第30話 アリッサのホルモン治療 2

前回に引き続き、アリッさのホルモン治療のお話。


トランスジェンダーの人はホルモン治療を受けて、人生で2度目の思春期を迎える。




思春期を迎えるということは、体と心が子供を生み育てられるように変化していくということ。MTF(男性から女性へのトランスジェンダー)の場合、体は子供を作るための器官が発達し、女性らしく丸みを帯びていく。そして変化は外観だけでなく、心の状態にも現れます。


ホルモン治療の薬を取ることで、女性らしさを追求するアリッサにどんな変化が起きたのでしょうか?



1 胸が膨らむ。

個人差がありますが、胸のふくらみはまさしく思春期を迎えた女子のサイズ。2年ほどかけてゆっくり膨らむそうです。ただ、つぼみ止まりで、つぼみが開花するにはいたらない。もっと大きいおっぱいを望む人は豊胸手術を受ける。

乳がん早期発見のため、マモグラムテストを受けるようすすめる声もあるようですが、アリッサは専門医から「ホルモン治療開始後、2年たって胸がそれほど膨らまなければ、マモグラムテストを受ける必要なし」と言われています。



2 体毛が薄くなる

女性ホルモン、エストロゲンを増やす薬を飲むことで、顔以外の体毛が薄くなる。個人差はありますが、ひげは生え続けるため、永久脱毛する人もいるそう。アリッサは毎朝ひげ剃りをしていますが、ホルモン治療開始して2年以上経った今は、ひげがあまり生えなくなったと言います。


3 体が丸くなる

おしりや太ももなど、腰回りに脂肪がついて丸みをおびる。筋肉の量が減り、さらにがんばって運動しても筋肉がつきにくくなる。



4 性欲の減少

性欲が減るだけでなく、勃起すると痛みを感じる。勃起したときのサイズがホルモン治療の前より約半分になる(とアリッサが言ってます)


5 美肌効果

アリッサは男性時代から、スキンケアに余念がなく、ママ友から絶賛の声を浴びるほどの美しい肌の持ち主でしたが、ホルモン治療でさらに、つるつるのやわ肌を手にいれました。女性でも美肌効果を期待して、ホルモン治療を受ける人いますね。


ちなみに、ホルモン治療をしても声の高さは変わらない。なので、ボイストレーニングをして声を女らしくする訓練をする人も少なくないそうです。


上記の変化に加え、心にも変化が現れます。情緒不安定になって、怒りや悲しみの感情のコントロールができない。感受性が高くなる。反抗する、などなど。アリッサも情緒不安定でちょっとしたことで、ボロボロ泣いてました。


いろんなショックから立ち直れていなくて、わたしだってつらくて泣きたい気持ちでいっぱいだったのに、ホルモン治療開始後しばらくは、いつもアリッさの慰め係をしていたなあ。


今でもアリッサはホルモン治療を続けていますが、感情のコントロールができるようになって、だいぶ落ち着きました。


次回はホルモン治療の影響なのか、カミングアウトして開放感に浸っていたせいか、未だになぞだらけのアリッサの珍事件をシリーズで書いていきます。あのときはほんと、わけわからなかったなあ。つらかったなあ。でも、今ではよい思い出。

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