第3話 おもい ~優真~

僕は大翔よりずっと前から大翔が好きだっまんだ。いつの間にか好きになってた自分がいたって言った方が正しいかもだけど。

 大翔にはつたわらなかったと思うけど・・・


 大翔たちは入学当初から荒れてる双子がいるという噂が流れいた。

 そんな二人と僕はくしくも同じクラスになってしまい。僕の後ろの席にまでなってしまったのだ。

 髪を茶髪に染めて、耳にはピアス。そんな、男子とは、関わりたくない。それが本心だった。

 けど、クラスも同じで席まで近くどう考えても話しかけられる確率は99パーセントだ。

 それでも、出来るだけ僕は話しかけられないよう頑張った。

 大翔と禀は基本授業に出ないから、授業中は楽だった。けど、昼休みは教室に戻って来るから僕は教室以外の場所でお弁当食べなければいけない。一番厄介なのはホームルームだ。授業には一切でない大翔たちが、ホームルームだけは出るのだ。それでも出来だけ影を薄くする努力をし、君たちと関わりたくないオーラを出しまくっていたのだが・・・

 入学して2週間あまりたった日のホームルーム


 「あっ、あの~」


 うっ、つ、ついにこの時が・・・最悪だ。何を聞かれるのだ?


 「は、はい?なんですか?」

 「辻村ゆうま?ん?も、もしかてちがう?」


 う、あっ!焦ってる?可愛い所あるじゃん!何言ってだ、僕!いま、大津貝大翔に話し掛けられてるんだそ!


 「あー!僕は辻村優真です!」

 「わりぃー!名前間違えるとか最低だよな」


 えっ!?謝った?ありえない。だったて、めっちゃ荒れてる大津貝大翔だよ!けど、謝れるんですね?なんて口が裂けても怖くて言えないや。


 「いや、全然!よく間違われるんです。慣れてますから」

 「そ、そうなんだな!」

 「それより僕に質問ですか?」

 「おっ、おう!あれ?何を聞こうと思たっんだっけ?」

 「えっ!?大津貝さん?大事な事ですか?」

 「なっ!お前なんで俺の名前知ってんだ?」


 やば!つい口が滑った。


 「有名ですよ!大津貝大翔さん」

 「そーっか?俺そんなに有名?テレるなぁー///」 


 いや、褒めてねぇーよ


 「ヒロ兄、誰も褒めてない」


 大津貝の後ろの席に座っていた大津貝より、少し背は低めだけど、どことなく大津貝に似てるやつが席から立ちあがりこっちに向かって歩いて来る。


 「えっ!?禀!そーなの?俺、有名人になったかと思ってたのにー!」

 「校内の人多分皆知ってると、思いますよ。」

 「ほら!禀!兄ちゃん有名人だぞー!喜べよ!」

 「ヒロ兄が有名人?そんなの喜べるわけないじゃん」


 こ、こんなやつなのか?大津貝大翔

 もっと、怖いやつかと思ってた。


 「ヒロ兄それより、優真さん?に聞くことあったんじゃないの?」

 「あー!そーだったー!辻村さん?」

 「はい」

 「ちかちじかテストあるんですよね?」

 「あっ、はい!学力調査のテストだったと思います。」

 「やっぱりかー!あの~、頼みにくいんですけど、勉強教えていただけないでしょーか?」


 は?こいつ、失礼にも程があるだろ!今日話すのははじめてのやつに勉強教えろだ?ないない!


 「あ、あのー?禀さんからは教えていただけないのですか?」

 「禀のやつ、俺が真面目にやらないから嫌だって!」

 「あっ、そーですか?じゃー分かりました。僕なんかで良ければ力になります。」

 「まじ!?ありがとう!!」

そんなまんべんの笑みで僕の方みたら断るのも断れないじゃんか!


 「おれのこと『大翔』ってよんでいいよ!俺もお前の事『優真』ってよんでいいか?」

 「は、はい!」


 それから、その日の放課後から大翔さんと僕(禀さん、禀さんは居るだけだから)の地獄の勉強会がはじまったのです。


 「大翔さんこの『X』をこっちにもってきてー、これと掛けるんです」

 「えっとー、『X』をもってきてーこれと掛ける」

 「えっと・・・大翔さん?掛け算出来ます?これ足してますけど・・・」

 「えっ!?あれー?前は出来たんだけとさー」


 うゎー、どうしょう・・・テストまで2週間この情況はやばい。

 なんで僕引き受けちゃたんだろう。

 また、笑ってるし。この笑顔は可愛いんだよなぁー!


