撃を放つかのように押す。そういった無駄な動きが多く、必要な動きが少ない。
「スペースレンジャー」とは、
かの有名な表計算ソフトを用いた文章を作成する際、文の改行をスペースキーの連打で行う老害である。スペース連打、スペースレンダー、スペースレンジャー、これだ。Alt+Enterを使うか、素直にかの有名な文章作成ソフトを使うようにしたい。
Alt+Enterはその存在すら知られずに「ここに(文字が)あるのに消えちゃった」というちょっとホラーな言い回しで遠まわしに「お前がやれ」と言われたことがあるので次に使う人を選ぶよう注意したい。
あるのに消えるホラーなオジサンは頑固な人で面倒くさかったのを覚えている。
何度か説明しても「俺は悪くないし、頭もよくて理解力が高いのだが、この機械がダメで俺についてこれない」という主張をし続けてついに折れることはなく、最後までセルの折り返しも認めてくれなかった。)
かくして「一本指打法スペースレンジャー」は今日も元気にキーボードを穿つ。
その伝説の傍らで、私の練習の練習の練習小説の、開幕開幕~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます