13話 朝の連絡


「おはようさん」


「おはよう〜」


朝、部屋から出て少ししたところで柚姫と会う。

やっと気まずい雰囲気がなくなり普通に話すことができるようになってきた。


「あ〜今日もリアちゃんはいないのかな。寂しいよー私のリアちゃんがあああ」


「誰がお前のだ」


リアは俺のだ。

そこは誰にも譲らない、例えリアが血を分けた姉弟であろうとも、絶対に。


そんなこんなでのんびりと歩きながら、世間話をしているとあっという間に訓練場についた。

あいも変わらず青山あたりは睨みをきかせてきているが、あいつら暇だね真面目に練習しなさいよ


「ん?なんか聖君すごく普の事見てない?見てるというか熱い視線というか………あれ?もしかして聖君って…え?」


柚姫になんだが男の沽券に関わる勘違いをされている青山はズカズカと寄ってきて


「……悪かった」


ボソッとそれだけ言うと元いた場所にスッと戻りそれからこちらを見ることはなかった。


「ツンデレ?誰得?」


もしかして柚姫オタクか?

いやいや、こんな些細なことでオタクとか言ったら世のオタク達に失礼だ。

それに一口にオタクと言っても色々な種類のオタクがいてだな…



「あまねー?なんかトリップしてない?」


「いや、オタクとはなんたるかを考えてた」


顔中にハテナマークを浮かばせながら俺の顔を覗き込んでくる。


「大丈夫?」


そんな本気で心配しないでほしい。

まるで、俺の頭がおかしくなったみたいではないか。

すると、考えてるのが通じたのか


「いや、割と昔から…」


「ちょっと待て?お前そんな風に思ってたのかよ⁈というか、考え読むな!」


「いやいや、ジョウダンダヨーソンナコトオモッテルワケナイデショー」


「おもっきり棒読みだなおい!」


訓練場の一角でギャアギャア騒いでいると、青山騒動から復活した外野たちが口々に何か言い合っている。

ふと、違和感を感じて周りをよく観てみると普段は『使えないお荷物』としか見てこないこの国の騎士達までもが殺気の篭った眼差しをむけている。

いや、普段も大概だな


「静かに!」


訓練場に響き渡るくらいの怒声を響かせて、騎士団長であるクレイブが仁王立ちしていた。

人1人くらい殺せそうな目線を俺に向けながら


「本日は君たちに重要な連絡がある」


重要な連絡という言葉にクラスメイト達が一気に真剣な顔付きになる。


「明日から、王国に1番近いダンジョンに探索に行く」


そう口にした瞬間、主に男子から歓声が上がった。

口々に「俺の時代がキター」「何匹モンスター倒せるか勝負しようぜ!」「ダンジョンに出会いを求めていくぜ!」などなど騒ぎ抜いているのを女子が白けた目を向けている。


「静かに!確かに危険度の低いダンジョンではあるが万が一があっては大変なので、本日はこれにて解散!あとは各自体を休めるように」


それだけ言い残し、クレイブ含めた騎士達が訓練場から出て行く。

ふと、去り際に俺を見て嫌らしく口を歪めて嗤った。


これどさくさまぎれて消されるやつだわぁ


あいつが前から使っていたであろう常套手段を使って役立たずを消す、と。

さて、どうしようかなー

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