第21話 Light mare CO. LTD.






賢者の塔を攻略した俺と蘭は、塔から出て直ぐに砦へと転移した。4塔からは離れているので、誰にも見つからずにいれたのは良かった。また騒がられても面倒だしな。


「ただいま〜」


「凛ちゃんなっちゃんシルフィーナさん戻りましたよ〜」


「あっ! ダーリンに蘭ちゃんお帰り! 大丈夫なのはわかっていたけど、やっぱりそれでも心配したわ。あんっ」


「光希に蘭ちゃんお帰りなさい。心配してました」


「コウキに蘭さんお帰りなさい。心配したわ」


「おっと! 凛恒例のお帰りハグはやっぱり嬉しいな。このお尻も柔らかいし。ん? この為にTバック履いたのか。嬉しいな〜」


「あんっ! だってダーリンいつもお尻揉むから……」


砦に転移をして奥の部屋にあるテントに入ると、いつものように凛が抱きついて迎えてくれた。俺はいつも通り凛を抱きしめてお尻を揉んだら、なんと下着の感触が無かった。この為にTバックを履いてくれている凛に俺は感激をした。尽くす女っていいよな。


「うふふふ。ただいま凛ちゃんなっちゃんシルフィーナさん。蘭も紋章魔法覚えられました」


「え!? 蘭ちゃんも覚えたの!? 私も覚えられるかな」


「蘭ちゃんも? 付与魔法を持っているからかしら?」


「それは予想外ね……勇者様以外でも覚えられるのね」


「恐らく付与魔法の適正がある人は覚えられるんじゃないかな? まだ検証例が少ないからなんとも言えないけどね。それより聞いてくれ。紋章魔法の秘匿されていたもう一つの使い方がわかったんだ」


「シルフィーナさんが言ってたやつね。確かスクロールにする以外の使い道があるってやつ。それでどんなの?」


「私もなんだろうと思ってました」


「コウキ。私もずっと気になってました」


「それは生物に魔法を付与できる事だ」


「生物に? え? それって……ええ!?」


「そ、それは私のように魔法が使えない者が、魔法を使えるようになると言う事ですか?」


「とんでもないわね……それなら確かに秘匿するわね」


「ああそうだ。だが当然無制限じゃない。スクロールを作るのと同じように、その人間の持つ魔力値によって付与できる魔法の数が変わる。そうだな……夏海は魔力値がBだから上級魔法一つと中級魔法一つ使えるようになる。上級魔法一つと初級魔法二つでもいけるな。恐らく容量的な物で、初級魔法二つで中級魔法一つ、中級魔法二つで上級魔法一つって感じなんだと思う」


俺は勇者が秘匿していた紋章魔法のもう一つの使い方を皆に説明した。これは生物の持つ魔力量によって付与できる魔法のランクと数が決まるもので、何となくだがどれ位の数を付与できるかがわかる。魔力値がCランクなら上級魔法1つ付与できるが、中級魔法2つでもいけるし初級魔法4つでも大丈夫だ。


「それは本当ですか!? 私が魔法を……刀からでは無くこの手から魔法を……」


「ダーリンそれ凄い魔法じゃない! 私は? 私はいくつ使えるの?」


「凛とシルフィーナはSランクだから……上級魔法三つに中級魔法一つかな」


「そんなに!? 転移覚えたい! 楽ちん転移がいいわ!」


「ふふふ、凛ちゃんいつも転移が使えたら階段登らなくていいのにとか言ってたわよね」


「転移は皆の身の安全の為に是非覚えて欲しい。シルフィーナもシルフに聞いてみてくれ。夏海は転移の戦闘での有用性がわかっていると思うしな」


「やったー!これで好きな所に好きな時に行けるわ」


「確かに光希の戦闘での転移の使い方を見て、私も使ってみたいとは思っていました」


「ん〜……シルフは転移は問題無いと言ってるわね。私の身の安全の為ですって」


「そうか、良かった。それじゃあまず俺が聖魔法以外全部上級まで覚える。それから使える魔法とその効果を書き出すから、皆はそれを見てどの魔法を使えるようになりたいか考えておいてくれ。これは大事な事だから言っておくけど、一度紋章を身体に付与したら消す事は出来なくなる。後になって時戻しの魔法でリセットも可能だけど、それをすると経験値は魂に入る物だから大丈夫だが、肉体的に鍛えた分はリセットされてしまう。その点を踏まえてよく考えて決めて欲しい」


