第214話 フラフィー正座

「さてキミヒト、申し開きはあるかしら?」


「みんなのこと平等に大好きさ! ってフラフィーお前久々に包丁持ちだすのやめよ?」


 ずっと隠し持っていたのか、この世界にきてようやく刃物を俺に突きつけてきた。今までどこに隠していたのかわからないけど、みんながいるところじゃないと出さない仕様にでもしたの?


 あれか? 本当にぶっ刺した時の保険が必要って事か? みんながいれば本当に刺しても復活させてくれるって思ってるって事? 危なすぎる思考回路なんだが?


 だれだよフラフィーの事まともって言った奴は。


「フラフィー、回復は任せてくれていいのよ」


 クロエも乗り気だしダメだこいつら俺を本気で殺る気だ。このままでは俺はクロエの魅了を受けて抵抗の意思を奪われ、身体強化魔法を使ったイリスに取り押さえられながらフラフィーに刺される。


 なんだ、ただの幸せか。かかってこいよ。準備は出来てる。


 あかね? まだ照れてるよ。


「待ってください皆さん。お兄ちゃんは確かにロリコンだし皆さんの事を性的な目で見る事も多々あるどころか大体そうですけど、私にはそういう目を向けてきたことはありません」


 女神様さっき俺が胸ちら見てたの暴露してたよね? かばうくらいなら言うのやめてくれても良かったんだよ? 絶対めぐの姿になってから俺の事茶化すの楽しくなってるよね?


 あんまり人と話したことなさそうな感じだし寂しかったのかもしれないな。ここは俺がしっかりめぐと仲良くして寂しさを紛らわせてやらないといけないだろう。


「……あかねさん、ほら私とお兄ちゃんがそう言う関係じゃないってちゃんと証明してください。あなたならそれが出来るはずでしょう? いつまで照れてるんですか」


 めぐが痺れを切らしてあかねに助けを求める。本来であればこういう修羅場が発生した時はあかねがなんとかして場を収集させてくれる気がしていたが、俺が照れさせてしまったため機能しない。


 そしてロリ達は例外なく武闘派になってしまったため危険度が急上昇。俺の命の軽さは留まるところを知らず、彼女らの掌の上だ。ロリに生殺与奪の権利を握られるの最高です。


 そう言えばめぐってもし死んだとしたらどうなってしまうのだろう。人間として同じように魂を転生させられるのだろうか。それとも今の女神のパワーを持って別の女神になるのだろうか。


 どっちにしてもいい感じにさぼっているイメージしか沸かないけど。


 そんな事をぼんやり考えているとあかねが復帰して俺と女神様を交互に見る。


「私からは、そうだなあ……正直嫉妬するレベルで相思相愛としか思えないかな」


 みんな真顔。怖い。


 女神様引きつり笑い。死にそう。


 俺悟りの境地。


 なんであかねは爆弾投げるん?


 でもめぐと相思相愛って言われるのは純粋に嬉しいからいいか。ロリ達の事も愛しているし大好きだけどなんかこう女神様って別格の存在だったから色々とこみ上げてくる物があるよね。


 うん、お腹に金属が刺さっているように感じるけど何かこみ上げてくる原因これだよね。なんでフラフィーは俺の目に見えないスピードで動いて守護と不屈の防御突破してるん?


 なんでお父さんに負けたの君。普通にお父さんより強いやん。それに良い感じに内蔵裂けてダメージが残りすぎないように、ただただ出血量が出るように刺してるのほんとおかしい。


 気遣いの方向が間違ってる。気遣いっていうか気違いっていうかもう暴力的すぎるようちの子達。全員に殺されかけてるんだけどなんで? 放っておいたらこれ本当に死ぬんだけど。


 今はロリに刺されたっていう感動が勝ってるから普通に色々考えてられるけどめちゃくちゃ痛いんだけど。え、クロエなんで無視なん? 俺もう立ってられないんだけど。


「うーんでも二人とも信頼って感じが強いから親友って感じかな。もしくは先生と生徒っていうか。恋愛感情はないよ」


 みんな真顔。それを先にいってやれや。そっちならこんなに痛い思いしなくて済んだと思うんだけど……。あ、もう意識飛ぶわ。不屈切ってみんなに看病してもらおう。






「……おはよう」


「お、おはようございますキミヒトさん」


 意識を失って気づいたら宿屋のベッドに寝かされていた。周りには全員いるがみんな微妙な表情をしている。当然と言えば当然だが。人を刺しておいて平然としていたら逆に俺が驚くわっていうね。


 イリスとクロエは通常運転だけど何も言ってこないあたりからその雰囲気を感じるって言うね。俺が意識を手放すと思ってなかったのかもしれないな。いやイリスは本気で何も思ってないわ。伊達に一緒にアトラクションのダンジョン行ってない。


 ガチ反省してるのフラフィーだけやん。


「フラフィー正座」


「はい……」


 正座の概念は既に教えてあるので素直に床に正座してしょぼくれるフラフィー。ちゃんと反省出来るのは良い点だし耳が萎れてへにゃってるのもめちゃくちゃ可愛いし尻尾がゆらゆらとしているのも非常に可愛い。あかんむらむらしてくる。


 ベッドの上でお仕置きしたくなる欲求をぐっとこらえてただただフラフィーを見つめて緊張させ続ける。最初はこうやってちゃんと反省するのにまた包丁出すんだよなこの子は……。


 やっぱ猫耳の可愛い女の子が大人しくしてるのいいよな。うんうん。


 一通り満足したので次の目的を話すことにする。ベノプゥの屋敷はすんごい時間かかりそうだから盛大に後回し。忘れたらすまん。エルフ達はベノプゥがそのうち迎えにいくって話だからおっけ。


 食材だけ集めて料理してあげられなかったけど、きっとそのうち凄く美味しい料理食べられるからそれまですまんな、


「よしじゃあみんな、とりあえずケイブロットに行って服買うか。めぐとあかねのが主にだが」


「え! キミヒト君買ってくれるの!?」


 あかねがめちゃくちゃ嬉しそうな声をだす。買わないなんて言ってないしみんな着替えてるときに仲間外れは可愛そうだろ。めぐの服も欲しいしミカのテンションについて行きたいしついでだよって言うのはちょっと黙っておくけど。


「あ、ありがと」


 なんかあかね普通にしてるとヒロイン力たけえな。なんだかんだで俺に致命傷与えてないのあかねだけだしもしかしたら正ヒロインの座を狙ってきてるのかもしれないな。


 今回はサボってないし本気かもしれん。


 とりあえずめぐとの関係をうやむやにして逃げることが出来たので良かった。これから色々と旅して遊びまくるぜ。

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