やっぱり君が一番ムカつく
ヨル
第1話「いけ好かないやつ」
(ああ、むかつく……
まじで、あいつの瞳も声も言葉も嘘だらけで、まじでむかつく。)
初めまして。どうも、絶賛クラスメイトに内心めっちゃムカついてる普通の高校生男子です。
名前? あぁ、
名前は優ってついてるけど性格はネジ曲がってます。
絶対、俺の両親名前つけ間違えただろ…。
まぁ、容姿は何処にでもいる男子高校生思い浮かべて下さい。
それです。俺は、そのままその容姿してます。
では、自己紹介終わったところで、なんで俺がクラスメイトにムカついてるのか話します。
まぁ、簡単な話なんですけどね、ただ何となくいけ好かないから。
え?それだけ? だって、そいつ、いつもいつも嘘くさい笑顔でクラスメイトに話かけてるんですよ。
毎日毎日、飽きもせず…。それに、そいつ女子何ですけど、何故だか女子にも男子にもモテモテなんですよ。まぁ、見た目も綺麗で学校中の憧れの的です。
なんか、敬語面倒だから、タメにするわ。
で、性格もめちゃくちゃいいと…。まぁ、正直、ここまで来たら、成績も学年トップ。
マジで、完璧ってこいつのことなんだろうなって前は思ってた。本当に思ってた。
って、遠くでそいつの事見てたらなんか近づいてきたぞ…。
「おはよう!優くん。今日もいい天気だね。」
ふわふわした優しい声に、綺麗なさらさらの髪がそよ風に揺らされながら笑顔で話しかけて来た。
「あぁ、そうだな。いい天気だ…。」
俺は、適当に相槌を打つ。正直、天気なんてどうでもいい。
だが、無視すれば周りの奴になんて言われるか分かったもんじゃない。ここで、普通の立場なくしたくないからな。
「だよねぇ。今日は、体育マラソンだけど頑張ろうね!」っとにこにこしながら話すそいつの名前は、
「あぁ、きついけどな。」っと愛想笑いすれば、相手は満足したのかそのまま友人のところへ戻って行った。
「マジで…。」きつい…。マラソンが…じゃない。あいつのキラキラした笑顔が…だ。
そんな風に内心悪態ついてたら、お調子者が話しかけてきた。地毛なのか、明るい茶髪が目立つまぁまぁ綺麗な顔をした男だ。
「おいおい!お前、毎朝 愛さんに話しかけられてないか?いいなぁ。」
ニヤニヤしながら、俺に寄りかかってくる。
「そうか?大体クラスの男子には話しかけてるだろ?」別に俺が特別話しかけてる訳ではない。誰でも平等に話しかけてる。
そう、平等に…気味が悪くなるほど平等に。話しかける時間の長さも、表情も一ミリも変わらない。まるで、それが仕事のように淡々と行動するんだ。小学校もあわせて、約十年間の付き合いだから分かる。正確過ぎて気味が悪い。
まぁ、それに気づいたのは、中学に上がるくらいで、気づいてもそれが気味が悪いとは思わなかったわけだが。
「そうかもしれないけどさぁ…。愛さんは、お前と話すとき声がワントーン上がるんだぜ。ぜってぇお前好かれてるって!」 気色悪っ!なんで、お前あいつの声がワントーン上がるの知ってるんだよ!お前、あいつとそんな頻繁に話してないだろ?てか、入学して一週間しかたってないのに、なんでそこに気づくんだよ!まじで、気色悪いわ!
と思ったが、実際は「そんなわけないだろ…。」っと苦笑するフリをした。
「いやいや、愛さんは、絶対にお前に気があるね。俺が言うから間違いない!」とだらだら話し始めたので、適当に相槌を打ちながら聞き流す。
本当に、あいつが俺を好きなるなんてありえない。寧ろ、嫌われてるって言われた方ありがたいくらいだ。それくらい、俺はあいつの事が嫌いだ。
・・・・・・
俺が、どうしてここまで水城の事が嫌いか説明するには、一か月くらい遡る。
その頃は、中学三年の三月で、受験も終えて皆人段落済んだって感じで、後は卒業式待つばかりみたいな雰囲気だった気がする。
水城はその時も、学校の美少女優等生として有名だった。確かに、なんでもできたし、運動は、文化部なのがもったいないくらいの運動センスがあった。
だから、クラスの奴らもあんな可愛い子はどんな奴と付き合うんだって噂になった。
クラスどころか学校中の噂だった。でも、そんな噂知らないとでも言うように、彼女の恋愛に関する話一切上がってこなかった。
だけど、公立の高校の受験が終わり始めたころ、彼女に告白した男子生徒がいるらしいと噂になった。今まで、高嶺の花だと諦めて誰も告白しなかったのに、ついに…。っとその時は、俺も珍しく興味が湧いていた。
暫くして、その噂の男子生徒は、元生徒会長だったことが分かり、周りは納得していたのを思い出す。彼は、水城と負けないくらいに、容姿端麗、運動、勉強なんでもこなす超人で、それでいて全く調子に乗らないところに女子、男子ともに好感を抱かれていた。因み、中学時代の特に仲の良かった俺の友人でもある。
だから、二人が付き合いだしたという話を聞いた時は、きっと誰も意外だなんて思わなかっただろう。
実際、誰もそれに対して文句を言う奴はいなかったし、俺も不思議には思わなかった。
だから…、もしその後のことを知らなかったら、俺は水城の事を嫌う事はなかっただろう……
けど、俺は見てしまったから、あいつが俺の友人を笑顔で刺し殺すところを
見てしまったから。あぁ、この子もこちら側の人間なんだって分かってしまったから
べたりとした赤い液体が、彼女の綺麗な顔についている光景に自然と目が離せなかったのは何故だろう?
皮肉にも、狂った彼女の今まで見たこともない綺麗な笑顔が頭から離れない。
あぁ、やっぱり俺は、君が……
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