日曜日の予定
―――
授業も全部終わって帰ろうとした時、篤に呼び止められた。
「亜希、ちょっと……」
「何?」
「屋上に出ないか?」
「うん……いいけど。」
有無を言わせない口調の篤の後をついて屋上に出る。すると篤はフェンスに凭れて遠くを見つめて言った。
「朝の事、気悪くしたなら謝るよ。あれは実は……」
「ストップ!」
「え?」
「改まって何言うかと思ったらそんな事?」
「そんな事って……」
「大丈夫だよ。気悪くなんかしてないよ。」
「本当か?」
「うん。」
「良かったぁ……」
突然篤がその場に座り込んだ。
「篤!大丈夫?どうしたの?」
「俺、心配だったんだ。いつもは休み時間に俺のクラスに遊びに来るのに来ないし、様子見に行ったらいつもいなくて……怒ってんのかなって思ってさ。大事な友達が離れていくようで怖かった。」
「……へぇ…友達、か。」
「ん?どうした?」
「ううん。何でもない。ねぇ、そろそろ帰らない?段々暗くなってきたし。」
夕陽に目を細めながら篤の方を見ると、じっと俺を見つめてくる。
「ん?何?」
「あ、いや……」
「ふーん?ま、いっか。じゃあ帰ろうか。」
「おう。」
篤の返事に顔を上げて笑顔を見せる。その時篤がハッとした顔をしたように見えたけど、すぐに背中を向けたから気のせいだと思い直した。
「…………」
帰り道、篤と並んで歩きながら物思いに耽る。
さっき篤が言った通り、俺は今日一日篤を避けてた。違うクラスのくせに休み時間と昼休みは一緒にいるのが普通だったのに、顔を合わせたくなくて。
でもそれは怒ってたからじゃなくて、ただ隠し事された事への不満と一緒にいた友達への嫉妬だ。
だけどそんな事言える訳もないから、ああやって誤魔化すしかなかったのだ。
「……き?あき?……亜希!」
「……え?」
名前を呼ばれてビックリして顔を上げる。と、篤の顔が目の前にあって更にビックリした。彼は心底困った表情で立っていた。
「あ……ごめん。何?」
「まったく!何回呼んでも起きねぇんだから。歩きながら寝るとか器用だな、お前。」
「ごめん、ちょっと考え事を……」
「考え事?……まぁ、いいや。それより今度の日曜日あいてる?」
「え?今度の日曜日?え…っと……」
土曜日は一緒に映画を見に行こうと思ってたけど断られたし、日曜日は元々予定は入ってない。っていうか土曜日は用事あるっぽかったのに、日曜日はあいてたのか。
「うん。何も予定はないよ。」
「そっか。じゃ俺の家に来て。」
「わかった。」
頷いたものの急に緊張してきた。
「十時に来いよな。」
篤、やけに嬉しそう……でも篤の家行くの久しぶりだな。
何か日曜日が楽しみ♪
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