第173話第百二十七段 あらためて益なき事は

(原文)

あらためて益なき事は、あらためぬをよしとするなり


(舞夢訳)

改めても無益な事は、改めないほうが適当である。



実に短い言葉であるけれど、含蓄が深い。

ついつい、目新しいもの、変えれば利益がでそうなものに飛びつき、結局は大損をしてしまうならば、そんなことはしないほうがいい。


個人であれ、会社であれ、国家であれ、全てに通用する至言である。

特に国家の方向性などの変更には、慎重を期すべき。

安易に方向転換を言い出し、実に問題が複雑化した事例が、数多くある。

また、方針転換を言い出した当時の政権担当者は、全くその責任を語らず取らず、逆に現政権に責任を転嫁する始末。


おそらく兼好氏の時代にも、そんなことは多々あったのだろう。

その意味で、人間社会の改善やら進歩などという言葉は、実に空虚なものとなる。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る