「はーい。そう言えばダーリンたくさん上級魔法書持ってたわね。あーどうしよう!使いたい魔法だらけで迷っちゃう!天雷とかカッコいいし」


「私は光希の闇刃が思い出深いですし、汎用性も高いので使いたいですね」


「うふふふ。蘭も火魔法以外使えるようになるのが楽しみです」


「私もシルフと色々相談してみるわ」


「みんな時間はあるからゆっくり考えてくれ。それとクリスタルに触れた時に女神らしき人の声が聞こえてね。俺だけステータスが異常に上がったんだ」


「えっ? 女神ってあのリアラって女神? 声? お告げ?」


「コ、コウキ! それはどういう事ですか? 巫女でもないコウキが女神様の声を!? それにステータスが異常に上がったとは?」


「ああ、これを見てくれ」


俺はクリスタルに触れた時の事を説明し、鑑定の羊皮紙を見せた。


「EX!? EXってなに? 限界突破じゃない! もうダーリン魔王なんて指先一つで倒せるんじゃないの!?」


「凛さんそれは北斗の……あ、いえ……過去の勇者様でもEXランクの方はいなかったわ。SSSの上はEXだったのね」


シルフィ……お前だいぶ早い時期からアニメ見てたんだな。


「しかも魔法関係以外も上がっています。これはどういう事なのでしょう? 蘭ちゃんも?」


「なっちゃん私は魔法関係が1ランク上がっただけですね。主様だけです」


「女神の声が聞こえた時に、勇者よ申し訳ありませんって言ってたんだよね。恐らくお詫びにステータス上げておいたから許してねって事じゃないかな」


「お詫びって……」


「女神様は直接現世の人に能力を与えたりできないので、今回の賢者の塔攻略の報酬を水増しした形で与えるのが精一杯だったのではないでしょうか? 魔王を倒してくれたコウキを元の世界に戻せなかったお詫びなのか、この世界でダンジョンを攻略したお礼なのかは分かりませんが」


