第55話 騎士としての誇り【下】の話
アクレアさんはラグエイがぶつかり合う。
ラグエイは自分よりも大きな大剣を振り回す。
「おりゃああ!」
縦に振った大剣は地面揺らしながら割れる、割れた地面の破片がアクレアを襲うのだがそれをうまく受け流す。
すかさずラグエイは埋もれた大剣を無理やり横に薙ぎ払う、ガードが出来ないと判断したアクレアは持ち前の身体の柔軟性を生かし、軽く後ろに逸れるようによける。
「オラオラ!避けてばかりは勝てないぞ!」
「・・・」
アクレアはひたすら攻撃を受け流し、避ける
それを見た意識がある騎士たちはアクレアに襲い掛かる、フェレシアは叫んだ。
「アクレアさん!危ない!」
「大丈夫ですよ」
アクレアは涼しい顔でそう言った、周りの状況を冷静に見ていのだった。
いずれ、後ろから奇襲されるのも予想済み
アクレアは襲って来る騎士たちを足で薙ぎ払うと物凄い衝撃派を放ち騎士たちを吹き飛ばした。
アクレアの足の踵には刃が付いていた。
「やはり騎士としての質は落ちてますね、ましては不意打ちとは騎士としてあるまじき行為」
昔、所属してた騎士団の行動に呆れるアクレアだった。
何たって、この国の騎士団長をしていたのだから、国の騎士団が質が落ちていると分かると思うところがあるようだ
そしてアクレアは
「ではラグエイ、次は私の番ですよ」
「ふん!捻ってやるわ、このクソアマ!」
そう言った後に一直線に走り出す、ラグエイは大剣を構え、アクレアは二つの剣を構える。
ラグエイはアクレアの姿を捉えていた、そのまま大剣をアクレアに目掛けて振る。
アクレアは攻撃してくるラグエイの攻撃を見極め、縦に振る大剣を小さく体を回転させ、その遠心力を利用して首を目掛けて剣を振る。
「ぬわっ!?」
ラグエイは間一髪の所で避ける、思ってた以上に反応速度は良かったみたいだ。
しかし、ここで終わるアクレアではなかった、もう片手の剣で続けて攻撃する、次は普通に避けられたがその連撃はとどまることはなかった。
次は足の刃を首に目掛けて攻撃した。
「こ、このぉお!!」
アクレアはひたすらラグエイの首を狙い続ける、その連撃は華麗に踊るように続ける。
ラグエイが避けようとすると、アクレアの足が鋭く追撃する。
「クソ!双剣士じゃないのかよ!!」
「たしかに職業上じゃそうかもしれないですね」
本来、職業は見合った武器を使わないと上手く使えず返って弱くなるのが普通だ。
しかし、アクレアは双剣使いでありながら、四刀流である事に使いこなしていたのだ。
「私は前回の事を学んだのですよ。裏切りを平気でする、貴方と違ってね」
アクレアの連撃は止まらない、それどころか連撃速度が上がっていく
「その結果、貴方は地位を手に入れて、騎士団は質は落ちても貴方は高みの見物をして職務怠慢と来た」
「ぬおおおおおお!」
ラグエイは防御に必死だった、反撃しようとすればその隙に首を落とされると分かっていた。
彼の首には死神の鎌が付きつけられていた。
「私は学んだのです、貴方の裏切りからね、その結果は足を二刀流として扱う事すれば不意打ちはされる確率は減るという事に」
「クソクソクソ!!!!」
ラグエイは魔力を放出してアクレアを吹き飛ばし緊急回避をする、放出された魔力は周りの騎士たちも吹き飛ばした、吹き飛ばされた騎士たちはそのまま壁にめり込む。
しかしアクレアは吹き飛ばされたが全身で受け流したの為、ダメージは無かった。
そして、アクレアの先ほどまでの涼しい顔と違って、目が鋭くなる。
それはアクレアの怒りだった。
「アクレアアアアアア!!!!」
「・・・馬鹿者」
ラグエイはスキル『限界突破』を発動させる、、文字通りラグエイの潜在能力限界を超えさせるスキルだった。
ラグエイの筋肉が肥大化し肌は赤くなっていく、そして体から白い湯気がラグエイのから出てくる。
大剣を再び構え、次はラグエイが突っ込む
先ほどまでとは段違いにパワーアップしたラグエイは一気にアクレアとの間合いを詰めた。
そのまま大剣を体全身を使って思いっきり振る、アクレアは防御をするが体が軽いのか、その為め攻撃に耐えきれなくなってそのまま吹き飛ばされる。
「・・・ッ」
「オラオラ!さっきの威勢はどうしたんだよぉ!!元団長さんよぉ!!」
ラグエイは超人的なスピードでアクレアの後ろに回り込まれる、咄嗟に反応したアクレアは防御はするものの圧倒的な力でそのまま地面に叩きつけられる。
地面に叩きつかれ地面がメキメキと割れる。
「アクレアさん!」
黒杉は御剣が回復薬を飲ませてくれたおかげで回復していた。
騎士達と応戦してた黒杉はアクレアがラグエイの圧倒されているのを見て助けに行こうとしたが、アクレアが立ち上がって叫ぶ。
「来ないでください、これは私と彼の問題です」
「で、でも・・・!」
アクレアの鎧は全体的にひび割れていた、特に肩の部分は完全に割れていて肩の部分が露出していた。
次は一回でも攻撃を受ければ致命傷は免れないことが分かる。
「大丈夫です、私を信じてください」
そう言って、真っすぐな青い瞳は黒杉を見つめる。
「分かりました、では俺はアクレアさんの戦いに邪魔にならないように騎士を抑えつけてますね!!」
「ハハ、話が早くて助かるよ、ありがとう」
そう言ってボロボロなアクレアは立ち上がる。
「さて、ラグエイ・・・お前に騎士として色々教えきれてない事が沢山あったな、それを今から教える」
そう言って、アクレアは構えずに身体全体の力を抜くように立っていた。
何かの秘策だろうか?
