第11話

☆☆


 私は思う……

 私にはそれしか許されていない。

 だから私はひたすらに思う……

 ただ……彼のことを思う。

 彼との出会い。彼と過ごした日々。

 幸せだった。

 それは他の誰かから与えられた、包み込むような幸せではない。私の内から、私の心が生み出した溢れる私自身の想い。

 本当に幸せだった。楽しかったし、愛おしかった。

 全ては彼がしてくれた。

 確かに全ての想いは私の心が生み出した。でもそれを与えてくれたのは彼。

 他の全てだって私に幸せをくれた。でも彼は私を幸せにしてくれた。

 同じようだけど全然違った。

 だから私は望んでしまった。だから私は夢見てしまった。彼もまた私に同じ想いを向けてくれることを。

 私は本当に彼のことが大好きだったんだ。

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