「なるほど、そう言われると納得だな。この世界に来た事は恨んでないけどな、こんなに素敵な恋人達と出会えたんだ。その事は感謝してる」


「ダーリン……今の言葉キュンッてきたわ」


「光希……嬉しいですね」


「コウキと私は世界を超えた運命の出会いだから……ああ、勇者様と次元を超えた愛……」


「運命……そうだな、皆と出会えたのは運命なんだろうな」


お袋に弟よ、俺はそっちの世界よりこっちの世界の方が幸せなんだ。すまんな、俺の事はもう忘れてくれ。


「ダーリン。早く家に帰ってお風呂に行きましょ! 大浴場に行って今日はダーリンをみんなで洗ってあげて、その後はみんなで一緒に寝てあげる」


「おおっ! なら早く家に帰ろう。さあ行くよ!」


「やだ、ダーリンがっついちゃって! 可愛い」


「ふふふ。光希可愛いです」


「コウキったらそんなに私が欲しいのね……」


「うふふふ。主様ったら」


俺は早く皆とお風呂に入りたくて急いで転移をした。


家に着いて直ぐにリビングで装備を外し、全員で大浴場へと向かった。

大浴場では恋人達が俺の前から後ろから、そして下から上から口と胸とお尻を使い隅々まで綺麗に洗ってくれた上にマッサージまでしてくれてた。そこはもう桃源郷だった。

俺は疲れて脱力した身体に鞭を打ち、マットに全員うつ伏せにし寝転がらせた。そして一人づつ俺も全身を密着させて背中やお尻を外から内からゴシゴシ洗ってあげた。


そして全員でさっぱりした後はラウンジで少しお酒を飲み、俺と蘭による賢者の塔の最上階での武勇伝を語り聞かせた。


「2000体!? アークエンジェルクラスやそれ以上も!?」


「光希がいなかったら私達では全滅してますね」


「女神様はなんて難易度の高い塔を……この世界で攻略できる人が今後現れるのかしら」


「聖剣があるから楽に処理できたけど、無かったらもっと時間が掛かってたな。蘭も俺も疲れ果てたと思うよ」


「主様の魔法一撃で殆ど殲滅してしまったので、蘭は残りを倒すだけの簡単なお仕事でした」


「いつか自伝を書く時は、私のダーリンは世界最強ってタイトルにするわ」


「ふふふ。私の勇者様は世界最強ですから。その……は、伴侶になる者として、最低限自分の身を守れるようにならなければ」


「コウキ……さっきしたばかりなのに身体がまた熱くなってきたわ……」


「大丈夫だシルフィーナ。これを飲むからな」


「そ、それは! だ、大丈夫よ。シルフィーナさんも加わったし大丈夫……」


「光希それはまさか……」


「うふふふ。蘭が全て受け止めます」


「え? え? 何? 『鑑定』……コウキそれって……超って付いてるそれは……」


「さあみんなを満足させるぞ! 誰一人不満を言わせない。それが俺の責任だ!」


「なんかカッコいいセリフを言ってるつもりだろうけど、ほんとにダーリンはえっちなんだから」


「ああ……あの獣のようになる光希に……」


「凛ちゃんなっちゃんシルフィーナさんも頑張りましょう!」


「ど、ドキドキして来たわ……」


俺はなんだかんだと期待に胸を膨らませている恋人達を連れ、キングサイズのベッドのある寝室へと向かった。

早速浴衣姿の皆を剥いていこうと思ったら、恋人達は着替えて来ると言って一旦寝室を出て行った。俺は超精力剤を飲み準備万端で待っていた。

少しするとドアが開き、そこにはサキュバスコスの恋人達が立っていた。


「お、おお〜! それどうしたの?」


「リムちゃんに貰ったのよ♪ ダーリン好きでしょ?」


「これはかたり恥ずかしい格好ですね……」


「コウキがリムさん達のお尻を目で追ってたのは知ってるのよ? 私達にも興奮して」


「うふふふ。尻尾と翼と角は蘭の幻術で付けました」


俺は感動した。凛に夏海にシルフィに蘭。皆がサキュバスコスを身に付けて恥ずかしそうに立っているのだ。蘭と凛の胸なんて殆どはみ出てるじゃないか! けしからんけしからん! その場でクルリと回ってくれた時に見えた、殆どTバッグのお尻に夏海とシルフィの履いている網タイツ! もう興奮度MAXだよ。


「ふふふっ、ダーリンもう我慢できなさそうね。それじゃあ皆行くわよ?」


「「「「貴方の精を吸い尽くしてあげる♪」」」」


俺はその場で全裸になりジャンプして彼女達に襲い掛かった。


「キャッ! あんっ! そんな胸に……ダーリン赤ちゃんみたい……そ、そこに指入れちゃ……んんっ……」


「こ、光希……網タイツが破れ……もっと乱暴に……して……」


「あっ……コウキいくら準備できてるからっていきなり後ろから……服付けたままなんて……は、激し……んんっ」


「ん……主様……蘭もご奉仕……します……んっ、んっ、んくっ……」


俺は恋人達の身体に貪りちき、翌日の昼近くまでお互いの愛を激しく確かめ合ったのだった。



明けて翌日。未だベッドから動けない蘭以外の恋人達に作り置きの朝食を持っていき、恨みがましい顔で見られた後に俺は地下の工房へ蘭と逃げるように引きこもった。


「主様。昨夜のは蘭もキツかったです。たくさん愛されて嬉しいのですが、足に力が……」


「蘭には一番多く相手してもらったからな。悪かったよ。今日は楽な姿勢で紋章魔法の検証をしような」


「はい……スクロール化するんですね。蘭は豪炎をスクロールにします」


「あれは範囲魔法で強力だからな。お互い最適な魔獣の皮を見つけて訓練所で色々検証しよう」


俺と蘭は大量にある今まで狩った魔獣の皮を使い、どの大きさに切れば紋章を付与できるのか? そしてどのランクの魔獣の皮にどのレベルの魔法を付与できるのかと検証を始めた。

スクロールを作る方法は簡単で、魔力を多く持つ魔獣の皮に付与したい魔法を思い浮かべ紋章魔法を発動するだけだ。用意した魔獣の皮が付与したい魔法に見合わない物だと、紋章魔法自体が発動しない。


俺はまずDランクの魔獣の皮を30センチ四方の正方形に切り、初級水魔法を付与しようとしたが紋章魔法は発動しなかった。続いて60×30の長方形にしたら紋章魔法は発動した。

こういった感じで中級、上級と試していきサイズを大きくしたりして訓練所で試し撃ちをした。


そして分かった事は、サイズの大きさや良い皮である事は魔法の威力に関係無いという事だった。そのランクの魔法を発動するのに最低限の魔力を持つ魔獣の皮であれば、紋章魔法は付与できるし威力も変わらない。皮の大きさも一律最低60×30もあれば付与できるし、大きいからと言って威力も変わらない。

