第27話

☆☆


 私は一人。

 結局は一人だった。

 どうせ彼を失うことになるのなら……

 あんな選択をしなければよかった。

 彼と共にいればよかった。

 そうすればもっと彼の笑顔が見ることができた。

 彼の声が聞けた。

 でもあのときの私は……

 彼の笑顔に耐えられなかった。

 彼の声に耳をふさぎたかった。

 彼が私でない誰かに向ける愛の言葉は、私にとっては苦痛でしかなかった。

 でも……それでも、彼のいない世界よりはずっとましだったはずなのに……私はそれに気がつかなかった。

 だって私は彼のことが大好きだったから。

 そしてこれからも彼だけが私の全てなのだから。

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