村野正臣の手紙

 雨ケ谷洋介様


 こんにちは。村野です。読んでもらえてますか。手紙なんて小学校のときに老人ホームの人に書いただけで、どう書いたらいいのか、うまく書けません。でも、かかなくちゃと思ってかいてます。下手だけど、読んでもらえるとうれしいですが。

 あれから七年たちました。それくらいたつと、僕のしたことが夢だったんじゃないかと思うことがあります。ホントに夢だったらよかったのにと思います。みきこさんが毎月、ここへ面会へ来てくれるたびに思います。■■■■■■■■■■■本当に悪いことをしたと思っています。おそろしいことをしたと思います。許されないことだけど、許してほしいと思っています。

 聞きたいのは、どうしたら許してもらえるかということです。許されないことが怖くて、最近はねれません。それをきょうかいしの先生に言ったら、分からなかったら聞けばいいとの先生が言いました。だから、手紙を書いています。裁判とかで、いままで僕が言ったことは、ぜんぶウソです。すいません。でも、もし、本当のことを言ったら許してもらえますか。それなら、これが本当の僕が書いた手紙です。

 前にたくさん手紙を送ったけど、あれはやす先生が書いてくれたのを移しました。そうすれば、許してもらえると言われたので。でも、七年もたっても許してもらえないみたいなので、悪いとは思いましたが、先生にはナイショで、はじめて自分で書きました。刑務所の人がチェックするので、だめなところは黒くぬられるらしいですが、どこを黒くされるのか、分かりません。それで意味が分からなかったら、すいません。

 最近、マキちゃんの夢を見ます。■■■■■■■■■■■■■■■■■■このまま雨ケ谷さんにも許されず、ここで年をとって死んでいくと思うと怖くてしかたがないです。だから、これはほんきの手紙です。どうしたら許してもらえるか、教えてください。何でもします。おねがいします。どうかこの手紙を読んだら返事をください。読んだ、だけでもいいので、ぜったい返事をください。読んだっていう、証こをください。


 19XX年9月1日 村野正臣

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