ただ、器用さやイメージなどはスクロールを使う際に反映しないし、魔力を多く込めて威力を増す事も出来ない。つまり炎矢や雷矢などの飛ばして当てる魔法は、出現数が少ない上に命中率の関係で近距離からでないと当てる事は難しいという事だ。

やはり範囲魔法メインのスクロールになりそうだ。


次にスクロール素材となる魔獣の皮だが、これは個体数が多くて大型の魔獣を選んだ。その方が今後市場で手に入りやすいからだ。


初級魔法スクロール素材にDランク魔獣の魔羊。こいつは風の魔法を使う上に逃げ足が速い。しかし頭が悪く罠によく掛かるので捕まえやすいので、魔羊狩り専門の探索者がいる程だ。

中級魔法スクロールの素材にCランク魔獣の牙魔象と土猪に黒鬼馬。どれも風や土魔法を使い大型でタフだが、一頭で多くの皮が手に入るのでお得だ。

上級魔法スクロールの素材にはBランク魔獣の火熊、氷獅子、地竜、魔牛を使う事にした。中でも魔牛は肉が美味いので討伐数が多く皮も入手しやすい。

俺も在庫はたくさんあるが、いずれ無くなる物だ。早めに凛に素材を確保してもらい、それからスクロールを売り出そうと思う。


その凛が作る会社はもう既に登記が終わり、後は従業員の確保のみとなっている。

壁の入口付近に会社のビルと従業員用のマンションを建てる計画らしく、入口付近で工事が始まっていた。

代表取締役には凛が就任し、夏海が秘書兼ボディーガードをやるそうだ。そして新堂さんも手伝ってくれるらしい。うちに来てくれている家政婦さん達も元探索者だけあって、何人か興味を持ち働きたいと言ってくれている。俺は減った家政婦さんの代わりにサキュバスを入れようと思っている。


技術部門の責任者に俺が、副責任者として蘭が働く事になっているみたいだ。

既に内部情報に詳しいシルフィーナから、大量の初級スクロールの発注が来ている。探索者協会の初心者達に回したいそうだ。上級スクロールで大きな利益が望めるので、将来への投資として初級スクロールだけは格安で販売しようと思う。


検証がある程度終わり、俺は自衛隊用に中級と上級の軍事用スクロールのサンプルをいくつか作った。蘭は夏海の為に豪炎のスクロールを作っていた。シルフィーナの精霊は火が苦手らしく、スクロールを使えないので渡せないと残念がっていた。

そしてある程度落ち着いた頃に、凛が夕食が出来たからいい加減上がって来なさいとインターホンでモニター越しに怒っていたので蘭と5階に上がり夕食を食べる事にした。


「ダーリン大須賀さんから電話があったわよ? 賢者の塔の攻略の事報告してないでしょ」


「ああ忘れてたよ。後で詳しい報告をしておくよ」


「あと、クオンとエメラにグリ子とグリ美の受け入れ準備は大丈夫なの?寂しがってたわよ?」


「それは建設会社に依頼してあるよ。取り敢えず明日土魔法でグリ子達の住処は即席で作って置く。市長にも報告しておかないと行けないしね」


「光希。その件で自衛隊と市長から、ドラゴンに乗れるのはいつなのかと頻繁に家に連絡が来ているそうです。女神の島攻略中だと愛美が対応してますが、大体の日程を知りたいそうです」


「うーん……壁の入口の西側、ビルとマンションを作っている反対側に土魔法で即席で乗り場を作るか? 先ずは次の日曜日に、家政婦さん達と警備員さん達の家族に市長の家族を招待しよう。俺も背に付けるシートの調整をしておくよ。凛、告知をしておいてくれ」


「分かったわ。伝えておく。政府関係者も乗りたいって五月蝿そうだけどね」


「その辺の招待人数の調整は凛に任せるよ。家政婦さんと警備員さん達の家族を最優先にしてくれれば、人数が増えても構わないよ」


「そうね。少し増えると思うわ。土日の二日間にするわ。ダーリン、ついでに西側の乗り場を入口から塀で囲ってくれる? 防犯の為にね。私達の土地に工作員が紛れ込むのも嫌だし」


「そうだな。そうする事にしておくよ。警備員達もその日は大変だろうから、サキュバスにも警備させれば何とかなるだろう。広い土地だからその辺は大変だよな」


俺は食事をしながら凛の話を聞いていた。どうも自衛隊は壁の入口を警備している時に、市民にいつドラゴンに乗れるのかしょっ中聞かれるようだ。市長は言わずもがなだな。あまり先延ばしも良くないので、先ずは身内を優先にし、それ以外は我が家の対外窓口をしてくれている凛に任せる事にした。

