がらくた
不知森 啓治
ドア
とうに木は干からびている。冷たい鉄付き。
向こうから恐ろしい気配がして、ドアの隙間からは光が漏れる。
ギシギシと音がしたと思うとぱったり止み、糸がピンと張り詰める。
汗をかき、動悸がして、息もできず、目が釘付けに。
空気が変わる、冷涼な何かを感じる。獣の匂い。
飛び上がって思わずドアノブを掴む。いる。いる。
どれだけノブを引っ張っても、びくともしない力で掴んでいる。
パニックになりそうだ。いる。いる。
力が限界になり、諦めた。温まったノブから手を放して覚悟を決めた。
静かだ。あまりにも。不気味だ。
どうせならと思い、ドアを開いてやった。
向こうには、自分のつけた蝋燭が一本立っているだけだった。
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