しかし、ラグエイは限界突破が不完全なのか我を忘れてアクレアに突っ込む。
振り上げた大剣は先ほどまでとは違って攻撃の速度が更に上がっていた、もはや光速の領域を達していた。
だがアクレアは動かない
ラグエイの大剣がアクレアに目掛けて振られた。
アクレアの顔と大剣の距離は僅かだった。
アクレアの目が揺らめくように青く光ると同時に小さく横に動いた、そして気づけばアクレアは大剣の軌道からずれていてラグエイの横に立っていた。
光速で動くラグエイに対して、アクレアはスローモーションで動いていたのにも関わらず、アクレアはラグエイの攻撃を避けていた。
その矛盾が我を失っていたラグエイを現実に戻す。
たしかに攻撃は当たっていたはずなのに、当たっていなかったのだから。
アクレアは無表情で語る
「白狼騎士団の心得その1、常に己の中にいる闇と向き合え」
そう言って、アクレアは片手に持っていた剣を一つしまい、そしてもう一つの剣で構える
「てめぇ!!舐めてるのか!!」
ラグエイは怒る、双剣使いのアクレアは剣を二本使って初めて能力が発揮される。
それを一本にする事はそれ以下の実力だから手を抜いてやるよって意味になる
プライドが高いラグエイにとってはそれは馬鹿にされたようにしか見えなかった。
だが、それを気にせずアクレアは語り続けた。
「白狼騎士団の心得その2、どんな状況であれ、自分を見失ってはいけない」
ラグエイは苛立っていた、片手剣のように振り回している大剣をいともたやすく避けらていた。
避けられる度にアクレアと目が合う、その涼しげな眼はさらにラグエイをイラつかせる。
「なんで、当たらないんだよ!!クソクソクソ!!」
「白狼騎士団の心得その3 勇気と無謀を見極めよ」
ラグエイの渾身の一撃を込めようとした時だった、その隙を見逃さず剣を振る。
アクレアはラグエイの身体にスキルを叩きこんだ
一度の攻撃が百の攻撃を叩きこまれラグエイの肉体には耐えきれなかった。
「カハッ・・・!?」
「そして、白狼騎士団の心得その4 共に戦う仲間は互いの命を預かっていると思え」
そして、ラグエイは崩れるように倒れた。
アクレアは何処か儚げな表情で倒れたラグエイを見つめ言う
「それを全て守れなかった、ラグエイ・・・君は騎士ではなくもはやただの戦士だよ」
そう言って、再び周りを見渡したアクレアはかつての仲間の騎士たちは指揮する者がいなくなりただただ暴れていた。
アクレアは黒杉に近づいて言う。
「黒杉さん、ここは任せていただけませんか?」
「でも、一人でここは・・・」
「大丈夫だよ、黒杉くん」
そう言って、後ろから御剣の声が聞こえた。
「御剣、お前どん状況か分かっているのか?」
「もちろんだよ、アクレアさんに状況は聞いたから後は任せて」
「私もここに残ります!流石にドラゴン相手だと私しか攻撃が通用しなさそうなので…」
そう言って、一斉に羽ばたくファフニーを見つめた。
ファフニーは未だに操られていた、その堅い鱗で包まれているファフニーの打撃ダメージは殆ど聞かないだろう。
「分かった!でも必ず来てくださいね!!」
「はいはい、早くさないとスカラ女王は何をするか分からないよ、あの人は昔からあれだからね、だから早く行ってあげて」
そう言って、アクレアは剣を構える
黒杉達はスカラ女王を追いかけていくのだった。
「さて、相手はドラゴン、クロスギさんは厄介な仲間を連れてきたものだ」
「そうですねー、でも人間の姿はすごくかわいいですよねー!」
「可愛い・・・」
敵に囲まれた状況だというのに3人は他愛のない話をする
「さて、この腐った騎士たちは私が叩き直さないといけないですね」
そう言って、再び戦い始めたのだった。
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