第7話


 私は私の名が呼ばれ、それが私の名だと気がついたとき初めて言葉を理解した。

 私は言葉を得て、私だけでなく全てのものにも名前があることを知った。

 言葉はすごい。

 私が初めて見る物。私が初めて抱く想い。

 その全てに既に名前が用意されていた。

 それらは名前を得て意味を持った。

 意味を持ってそれらはより強固なものとなり、私の中へと蓄積していった。

 そして私は言葉を得て想像することも可能になった。

 「羽根の生えた馬」、「時間旅行のできる机」などと存在しないものを、言葉の組み合わせによって想像することができるようになった。

 そして私は「私」という言葉を理解して、自分のこれからのこと未来を想像することもできるようになった。

 私は自らが望む未来を思い描き、夢見ることが可能になったのだ。

 だから私は望んだ……

 次々と望んでしまったのだ……

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