第54話 「アナイアレーション 絶滅領域」想像を絶する不気味な世界観の可視化とNetflix

Netflix配信公開映画「アナイアレーション 絶滅領域」

・アメリカの沿岸部で起きた謎の現象。徐々に広がるその現象を実地調査する部隊が何度も編成され送り込まれていた。調査隊に入っていた夫が妻の元に戻ってきたが何かおかしくなっていた。妻は女性だけで編成された調査隊に入り、夫の辿ったはずの道を追っていったが理解を超えた事態が彼女らを混乱させていく。

・監督・脚本:アレックス・ガーランド。監督デビュー作「エクス・マキナ」が話題となった英国出身監督。それまでにも原作、脚本や制作関係で映画業界の仕事をしてきた人物。

・ジェフ・バンダミニア原作のサザーン・リーチ三部作の第1作「絶滅領域」を映画化。もともと映画館公開を想定して制作されていたが作品内容の修正を求めたスタジオ側(パラマウント社)との対立がおき最終的に一部国を除いた全世界配信権をNetflixに売却した。このため日本では配信でのみ見られる作品となった(Wikipedia日本語版ページより)。



 原作はハヤカワ文庫で邦訳が刊行されていますが、ページターナーなのに終わってみるとよく分からない印象を持ってしまう作品だった。ちなみに第2作、第3作と全く別の展望を示される世界が主人公の作品なので読みやすいのに理解しにくいという不思議感覚が味わえるシリーズ。

 起きている事象が特異であり、主人公たち登場人物の解釈を持って理解するしかないので推測以上の事が出来ない。こういった構図は原作と変わりない。そういう奇妙な世界観を見事に映像化していて流石は「エクス・マキナ」監督・脚本の人。なんといっても見事に映像化された作品を見ても原作読後感想と変わりない印象になる所が良く出来ている所だと思うのです。不気味な想像をさせる描写が多いので観る人を選ぶと思いますが想像し難い世界の提示というところで大変お勧めな一本。


 Netflixが映画配給会社であると同時にネット配信事業者でもあり、映画興行独占期間を長く設定しないために摩擦が生じている。これまでのNetflixの行動では本作のように映画配給・制作会社が手を引いた作品へ出資して配信公開したり、配給会社が決まらない中で手を挙げて映画配給とネット配信権を取得したりという行動を取っている。映画館独占公開期間の問題を除けば映画興行側と深い対立がある訳ではないはずなのですが、批判側がきちんと説明してないのか報道側が理解してないのか、その両方なのか分かりませんがアカデミー賞排除などの議論が不確かな論点で争われているように見えるのは残念。

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