第3話 カミングアウトの日パート2

さて、前回の続きでパートナーでMTFのアリッサがカミングアウト日のことを書きます。


娘に「ダディはトランスジェンダーだもんね」と言われた私。



「誰がそんなこと言ったの?」あせって問い詰めると娘は父親から直接聞かされたと答えました。



「何かの間違いに違いない」「娘の勘違いに決まってる」という強い願い。




それとは裏腹に心の奥底で「やっぱりそうだったのか」と諦めのような腑に落ちる気持ちがあったのも事実です。




すぐに仕事中の夫の携帯に電話して問いただすと「ごめんね、ずっと伝えたかったけど言えなくて」と夫。



青天の霹靂。衝撃のノックダウン。



まず頭に浮かんだのは「離婚」という言葉。

「結婚生活がこれで終わるんだ」という悲しみ。

わたしにではなく当時7歳と9歳だった娘たちに先に事実を伝えた夫への怒りと困惑。


正直に言うと、何よりも強かった感情は周囲の反応に対する羞恥心と恐怖心でした。



「ママ友に知られたら恥ずかしい」

「子供たちがいじめられたらどうしよう」



押し寄せる不安と恐怖で目眩がしました。


「今までずっと言えなくて辛かったね」といった夫への労りの気持ちを感じる余裕はまったくありませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る