壁の入口から西は更地で何も無いので、そこに塀で囲んだスペースを作る事にして乗せればいいだろう。


「それとダーリン。異世界人を大量に雇おうと思ってるのよ。今回救出した人達も、こっちで言葉を教えながら簡単な仕事をしてもらおうと思うの。ドワーフやホビットは早めに確保しておきたいのよ」


「でも住まいはどうするんだ?」


「それは手配したわ。取り敢えずマンションが出来るまでは、最新型のプレハブ住居を30世帯分トラックで運んでもらう事になってるの。魔石燃料を使った最新型よ!」


「それならいいんじゃないか? 生活が落ち着くまで毎月支援金を渡すと言えば集まるだろう」


「コウキ。そんな事しなくても集まるわよ? 皆貴方に恩返ししたいって凄かったんだから」


「そうか? それなら尚の事支援金を渡してあげてくれ。生活を削って恩返しされても嬉しくないからね」


「ダーリンったら。それじゃエンドレス恩返しになるわよ。ほんと優しいんだから」


「ふふっ。コウキのそういう所にみんな惚れたのよね〜」


「うふふ。主様は照れ屋で素直じゃないんです」


凛が異世界人を早めに確保したいならそうすべきなんだろう。俺は彼等がもっと日本に馴染んでからと考えていたが、生活の支援をしながらならまあ大丈夫かな。

やたらと持ち上げる恋人達に俺は恥ずかしくなり話題を異世界人の話から変えた。


「ははは。まあそういう事で夏海も凛を手伝ってやってくれ。シルフィーナは探索者や冒険者の引退者で仕事を探している者がいたら紹介してくれ。真面目な人間ならいくらでも雇うよ」


「はい。凛ちゃんと一緒に家業を成功させます」


「こちらこそお願いしたいわ。何人か話が来ているから今度連れてくるわね」


「事前に言ってくれれば時間を空けておくよ。所で凛、会社名はどんなのにしたんだ?」


「ふふふのふっ!私達の会社だからね!『Light Mare CO. LTD.』よ!」


「パーティ名じゃないか! 光の悪魔株式会社とか、会社名に悪魔とか入れたのかよ……」


「ふふふ。私はいいと思いましたよ」


「いいじゃないコウキ。ダンジョン攻略に有効な魔道具を作る会社なんですもの。魔獣からしたら貴方は悪魔よね」


「なんだか悪の組織みたいで蘭はわくわくして来ました」


「リム辺りがまた勘違いするからやめてくれよ……」


「あははは。あの魔王オタクのリムちゃんなら悪の秘密結社とか言いそうだわ」


「ふふふ。初めて話した時のシルフィーナさんみたいでしたしね」


「ええ!? 私はあそこまでじゃ……似てるかも」


「リムもミラもユリもみんな主様に従順で良い子です」


「敵だったのに不思議よね〜 魔族も感情あるんだなって思ったわ。仲間をたくさん倒した私達に、全く恨み言を言わないから心が痛むわ」


「戦士とはそういうものだよ。戦場での事を引きずって戦後に文句を言う奴はいない。それは命がけで戦い死んだ仲間の名誉を傷付ける最も忌避すべき事だからね。凛も気にしたら駄目だよ。それは彼等への侮辱となる」


「そうよね……うん。わかったわ。気にしない。彼等は強かった。敬意を持つわ」


「そうですね。私も命を懸けて戦った彼等に敬意を持ちます」


俺達はこの後も色々と話し合い今後の行動計画を話し合った。

皇グループの女神の島へのショッピングモールとホテルの建築計画も順調に進んでいるらしい。既に魔石燃料型のプレハブに、食糧と商品を運んだ船が先発組として日本を出たようだ。流石に仕事が早い。


シルフィーナにはアメリカから謝罪の為に時間を空けて欲しいと打診があるようだが、しばらく会うつもりは無い。あちらから魔石か港の使用権の利権を手放させてからだな。それにアメリカ冒険連合もしばらく島に立ち入り禁止だ。他への示しが付かないし、しっかり反省してもらわないとな。

ソヴェートも当然島には今後一切立ち入らせない。あの国に力を与えては駄目だ。ロクなことにならないだろう。


こうして俺達のリアラの塔攻略は終わったのだった。



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