レンティア同級生に囲われた貧乏作家のぼく

勒野 宇流 (ろくの うる)

食うか食わないか

(1) この一週間の夕食メニュー

 

 

この一週間の、ぼくの夕食メニューのおそろしい落差を、ここに記してみる。

 

 

 

月曜日  期限切れ菓子パン2個(山田屋で購入)

 

火曜日  期限切れ食パン半分(高木商店で購入)

 

水曜日  昨日の残り

 

木曜日  かけそば(駅前の立ち食いそば屋)

 

金曜日  バイト先から持って帰った銘菓『ときの花』の切れ端と不良品

(因みに月曜から金曜まで朝飯は抜き、昼は『ときの花』の切れ端で食いつないでいた。夕食くらいは変化をつけたいと思い、『ときの花』に手を出さなかったが、いよいよ小銭にも事欠いたのでこの日は夕食の膳に並べるに至った)

 

土曜日  前菜・ビシソワーズ・仔牛のフィレステーキ・ライス・サーモンマリネ・サバラン・メロン

(シェフが顔を出しての、素材の説明付き)

 

日曜日  鴨肉入り前菜・蟹のスープ・窯焼き鮑・フカヒレの辛味煮・冬虫夏草添え杏仁・マンゴー

(土曜日に同じ。ただし人はちがう)

 

 

 この世にずっと粗末な食事を続ける者はいるだろう。ずっと贅沢な食事を続ける裕福層も存在するだろう。しかし短い間隔でその両方を味わう者は、そういないだろう。しかし三文文士(貧乏作家)のぼくは体験したのだった。

 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る