 「大翔さん!ちょっとやばいです!」

 「えっ!?なにが?」


 それも、気づいてないの?もー、どうしたらいいの?


 「ヒロ兄・・・うん・・・」

 「な、なんだよ禀!俺そんなにヤバイのか?優真、俺そんなか?」

 「大翔さん、この際ハッキリと言わせてもらいますね。」

「お、おう・・・」

 「大翔さん、よくこの高校受かれましたね?掛け算も出来ないなんて・・・」

 「受験の時は勉強のし過ぎて死ぬかと思うくらい勉強したもんなぁー!禀に怒られながらだけど・・・なぁ、禀」

 「う、うん」

 「禀さん、よく頑張りましたね。僕は初日にして折れそうです。」

 「優真!頑張れ・・・」


 禀さーん、なに?つめた~、もっと優しくしてくれてもいいじゃん!


 「大翔さん!今回の僕とのテスト勉強はなかった・・・こ、ことに・・・なりませんか?」

 「あ?なるわけねぇーだろがよ」


 う、やっぱりか


 「優真!頼むよ!学校が嫌なら、俺ん家でもお前家でもいいかさー頼むよ~」

 「ごめん・・・優真ヒロ兄助けてやって」


 そ、そんな頼まれたら断れないじゃないかぁー!

 『断れない僕のばかーーーー!!』

 と心の中で叫んだ。


 「わ、分かりました。そのかわり・・・」

 「ん?そのかわりなんだよ?」

 「夜ご飯毎晩奢ってください!」 

 「お、おう!奢りは無理があるけど、俺ん家で食えよ!しげさんの料理は最高だから!お前もぜってーきにいるよ!」


 しげさん?家政婦か?色々驚くこともあったが毎日大翔の家で勉強する事になってしまった。

 最初はしげさんも驚いたようすだったが今では僕の事を「優真」とまで呼んでくれるようになった。


 「だたいまー!しげさん!ダチの優真」

 「辻村優真です。」

 「こいつとーぶんはうちで飯食わせてやってくんない?」

 「あっ、う、お、おう」

 「じゃー、俺たち部屋行こうぜ。」


 

 「お、おい禀!!」

 「誰?本当に大翔の友達か?」

 「あぁ、あいつヒロ兄の家庭教師みたいたもんだよ」

 「えっ!?家庭教師?そんな金どっから!まさかあいつ、金盗んだのか?」

 「しげさん!違うよ!ヒロ兄がそんなことしないのはしげさんが一番わかってるでしょ?」

 「そりゃー、そーだけどよぉ」 

 「しげさん!しげさんの料理が家庭教師代だよ」

 「なんか、責任重大じゃねぇか」

 「そーだよ!がんばれ」

 「あっ!禀!ジュースでも持っててやれ!」

 「うん」

そんな日々がやっと二週間続き、しげさんの夜ご飯も今日で終わりか。

 しげさんには一番よくしてもらった。


 「毎日、毎日悪いねぇ、優真。親御さんに怒られたりしないの?」

 「あっ、大丈夫です。僕親居ないし、独り暮らしなんで」

 「あっ、優真!!わりぃー!変なことしげさんが聞いて!」

 「本当に悪かった、優真」

 「大丈夫ですよ。」


 大翔の笑顔も見納めか・・・


 「おい!優真?」

 「明日は本番じゃん!だから、今日泊まってかない?」

 「えっ!?悪いよ!」

 「大丈夫だよ!ギリギリまで勉強教えてほしいしさ!」


 えっ!?相手から誘ってきたからいいんだよなぁ?大翔がこんな笑顔で誘ってきてるし。

 僕、大翔の笑顔に弱いなぁ。


 「わ、わかったよ!けど、着替えとかどうしょう。」

 「いいよ、俺の貸すから」

 「う、うん!ありがとう」


 大翔の服?僕、冷静で居られるかなぁー?

 ん?なに考えてんだ?冷静で居られるに決まってんだろ!だって、ただの友達だろ?その友達の服だぞ!いたって普通だろ!

