裏切られた元勇者、再召喚されました⁈
嘉月抹茶
第1話 夢
「絶対に…復讐(ころ)してやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ‼︎」
はぁ、はぁ、
と荒い息を吐きながら、ガターンと椅子の倒れる音でハッと我にかえる。
思わず椅子を蹴倒してしまっていたらしい。
あたりを見れば、こちらを迷惑そうな、気味悪そうな、馬鹿にしたような視線を送っている。
「…ゴホンッ!代音(しろおと)!授業中寝るな!」
先生は、一瞬薄気味悪そうな視線を俺に送ったあと、ひとつ咳払いをして一応の注意をした。
教室の中からはクスクスと嗤う者が何人かいて、横にいる我が家の居候様は肩を震わせて「心底面白い!」と言わんばかりに笑っていた。
先生が授業を再開したのに合わせてクラスの奴らの注意が黒板に向き始めた。
それにあわせて、隣から念話で話しかけられる。
『やれやれ、またあの時の事を夢に見たのだな?一体全体何回めだというのだ、いい加減忘れ…』
『忘れられるわけがねぇだろうが、俺が忘れたら、あいつらは……』
『ふむ、あいもかわらず女々しいのぉ』
呆れ半分哀れみ半分な隣の席の居候の言葉に危うく激昂しかける。
今の言葉は、あいつらに対する侮辱ともとれた。
正確には、あいつらの意思が、だが。
『そんな顔するでないわ、ど阿呆が、妾とて、お主のために散っていった者たちを侮辱する気は露ほども無いわ。ただ、いつまでも過去の出来事に雁字搦めになって囚われとるお主を哀れに思うとるだけじゃ』
言葉には本当に俺に対する哀れみだけが含まれていた。
余計にいたたまれない。
フイッと顔を背け窓の外を見る。
そこには雲ひとつない青空が広がっていた。
「待っててくれ、俺が必ず…」
ボソリと呟いた独り言は隣の席に座るうちの居候以外に聞かれることなく溶けて消えた。
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