第39話:加納夫妻の死2

 どうしますかと、石津夫妻に聞くので、警察の方のご判断に、従いますと伝えた。

 すると、運転手さんに、保険には入ってるよねと、聞くと、もちろんですという

ので保険会社に連絡して下さいと言い、過失の認定ができないので、保険金の支払

いの手続きをして下さいと言われ、その運転が、わかりましたと答えた。


 この話を、熱海芙蓉会の前会長の篠田正一さんに電話をして、状況話すと、何だ、

先日、旦那さんが死んだばかりなのにと言った。しかし、葬式をしてやるしかない

だろうと言い、私から、昔の仲間に連絡するから、石津君は、葬儀の手配をして、

決まったら、連絡してくれと言われ、了解した。葬儀は、4日後の2008年3月

6日となり、同じ、葬儀場で、行う事になった。告別式には18人が参列して、

加納夫妻の急な逝去を悼んでいた。葬儀を終えた時に、篠田正一さんに石津三千子

さんが、亡き、加納和美さんに、もし亡くなったら、家のタンスの真ん中の引出を

見てくれるように言われたことを話すと、俺が立ち会うから、行こうと言ってくれ、マンションの管理人に言って、加納さんの部屋を空けてもらい、言われた、タンス

の真ん中の引出を空けると、遺書があり、空けてみると、石津夫妻との思い出が、書いてあり、子供や親しい親戚がいないので、今まで、一番お世話になった、石津

夫妻に、相続してもらいたいと書いてあった。預金通帳と、カラマラン・クルーザ

ーヨットの書類、タンスの中には宝飾品(ダイヤ、真珠のネックレス、サファイヤ、

ルビー、エメラルド)マンションの権利書が入っていた。


 そうして篠田正一さんが俺が立会人になってやるから遺書のコピーを取っておけ

と言い、立ち会い人と書いて、ハンコ押しておき、1部ずつを保管すれば問題ない

と言ってくれた。加納夫妻の預金通帳が4冊あり、これも、コピーしておきますか

というので、それのコピーはいらないと、篠田正一さんが言った。通帳を見てもら

えますかと聞くと、篠田正一さんが、遺産の金額については、君たちの問題であり、

わしには関係ないと言った。

 

 落ち着いたら、コピーを持って来いと、言われて、了解しましたと言い、その日

のうちに、遺言書のコピーと原本に立会人のハンコをもらい、1部ずつ保管する事

にした。帰って、通帳を見ると、合計3800万円の預貯金が、残されていた。

 その翌週、カラマラン・クルーザーヨットのヨットクラブに行き、事情を話すと、

クルザーヨットの保管料金が陸上でも年間30万円かかるが、持ち続けるか、それ

とも、中古で売るか、選択できると言われたので、考えてから結論を出すと答えた。

 奥さんと話すると、私たちが、今後も、ここにいられるかもわからないのだから、

売却したらと、奥さんが言った。そこで、石津健之助が、売りたいと言うと、店の

人が、わかりましたと言い、購入希望者が出たら、連絡しますと言ってくれた。

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