 いや、大翔からしたら俺は友達でもないかも知れない。

 そんな、それは嫌だ。不安過ぎる。


 「禀!大翔って俺のこと友達だって思ってくれてるかなぁー?」

 「は?めっちゃ気に入られてんじゃん」

 「えっ!?そーなの?」

 「もしかして、優真気づいて無かったの?」

 「えっ!?うん」

 「う、そっか!ヒロ兄がね、家に友達泊めるなんてあり得ない。」

 「えっ!?今まで無かったの?。」

 「うん、ヒロ兄から人が離れくからヒロ兄は人を信じようとしないんだよ!だから女の子と遊んでも、付き合っても、家に連れて来ないんだよ。」

 「えっ!?それって?」

 「俺とヒロ兄は親に捨てられたんだよ・・・」


 禀から大翔と禀の過去を聞かされた。

 なんて言ってあげればいいのか?

 これからどうやって付き合って行けばいいのか?

 一瞬、思ったけどいつもどうりでいいと思った。離れていく事を大翔は一番恐れているのだ。


 「優真、ひいた?」

 「いや・・・」

 「もし、本心では軽蔑したならもう、ヒロ兄に関わらないでよ!ヒロ兄にをこれ以上傷付けないで!」


 禀は大翔のことすごい思ってるんだなぁ!


 「いや、軽蔑なんかしないよ」


 僕だって・・・


 

 「優真!早く来いよ」

 「う、うん」

 「お前、禀となに話してたの?」

 「いや、なんでもないよ」


 ちゃんと笑えてるかなぁ?

 自信ないなぁ


 その日はいつもより遅くまで大翔と勉した。


 「優真!おやすみ!」

 「うん、おやすみ大翔」


 やば!緊張で寝れないよ・・・。

 大翔と同じベッドで寝てる。

 心臓がうるさい。

 大翔を背中越しに感じてるもどかしさ。


 このときはじめて「大翔」が好きなんだと気づいた。


 ねぇー、大翔?僕じゃダメ?大翔が今一番大事なのは禀としげさんなのは分かってる。

 だけど、大翔がもう誰にも傷付けられないように、傷つかないように、僕が強くなって見せるから。だから・・・お願い僕にしてよ。お願い大翔。


 大翔はこんな事言ったら引いちゃうよね?

 だけど、大翔・・・


 今だけ、今だけは僕の大翔で居てよ。明日には無かったことになって普通に戻ってるから。

 そんな思いと一緒に大翔の背中を抱いた。

 僕の頬からは一粒の雫が流れ落ちた。

だから、大翔!僕は大翔のこと大翔を好きになるよりずっと前から好きだったんだよ。


 ねぇー、大翔・・・お願い話を聞いてよ・・・


 「いってぇーな!急にほっぺた引っ張るなよ!」

 「あまりにも、大翔が話を聞かないからでしょ!」

 「ぅ、わ、わりぃー」


 大翔にこの話をしたら引かれちゃうかなぁー?だけど、大翔は自分の思いをしっかり話してくれたんだ。だったら僕も話さないと・・・

 けど、これは僕が夢を見てるのかなぁ?こんなうれしいことないよ・・・。


 「大翔!これ本当に夢じゃないよね?」

 「あぁ、お前が俺のほっぺつねったんだろが!」

 「だ、だね・・・」


 うっ、こ、こんな時に涙が・・・

 大翔に心配掛けちゃうよ・・・


 「えっ!?優真!大丈夫か?やっぱり無理させたか?」

 「違うよ・・・。大翔僕はやっぱり夢を見てるみたい・・・」

 「えっ!?」

 「こんなに好きだった大翔に告白されるなんて」

 「うっ、え!?今、優真なんて?もう一回言って!!」

 「えっ?告白されるなんて?」

 「ちげぇーよ!」

 「好きだった?」

 「そうだよ!それ、まじかよ!」


 大翔が好きで好きでたまらないんだよ・・・。


 「うん、本当だよ。」

 「そ、それ・・・いつからだよ・・・」

 「えっとー、大翔が始めて話し掛けてきた日あったでしょ・・・・」


 大翔を好きになるきっかけを話した。


 「お前そんな前から・・・」

 「う、うん」

 「俺、今ちょーうれしい!めっちゃ好・・・」


 ちょっと待って!まだ言わないで。


 「大翔!それ言う前に僕の話聞いて」

 「う、おっ、おう。」


 「僕は大翔のこと、すごく好きでたまらないよ。大翔のこと傷付ける奴には近づけたくないし、近づけさせない。それに、僕は大翔なら抱かれてもいいと思う。」 


 本当だよ大翔。大翔が欲しくてたまらないよ。「優真、それまじ?」

 「うん、大翔な・・・」


 言い終わる前にキスをされた。

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